「市大の存続・発展を求める署名」提出に伴う陳情書 横浜市立大学を考える市民の会 (2003.9.8)

 

http://www8.big.or.jp/~y-shimin/houkoku/030908-1.html 

 

 

市民の会では、9月8日、皆様から寄せられた「市大の存続・発展を求める署名」26,064筆とともに、下記の陳情書を中田市長宛に提出しました。

「市大の存続・発展を求める署名」提出に伴う陳情書

 

陳 情 書

 

平成15年9月8日


横浜市長 中田 宏 殿
写し
横浜市大学長 小川 惠一 殿
横浜市議会議長 相川 光正 殿

横浜市立大学を考える市民の会
〒236-0028 金沢区洲崎町5-52
代表   長谷川 洋

 

陳情内容

 

 横浜市立大学の歴史的経緯と実績を有する4学部をその名称とともに維持し、研究・教育の機能を現在より劣化させることなく、横浜市立大学および付属2病院の存続と将来の発展を期する大学改革を、市民の意見を容れながら慎重に拙速を避け、時間をかけて進められるようお願い申し上げます。

 なお、上記陳情にあたり、「横浜市立大学を考える市民の会」に寄せられた、「市大の存続・発展を求める署名」26,064筆を同時に提出いたします。

陳情の理由

 

 高齢化、少子化、グローバル化する社会において、生き甲斐をもとめる質の高い文化的生涯学習、大学間競争の激化の中で魅力ある大学の内容充実、情報技術、先端医療、地球環境問題への取り組み、先進技術の開発の中で問われる人間のモラルの再構築、都市文化社会の活性化へのアイデア等々、大学は大きな課題を担い、これまでになく広義、狭義の社会的貢献が期待されております。

 特に国際的大都市横浜の公立大学として、横浜市立大学は、都市産業の活性化、都市文化の創生、都市社会の人間の生き甲斐、人権、モラル、福祉、平和など市民から付託される研究・教育・市民貢献の課題はますます大きくなると思われます。

 これまで大学が、特に地域社会への連携・貢献において十分とは言いがたいという批判がありますが、一方でその研究教育において、横浜市立大学は、公的な大学基準評価機関からも、また全国の高校生志願者からも、高水準の評価をうけていることも事実であります。

 なによりも横浜市の発展とともに歴史を刻み、有為の人材を生み、著名な学者研究者を擁してきた履歴を誇り、今年創立75周年を迎える横浜市立大学の小規模ながら医・理・商・文の主要4分野を包含するユニークな総合大学としての形態内容は、一朝にして解体縮小するには、あまりにも惜しい実質をそなえております。そこにいたる先人の努力と、長年にわたって投資され蓄積された有形、無形の知の資産は、今この困難な都市社会の問題解決に活用すべきであります。

 大学運営費の節減や、横浜市の財政問題との関連で、ある程度の予算規模の縮小、大学独自の財政的工夫は、時代の状況の中で考量されざるを得ないことは、言うまでもありませんが、横浜市立大学改革の本義は、世界有数の国際都市350万市民の横浜市が、学術文化の中心としての市民の誇りうるすぐれた大学を有し、その研究教育を活性化し、都市(単に横浜市のみならず)市民の抱える経済・文化・技術の諸問題の解決にその知的機能を役立てるためであり、その機能を発揮しうる形態内容と仕組みを強化し、少なくとも現在より劣化させないことにあります。

 あり方懇談会の答申の具体案ならびに大学の提出した「大学改革案の大枠の整理について」を見ると、特に3学部統合や附属病院の扱い、研究・教育の重点の置き方に重大な疑念を生じさせるものであり、産学連携・生涯教育・市民の医療などの市民貢献のための改革案といいうには合理的理由を欠くものであります。

 答申の改革の最大の論拠と思われる横浜市立大学の評価や、財政分析に関する説明は適切な配慮と正確さ欠き、これによって本当に財政的改善が達成されるのかどうかも不明確であります。このような合理的理由の定かでない性急で過激な大学の形態内容と名称の解体改変によって、横浜市立大学が営々として築き上げてきた研究教育の機能・声価を低下させないよう、市民・学生の意見も取り入れ、慎重に時間をかけて、市大4学部と附属病院の存続を基本とした大学改革を進められるよう、市長殿に切にお願い申し上げます。

 本陳情にあたり提出する26,064筆の署名は、横浜市の誇る市大を期待する市民の切なる願いを込めたものであります。

以上