「横浜市立大学を考える市民の会」2003年6月7日アピール


 私たち「市民の会」は、この「横浜市立大学と附属2病院の存続発展を求める市民の夕べ」という集会が、市大問題だけでなく、広く大学の教育・研究、医療のあり方から、都市や国の将来を考えるステップとなることを願いながら、横浜市民、そして全国の市民のみなさまに、私たちの考えと要求をアピールしたいと思います。

1  横浜市が、日本第二の大都市として、高度な研究・教育を行う大学と、充実した医療を行う病院を持っていることは、極めて意義深いことであると、私たちは考えます。なぜなら、すぐれた大学および病院の研究・教育・医療活動は、都市の経済・文化・福祉の向上、発展に寄与し、市民の生活を豊かにし、人類世界の幸福に貢献すると考えるからです。

2  いま横浜市は開港144周年を迎えています。今年、横浜市大は、前身の時代から数えて75周年を迎えます。市大は横浜市とその発展の歴史を共にしながら、市および市大教職員・学生の努力の結果、近年ようやく4つの学部と2研究所、附属2病院と看護短大を擁する総合大学としての基盤を築いたばかりです。これからも市大は、市民の新たな期待や、変わり行く社会のニーズに目を向け、さらに良い大学となるために、外部からの強制を待つのではなく、自らを変革する努力を続けなければなりません。

 

3  2月末に出された「あり方懇答申」には、外部からの批判や、市民サービス、地域貢献などについて重要な提言がある一方で、市大の歴史的発展の経緯や実績を軽視し、現在の研究・教育の機能を低下させ、規模を縮小させる恐れのある具体案が示されています。研究から教育への重点の移行、「リベラルアーツ・カレッジ」といった曖昧な内容の学部統合など、大学の形と内容を根本から変更する提案には、合理的理由の説明がありません。また、その論拠となった、市大に関連した財政の問題についても、その数値や説明が正確とはいえません。

 

4  去る5月7日、中田市長は、市大改革のメッセージを発表し、大学は、「あり方懇答申」を踏まえ、「独立行政法人」という運営形態を念頭に、改革を進めるようにとの方向性を示しました。それに対し小川学長は、「答申を踏まえて改革を進める」と応えています。

   私たちは、このような改革の内容や方向性に重大な危惧を抱いています。そして、大学に対して、「答申」や「独立行政法人」の問題点を、主体的に検討するよう求めます。さらに、市大が、市民・社会のニーズへの対応と学問の自由を調和させ、充実した研究に基づく専門教育と豊かな教養教育を行う、ほんとうの意味で横浜市民が全国に誇れる大学改革案をつくることを期待しています。
 また私たちは、市長に、改革を「答申」の枠組みに限定することなく、大学側の改革案を十分に尊重し、改革に関わるすべての情報を市民に向けて正しく公開し、市民の意見を汲み上げ、公正に市大の改革を進めるよう求めます。

 

 私たちは、このアピールとともに、大学改革の成果をすべての市民が享受するためには、基本的に横浜市立大学および附属2病院の存続・発展こそが必要であることを訴え、この運動を通して、大学とは何かを改めて問いながら、横浜市や日本の未来を考えてまいります。

 

2003年6月7日

横浜市立大学を考える市民の会