教育・研究用コンピュータ・ネットワークシステムについて(提案)

 

平成15年6月26日

学術情報センター情報教育部会

 

本学の「教育・研究用コンピュータ・ネットワークシステム」は,その導入以来,その時々の担当部署(情報処理教育センター,あるいは学術情報センター・システム運営室)によって,一括して管理・運営されてきました.

ところが,今回の事務機構改革によってその

ネットワーク部分は総務部・企画課・情報ネットワーク係りの担当となり,

教育用コンピュータの部分は学術情報センター運営課・管理係が担当する,

という分割管理の状態になっております.さらに現在,上記2部門の職務分掌がはっきりと定まっていない状態が続いています.

たとえば,次のような問題があります.

1.     「ネットワーク管理者」が定められていない.

2.     学術情報センターに設置されていた「ネットワーク部会」の位置づけがなくなり,同部会で審議されてきたことがらを審議する場がなくなった.

3.     システム更新は誰がどのような体制を組んでおこなうのか,はっきりしていない.

 

このほか,日常的なこまごまとした不便・矛盾は枚挙にいとまがありません.たとえば

4.     実習室の管理は学術情報センター運営課・管理係の担当となっているようだが,位置的にも離れており,教室用監視カメラの設置場所は企画課・情報ネットワーク係の部屋に置かれている,などの矛盾が生じている.

5.     学生・教職員の日常のトラブルの相談窓口がはっきりしない.

6.     実習室を使った授業を行おうとしたとき,あるいは貸し出し用機器を使おうとしたとき,どこに申し出たらよいのかはっきりしていない.

7.     医学部においては,学部・大学院、附属病院のIT関係部門を統括する部署、人員配置を従来から要求していたにも拘わらず,今回の機構改革では,何一つ改善されていないばかりか,後退したものとなっている.

 

本来このシステムは,分割管理されるべきものではなく,大学における日常業務を円滑に遂行するためには,システム全体を一括管理・運営する部門が欠かせないことは,これまでの経験からして明らかであります.

 

とくに「ネットワーク管理者」の問題は深刻であります.万一対外的な問題が起きた場合,責任の所在がはっきりしていない,ということは,社会にたいしても無責任な体制であるということです.

また,この管理者を,企画課長あるいは総務部長にしよう,という動きもあるやに聞いていますが,たとえば学生が本学のネットワークから発した情報や行為が,社会的な問題になった場合など,これらの管理者が責任をとれるのでしょうか?学生に対する処分を事務官僚が教育的立場から行えるのでしょうか?

 

さらに,「ネットワーク部会」が無くなったことによって,ネットワーク・コンピュータシステムに発生した日常的な問題や,改良すべき点などを議論する場がなくなっています.従来ネットワーク部会では,大学の「顔」であるホームページをどのように作り上げるか,も含めて,教員と職員の協力のもとに議論を重ねてきました.しかし今ではホームページは総務部企画課の独占的な管理下におかれ,教員や学生が意見を述べる余地がのこされていません.これは戦前の「大本営発表」を想起させるシステムです.

さらに,一部の一般企業では「私的なメールの排除」などの名目で,メールの検閲なども行われているというような話もあり,総務部企画課がネットワークを独占的に管理するとなると,大学においてもそのような事態が発生するのではないかというような懸念・危惧を抱く教員もでてきています.

 

本学のシステムは,「教育・研究用コンピュータ・ネットワークシステム」として予算を申請し,市の了承を得て作り上げてきたものです.また,本学が接続を許可されているSINETの規定にも加入に当たっての遵守事項)として,「研究・教育並びにその支援のための管理業務以外の目的にネットワークを利用しないこと。通信の秘密を侵害しないこと。」などが定められています.市に対しても,また接続を許可されたSINETに対しても,この目的に沿った運用と責任が問われています.本学の現在の管理・運営体制は,この責任を果たせる体制になっていません.

 

そこで次の点について評議会で議論されるよう,研究科委員会として決議されることを提案いたします.

1.      教育・研究用コンピュータ・ネットワークシステムの管理・運営を一元化し,責任ある体制を早急に確立すること.

2.      対外的に責任ある「ネットワーク管理者(運用責任者)」を明確にし,SINETに通知すること.

3.      従来の「ネットワーク部会」の果たして役割を果たすべき委員会を早急に確立し,教員と職員の協力のもとに,大学のホームページを運営すること.

以上