永岑三千輝:「大学問題日誌03-6-9付」

 

 


 

2003年6月9日 「横浜市立大学および附属2病院の存続・発展を求める市民の夕べ」が大盛
況・大成功の内に多くの感動を残して終わった(活動報告ダイジェスト版)ことはすばらしい。本
学卒業生の荻原氏も当日の井上ひさし講演「都市の中の大学」要旨(エッセイ299)をまとめて公
開されている。

この井上ひさし氏の基調講演をはじめ、柳澤悠氏の話(3学部解体などということを強行したら
取り返しがつかなくなる)、小林貞雄さんの生き生きとした花の絵で分かりやすく発展構想をし
めした具体的提言、そして、八二歳の元市議会議長大久保氏の迫力ある1955年頃の大学存
続運動説明、その他市民の意見表明など、すべてが私には有意義で、心温まる内容だった。

大学を維持発展させる主体としての市民、大学人(本学および国大や地域の諸大学)、そして
議会、行政当局のそれぞれの責任を改めて問いなおすものとなった。それにつけても、「市民
の会」の「夕べ」で各方面から出される意見に謙虚に耳を傾けようという姿勢は、学長以下大
学執行部にはないようだ。これこそが一番の問題だろう。学長はどこから学生や市民や卒業
生、その他の改革に対する要望を把握するのだろうか?「全学検討委員会」では、「市民の視
点」を掲げているが、その市民とは一体どこの誰か?

ともあれ、教員は「命をかけて下さい」、「商学部教授会はしっかり教授会決議をあげてくださ
い」などという市民の痛切な訴えがずしんと重くのしかかった。市民が求めているものは何か?
 よくよく深く広く気持ちを開いて、熟慮検討する必要があろう。

とりわけ重要だと思ったのは、学生諸君の動向で、1200枚のアンケートを配り、3学部統合や
学費値上げなどについて質問した、その結果の報告である。四五〇名(その回収アンケート用
紙の束をかかげながらの有志発言だった)もが自発的に回答を寄せたようで、この回収率の
高さは、相当なものである。しかも、3学部解体・国際教養学部への統合案には、84.3%の学
生が反対であり、「学費値上げによる収支バランス」の主張(学長・怪文書の「基本的考え方」)
に関しても72.5%ほどの学生が反対という結果だとのことである(正確なアンケート内容と結
果は「市民の会」のページに公開)。

その結果は、私が、「市民の会」の「市議会議員アンケート」を二つのクラスで行った結果と合
致する(教養ゼミ西洋経済史)。

「あり方懇談会」、それをお膳立てした「辣腕」事務局、そのバックにあると思われる新自由主
義的路線の主導者たちは、この学生の反対意識をきちんと見据えなければならない。

また、「あり方懇」路線にいつのまにか押されて内実的に屈服した形ばかりの改革構想を捻出
している人々も、今一度、大学の歴史をじっくり振り返り、また現在の学生や卒業生の意識をし
っかりかみ締めなおす必要があろう。

「市民の会」も市民に対するアンケートを行うとか。どのようなことを市大に期待しているのか。
多くの市民に話しかけ、要望や期待をかいてもらうならば、すばらしいのではないか?

その前に、「市大に期待すること」「市大への要望」といったことを市民の会に投稿してもらうの
はどうだろうか?