現職全教員に任期制を導入することに反対する声明

 

2003年10月3日

横浜市立大学教員組合

 

 

「プラン策定委員会」幹事会が9月26日に提出した「大学改革の大枠整理(追加)について」においては、「原則として全教員を対象とする」任期制の導入を提案している。

教員組合は公立大学行政法人には反対の立場であるが、よしんば法人化を仮定したとしても、地方独立行政法人法においては従来の教員身分は法人に承継されることになっている。したがって、移行に当たっては基本的な労働条件の不利益変更は許されない。然るに、全教員に対する任期制の導入は、有期雇用への雇用形態の変更であり、労働条件の重大な不利益変更となる。

横浜市立大学教員組合は、任期制の安易な導入には反対である。「大学の教員等の任期に関する法律」(以下、「任期法」)は、「任期を定めることができる場合」を限定しているのであり、この法律によって任期制を無限定的に導入できるわけではない。「1 先端的、学際的又は総合的研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき。2 助手の職で自ら研究目標を定めて研究を行うことを職務の主たる内容とするものに就けるとき。3 大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき」に限定される。現行「任期法」は限定的任期制であり、これを現職の全教員にまで拡大して無限定的任期制を採用することはこの法に違反することになる。事実、全国の大学において全学部の全教員に対して任期制を導入している大学は皆無である。                     

さらに、この法律には、「任期制の導入によって、学問の自由及び大学の自治の尊重を担保している教員の身分保障の精神が損なわれることがないよう充分配慮する」との附帯決議が付されており、その運用にあたって「身分保障」に関しての極めて厳しい条件が課されている。

教員組合は、現職全教員への任期制の導入は、教員身分に関する重大な不利益変更であり、これを断じて認めることはできない。事態の展開如何では、我々は、法的な対抗措置を講じることをも辞さない。