「横浜市会の情報公開拒否」問題

 

Academia e-Network Letter No 2 (2003.10.05 Sun)

         http://letter.ac-net.org/03/10/05-2.html より

 

 

0-3】 横浜市立大学の改革について情報公開することを求

     める陳情書【3】を横浜市市議会の大学教育委員会が退

     けた。審議の際の唯一の発言は、

 

        『公開』とか『拙速に反対』とか言っているが、これ

        を行っている人達は実際には改革に反対しているのであ

        り、『改革に反対』と言えないから『情報公開』とか

        『拙速を避けよ』とか言っているのであって、私はこの

        陳情に反対です。

 

     という趣旨のものだったそうだ。陳情書の内容ではなく、

     提出意図の(邪推というべき)推測を根拠に反対し、そ

     の推測を証明することが要求されない、という審議には、

     恐怖感を感じる人も少くないであろう。まともな審議に

     最低限必要な「議論の規範」が公的審議機関にも存在し

     ていないことを、横浜市大学教育委員会の審議は象徴し

     ていないだろうか。(編集人)

 

 

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━ AcNet Letter 2 ━━━━━━━━━━ 2003.10.05 ━━━━━━

 

3】一楽重雄氏(横浜市立大学)「市会への陳情顛末記」2003.09.29

       http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/ichi0929.pdf

 

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3-1】報告の抜粋

 

     「・・・このような中で、私は教授会での学長の説明や

     全学説明集会の開催、プロジェクトRと幹事会の公開な

     どを要求して来ましたが、大学当局はこれらの要求をまっ

     たく受け入れそうにありません。そこで、横浜市民とし

     て議会に陳情することを思いつき、別添のような陳情を

     議会議長にあてて行いました。この陳情は大学教育委員

     会に付託され、9月22日の委員会で審議がなされました。

     結果は、「陳情の趣旨に添いがたい」ということが賛成

     多数で議決されてしまい大変残念でしたが、議会で取り

     上げられたということ自身にも意義があり、やってよかっ

     たと思っています。

 

     なかでも、とても残念なのは、この陳情の内容について

     の議論がほとんどなく、他の陳情に関連した議論のみで

     採決されてしまったことです。民主主義の未成熟を感じ

     させらました。私の陳情に反対する理由を述べたのは、

     ミライの小幡議員のみであり、その内容は「『公開』と

     か『拙速に反対』とか言っているが、これを行っている

     人達は実際には改革に反対しているのであり、『改革に

     反対』と言えないから『情報公開』とか『拙速を避けよ』

     とか言っているのであって、私はこの陳情に反対です」

     という意味のことを明確に述べました。きちんと意見を

     言って反対する姿勢、また、立場の違う議員にも発言を

     保証する態度については大変立派だと思いました。

 

     ただ、陳情内容に即して議論してもらえなかったのは、

     なんと言っても残念です。プロジェクトRを公開するこ

     と自身についても、本当に反対だったのでしょうか。だ

     とすれば、民主主義の基本である情報公開も都合のいい

     ときだけのことであって、都合が悪ければ、公開請求者

     の動機がよくないからといって非公開にしてしまうと言

     うことになってしまうのではないでしょうか。もっとも、

     学長や事務局長が、これほど非民主的な手法で改革案作

     りを行っているとは、普通の人は考えないでしょう。市

     会議員の皆さんにも、もっともっと、実情を理解しても

     らう必要があるというのが、今回の陳情活動のひとつの

     結論です。」

 

 

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3-2】陳情書

 

                                              平成15年9月8日

  横浜市会議長

     相 川 光 正

 

                    陳情者           住所 横浜市青葉区**************

                                     氏名 一楽 重雄 印

 

  件 名 横浜市立大学学長に対して大学改革案作成過程について情

  報公開を行うよう勧告する決議をすることについて

 

陳情項目

 

  1. 横浜市立大学学長に対して大学改革案作成過程について情報

  公開を行うよう勧告する決議をすること。

 

陳情の理由・経緯等

 

    現在、横浜市立大学においては、市長からの要請に基づき、大

  学改革についての大学案を作成しています。大学案の作成は、学

  長と事務局長によって任命された委員からなる市立大学改革推進・

  プラン策定委員会によって行われることになっています。しかし、

  実際の議論は、この委員会のもとにおかれた、教員7名、事務局

  員7名からなる幹事会によって行われています。去る21日の大学

  改革推進本部会議において、この幹事会の案が発表されました。

  この幹事会の議事内容については、「議事概要」として大学のホー

  ムページに掲載されてはおりますが、ごく簡単なものであり、議

  論の経過や問題の所在が十分明確になるようなものではありませ

  ん。

 

    情報公開は民主主義の根幹です。本来、市立大学の改革案作成

  過程は、横浜市民に対して公開されてしかるべきものです。現在

  のところ、市立大学改革推進・プラン策定委員会、同幹事会のど

  ちらも、一般市民あるいはマスコミに対して公開されていません。

  のみならず、大学の構成員である教職員、学生に対しても公開さ

  れず、幹事会委員には具体的な議論内容は話さないようにと箝口

  令がしかれているような状態です。

 

    この異常とも言える事態を正すため、民主主義の原則に則って、

  小川恵一横浜市立大学学長に対して、大学改革推進・プラン策定

  委員会と同幹事会を公開するよう勧告する決議を行うよう陳情致

  します。