「市民の会」では、25日の「声明」発表に続き、12月の横浜市会に向け、市議会へ陳情書を提出しました。

12月1日提出 陳情書



陳 情 書


平成15年12月1日
横浜市会議長
相川光正殿
陳情者 横浜市金沢区六浦2-1-1-508
横浜市立大学を考える市民の会
代表  長谷川 洋

件名 「横浜市立大学の新たな大学像について」に示された改革案により、入学志願者が減少するような事態に立ち至った場合の責任を予め質しながら、大学改革に関し、市会において慎重な審議をしていただく件


陳情項目

1 横浜市会におかれましては、「横浜市立大学の新たな大学像について」の三学部統合・学部名変更等の内容の実施によって、志願者の減少や入学者の学力低下、また、卒業生の就職に対する悪影響が生じた場合、横浜市立大学が大学間競争において蒙る著しい不利を考慮し、そうした事態に立ち至った場合の市長、学長、大学事務局長をはじめ、一連の改革推進に関わった者の責任を予め質して頂きたいこと。
2 横浜市会におかれましては、「横浜市立大学の新たな大学像について」の三学部統合・学部名変更等の内容を精査され、横浜市立大学が受験生から見離されることによって、大学間競争に耐えられなくなるような事態を引き起こすことがないよう、横浜市と横浜市大が進めようとしている大学改革に関わる審議をより慎重に進められますようお願いすること。


陳情の理由・経緯等

 本陳情者が入手した情報によると、昨11月30日に行われた横浜市立大学の推薦入試における志願者数が、商学部および国際文化学部共に、昨年の約30%減と大幅に減少しております。この理由には、志願者を推薦する高校側が「横浜市立大学の新たな大学像について」(以下「大学像」と略記)に示された内容を読んで、横浜市立大学への推薦を控えたことに加え、受験生自身も今後の大学改革に不安を抱いた可能性が大きいことが考えられます。
 また、既に8月にある大手大学進学予備校が開催した高校生に対する説明会では、「横浜市大は学部を縮小しようとしているから、進学は勧められない」といった趣旨の説明が行われたという情報もあります。

 これまで「横浜市立大学を考える市民の会」(以下「市民の会」と略記)は、横浜市や横浜市立大学に対する要請書や陳情書の中で、現行学部名を安易に変更したり、現行の三学部を一学部に統合すれば、志願者の減少や質の低下を招く危険性があると警告してまいりました。さらに、こうした危惧から、11月21日に発表した「『大学像』への見解」および市長殿宛て陳情書では、「大学像」に示された改革案のように、大学の理念を「プラクティカルなリベラルアーツ(実践的な教養教育)」に限定することや、三学部統合構想への懸念を表明し、現在と同じ名称で学生が帰属する「学部」と、教員が帰属する(「大学像」にも示された)「研究院」から構成される「学部―院」構想が、志願者減や就職に対する悪影響を防ぐ改革案として適切ではないかと提言しています。なお、この陳情書の写しは市会議長殿にも提出しております。

 今回の改革は、本来、横浜市立大学を今後激化する大学間競争に生き残れる魅力ある大学にし、十分な市民貢献を果たすという課題をクリアーするためのものであることは、7月20日の「大学改革シンポジウム」で市長殿が明言なさいました。そのためには、しっかりとした研究の裏づけに基づく専門教育と教養教育という研究と教学のシステムを確立させる必要があります。「市民の会」では、9月16日付けの市長殿宛の陳情書において、まず、文系2学部の拡充により、志願者数の増加を図ると同時に横浜市の文化向上や交易の拡大も図れるような学科構想を提案しています。次に、理学部や医学部では、今やめざましい進展を見せる生命科学と予防・臨床医学とを結びつけて、市民のガン罹病率を低減するために特化した研究を行い、市民の幸せに寄与するとともに、横浜市の支払う国民健康保険給付金の低減を図れるような総合的な施策を持つよう求めてまいりました。

 以上のような提言は、しかし、大学に充分な研究・教育能力があってこそ可能となるものです。無形の知的資産がその最大の財産である大学は、安易な改革案を掲げることによって、もろくも崩壊し、その力と価値を失ってしまう可能性があります。大学の設置者たる横浜市、および当事者たる横浜市立大学は、横浜市民の有する大学がそうした事態に陥らないよう、大学改革に関しては、いやが上にも慎重を期する義務があります。
 商学部や国際文化学部における推薦入試志願者数の減少傾向に、「大学像」の影響の可能性がみてとれる以上、現行三学部の一学部への統合案は、平成16年春以降の志願者にも大きな影響を与えるものと思われます。もし、来年度の志願者数が減少するようであれば、学生の質の低下、さらには卒業生の就職率の低下といった負の循環が始まり、大学の経営そのものが成り立たなくなる危険が目前に迫ることとなります。

 横浜市会におかれましては、来年以降の志願者減や入試偏差値の低下、卒業生の就職率低下や就職先のレベル低下といった事態が起こった場合の横浜市長、横浜市立大学学長、横浜市立大学事務局長をはじめ、一連の改革推進に関わった者の責任の取り方を、横浜市と横浜市大に対して、予め質しておいて頂きたいと存じます。
 さらに、横浜市会におかれましては、「大学像」の内容を十分に精査され、横浜市立大学が受験生から見離されることによって、大学間競争に耐えられなくなるような事態を引き起こさないよう、大学改革に関わる審議を慎重にすすめられますようお願いいたします。

以上



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