全国104大学有志342名から横浜市議会宛の要請

2003年12月2日

 

【抜粋】

このような報告書に基く「市大改革」を大学の意向を踏まえたものとして市議

会が承認するようなことがあれば、設置者の権限を濫用した恫喝による大学運

営への行政の介入、という重大な違法行為を議会が容認したことになります。

この「前例」は、国立大学の行政法人化を契機に、表面的な規制緩和に反して、

行政の実質的権限が日本全体で飛躍的に拡大しつつある「大学改革」の変質を

加速させることになりますので、横浜市民にだけでなく日本社会全体に大きな

被害を及ぼすものです。

 

以上のことを十分に認識され、以下に要請しますように、「大学改革」超会派

で真剣に審議されることを要望します。

 

・・・・・・・・・・

横浜市議会大学教育委員会 各位
横浜市議会議員 各位
(アドレスを公開されている44名の議員に送付します)

横浜市立大学の「改革」について、全国104大学の有志342名が横浜市議
会に以下の要請をいたします。11月11日に大学委員会委員の方々に送付し
てより新たに130名の大学界有志が連署に加わり、有志が所属する大学数も
16校増えております。また、大学外には広く宣伝はしていませんが、市民の
有志8名が要請書への賛同の意を示されています(*1)

文部科学省は全国大学高専職員組合との会見(2003.11.13 *2)において、学
校教育法を遵守し地方独立行政法人法の付帯決議を尊重するため、改組の審査
時には「地方分権」に配慮しつつも、「大学の教育・研究の自主性」が配慮さ
れているかを細に渡って聴取する意向を示しています。

10
月に市立大学は「横浜市立大学の大学像について」という改革案を提出しま
した。しかし、この報告書は、市大学長が評議会の意向を無視し作成されたも
のであることを商学教授会が公式に指摘しています。市長の強い意向を受けた
「市立大学の今後の在り方懇談会」の最終報告書に記載された「廃学恫喝」に
学長を含め同大学の運営にあたる人たちが強く動揺したことが推測されます。

このような報告書に基く「市大改革」を大学の意向を踏まえたものとして市議
会が承認するようなことがあれば、設置者の権限を濫用した恫喝による大学運
営への行政の介入、という重大な違法行為を議会が容認したことになります。
この「前例」は、国立大学の行政法人化を契機に、表面的な規制緩和に反して、
行政の実質的権限が日本全体で飛躍的に拡大しつつある「大学改革」の変質を
加速させることになりますので、横浜市民にだけでなく日本社会全体に大きな
被害を及ぼすものです。

以上のことを十分に認識され、以下に要請しますように、「大学改革」超会派
で真剣に審議されることを要望します。

*1
サイト http://poll.ac-net.org/1/ で、本人を電子メールで確認する署名
システムで実施。

*2 http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/z031119-1.pdf

連絡先:世話人 辻下
060-0810 札幌市北区北10条西8丁目
北海道大学大学院理学研究科
tel/fax 011-706-3823(univ), tel: 080-5715-3963

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1】東京都議会と横浜市議会への大学界有志要請書

  
2】有志所属の104大学リスト

  
3】東京都議会と横浜市議会への大学界有志要請書 連署者名簿 (五十音順)

  
4】大学界・市民有志のメッセージ抜粋(新しい順)
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1】東京都議会と横浜市議会への大学界有志要請書
   
2003.12.1 現在 104大学342名が連署、市民有志8名が賛同署名)
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東京都立4大学および横浜市立大学の法人化準備が、各地方政府首長の強い関
与の下で進められている。わたしたち大学教員有志は、両地域の公立大学にお
ける力強い動きを大学の自律の発現として全面的に支持し、東京都議会および
横浜市議会に対し、設置者権限を濫用する行政行為を看過しないよう要請する。

東京都大学管理本部が8月以降進めている新都立大学の開設準備は、大学の関
与を排除して進められていることを東京都立大学総長は10月7日の声明で強
く批判した。一方、横浜市立大学が10月17日に明かにした「横浜市立大学
の新な大学像について(案)」は横浜市の主導の下で作成されたもので、全員
任期制の導入や基礎研究費の全廃等、学術研究の自律性を損う内容に対し、商
学部教授会、国際文化学部教授会、総合理学研究科教員有志、理学部教員有志
が強く批判し、10月22日の評議会では多数の反対意見が出されているが、
横浜市側には、こういった学内の批判を真剣に検討する姿勢は今までのところ
見られない。

こういった大学の自主性を認めない行政行為は、地方独立行政法人法が7月に
成立した際に、大学の自主性・自律性を最大限発揮しうるために必要な措置を
講じなければならないとした付帯決議に反し国会を軽視するものであるだけで
なく、地方行政の首長が個人的信念に基き、教育・研究の当事者を排して大学
を根本から改造することは、教育基本法第10条にある「不当な支配」そのも
のであり、当該地方議会がこの行政行為を了承するならば、明白な教育基本法
違反行為が公然と行なわれることとなる。

ところで、国立大学法人法および地方独立行政法人法は7月に与党のみの賛成
で可決されたが、その審議の中で、独立行政法人制度の構造が、行政による大
学支配を可能とすることが問題となった。その弊害の一つである学問の多様性
の破壊の様相は、東京都・横浜市双方の「改革案」に顕著に現れている。

わたしたち大学教員一人一人は、短い一生にあって特定の分野において真理と
真実を探究し伝えることしかできず、無際限の真理と真実は大学界全体として
探究し伝えることしかできない。その意味で、どの専門分野も、わたしたち大
学教員一人一人にとって、そして大学界全体にとって、かけがえのないもので
ある。それだけでなく、行政の判断で特定の分野を弱体化させることは、大学
界の主要機能を深く傷つけ、真理と真実に対する社会の目を閉ざすものでもあ
る。

大学界を弱体化させる動きが強まる中で、東京都立4大学と横浜市立大学にお
ける力強い動きに力付けられている大学教員は少なくない。わたしたちは、東
京都立4大学と横浜市立大学における教員と学生の方々の真摯な取りくみを大
学界全体の独立性を守る闘いとして強く支持する。

東京都と横浜市において、教育基本法の禁じる大学支配が実現するか否かは、
日本の大学界全体の行く末を大きく左右することに鑑み、私たち国公私立大学
教員は、東京都議会および横浜市議会に対して、東京都立4大学および横浜市
立大学の法人化が、各大学の自主性を明確に排除して進められていることを看
過せず、教育関連諸法および国会審議に反する行政行為の逸脱をチェックする
使命を遂行されることを、要請する。

なお、国立大学の場合とは異なり、公立大学を独立行政法人化するか否かは各
地方政府の判断に委ねられている。この利点を活かし、公立大学の独立行政法
人化を既定方針とせず、独立行政法人化が国立大学に与える影響を見定めてか
ら、各地方政府ごとに検討してほしい。大学の本性とは調和し得ないことがわ
かっている設置形態に、多くの大学が画一化的に移行することが、日本の未来
にとって良いはずはないからである。
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2】有志所属の104大学リスト
───────────────────────────────────
北海道大学(21),岩手大学(14),名古屋大学(12),東京都立大学(12)
九州大学(10),神戸大学(9),愛知教育大学(9),筑波大学(9),横浜市
立大学(9),富山大学(8),新潟大学(8),東京大学(8),横浜国立大学(7
),金沢大学(7),琉球大学(7),岡山大学(6),東北大学(6),広島大
(6),三重大学(6),岐阜大学(6),名古屋工業大学(5),佐賀大学(5
),群馬大学(5),高知大学(5),北海道教育大学(4),北九州市立大学(4
),奈良教育大学(4),鹿児島大学(4),お茶の水女子大学(3),大阪教育
大学(3),京都大学(3),山形大学(3),熊本大学(3),東京農工大学(3
),東京学芸大学(3),大阪大学(3),福島大学(3),日本大学(3),弘
前大学(3),大分大学(3),山梨大学(3),静岡大学(3),名古屋市立大学
(2
),香川大学(2),立教大学(2),福井大学(2),長野大学(2),東京
外国語大学(2),福島県立医科大学(2),追手門学院大学(2),椙山女学園
大学(2),愛知県立大学(2),小樽商科大学(2),信州大学(2),鳥取大学
(2
),長岡技術科学大学(2),東京海洋大学(2),奈良女子大学(2),茨城
大学(2),千葉大学(2),東京工業大学(2),山口大学(2),電気通信大学
(2
),早稲田大学(2),島根大学(1),兵庫教育大学(1),東京工芸大学(1
),鳴門教育大学(1),徳島大学(1),日本福祉大学(1),東邦大学(1
),亜細亜大学(1),埼玉大学(1),滋賀大学(1),神田外語大学(1)
三重短期大学(1),甲南大学(1),明治大学(1),札幌学院大学(1),龍谷
大学(1),姫路工業大学(1),室蘭工業大学(1),東洋大学(1),長崎大学
(1
),神奈川大学(1),大東文化大学(1),大分工業高等専門学校(1),北
見工業大学(1),千葉短期大学(1),帯広畜産大学(1),東京女子大(1)
京都教育大学(1),明海大学(1),埼玉短期大学(1),京都府立大学(1)
九州工業大学(1),秋田大学(1),札幌医科大学(1),明星大学(1),関西
学院大学(1),中京女子大学(1),一橋大学(1),成城大学(1),鶴見大学
短期大学部(1)

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3】東京都議会と横浜市議会への大学界有志要請書 連署者名簿 (五十音順)
12
1日現在350 http://poll.ac-net.org/1a/1poll-3-sandousha.php
03-12-3
訂正

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大学界有志から東京都議会と横浜市議会への要請書賛同者名簿(123日現在355名)

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鈴木 恒雄(金沢大学・総合メディア基盤センター),田口 雄一郎(九州大学・大学院数理学研究院),山中 (三重大学・人文学部),佐分利 (千葉短期大学),安野 正明(広島大学),近藤 義臣(群馬大学),増子  捷二(北海道大学),一楽 重雄(横浜市立大学),小宮山 晴夫(岩手大学),白井 深雪(東京大学),上野 喜三雄(早稲田大学),佐藤 文広(立教大学・理学部),瀬山 士郎(群馬大学・教育学部),向井 (北海道大学・北方生物圏フィールド科学センター),羽部 朝男(北海道大学),平賀 章三(奈良教育大学・教育学部),中野 元裕(大阪大学・大学院工学研究科),渡辺 勇一(新潟大学・理学部),佐藤 公彦(弘前大学・医学部),安部 (岐阜大学・農学部),峯 一朗(高知大学・理学部),浜本 伸治(富山大学・理学部),岡田 知弘(京都大学・経済学研究科),三好  永作(九州大学・総合理工学研究院),白井 浩子(岡山大学・理学部),齋藤 恭司(京都大学・数理解析研究所),佐藤 真彦(横浜市立大学・大学院総合理学研究科),菅野 文夫(岩手大学・教育学部),長沼 宗昭(日本大学・法学部),出水 (九州大学・大学院法学研究院),油川 英明(北海道教育大学・岩見沢校理科教育講座物理学教室),西井 凉子(東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所),佐野 敦至(福島大学・経済学部),石川 (帯広畜産大学・畜産学部附属家畜病院),植田 健男(名古屋大学・大学院教育発達科学研究科),太田 弘一(愛知教育大学・教育学部),木原 成一郎(広島大学・教育学研究科),松尾 知之(大阪大学・健康体育部),服部 昭仁(北海道大学・農学研究科),小田中 直樹(東北大学・経済学研究科),中溝 幸夫(九州大学・大学院人間環境学研究院),江見 清次郎(北海道大学・大学院工学研究科),児島 清秀(新潟大学・大学院自然科学研究科),吉荒 (東京女子大・文理学部 数理学科),土家 琢磨(北海道大学・大学院工学研究科),鈴木 右文(九州大学・大学院言語文化研究院),藤井 啓之(愛知教育大学・教育学部),真田 哲也(福島大学・経済学部),郭 泰彦(岐阜大学・医学部),間嶋 隆一(横浜国立大学・教育人間科学部),小林 和裕(鳥取大学・工学部),松尾 孝美(大分大学・工学部),神沼 公三郎(北海道大学・北方生物圏フィールド科学センター),武井 隆明(岩手大学・教育学部),伊藤 一帆(山梨大学・大学院医学工学総合研究部),谷本 盛光(新潟大学・理学部),岡山 (早稲田大学・政治経済学部),寺中 久男(愛知教育大学・教育学部),村上 健司(静岡大学・電子工学研究所),坂内 英一(九州大学・大学院数理学研究院),駒田 (京都教育大学・教育学部国文学科),能田 (熊本大学・理学部環境理学科),神山 (名古屋大学・大学院理学研究科),坂内 悦子(九州大学・大学院数理学研究院),亀井 (大阪教育大学・教育学部),赤石 和幸(大阪教育大学・教育学部自然研究講座),三島 徳三(北海道大学・大学院農学研究科),大島 正毅(東京海洋大学・海洋工学部),布川 (広島大学・総合科学部),森 善一(東京都立大学・大学院工学研究科機械工学専攻),半田 駿(佐賀大学・農学部),三波 篤郎(北見工業大学・工学部),森 (金沢大学・大学院自然科学研究科),堀江 充子(お茶の水女子大学・理学部),豊島 耕一(佐賀大学・理工学部),本田 勝也(信州大学・理学部),仲澤 和馬(岐阜大学・教育学部),小林 武彦(富山大学・理学部),大津留 (神戸大学・文学部),小林 邦彦(名古屋大学・医学部保健学科),身ア (北海道大学・文学研究科),落合 豊行(奈良女子大学・理学部情報科学科),加藤 博文(北海道大学・文学研究科),中井 照夫(名古屋工業大学・工学部),佐久間 (長崎大学・環境科学部),三好 正毅(山口大学・工学部),齋藤 博次(岩手大学・人文社会科学部),永岑 三千輝(横浜市立大学・商学部),望月 太郎(大阪大学・文学研究科),梅田 康夫(金沢大学・法学部),坂上 康博(福島大学・行政社会学部),田中 康博(小樽商科大学・商学部),藤本 光一郎(東京学芸大学・教育学部),姉崎 洋一(北海道大学・大学院教育学研究科),今井 (東京都立大学・理学部数学科),鬼界 彰夫(筑波大学・現代語・現代文化学系),佐藤 清隆(広島大学・大学院生物圏科学研究科),小林 (東京学芸大学・教育学部物質生命科学科),中野 昌宏(大分大学・経済学部),阿部 剛史(北海道大学・総合博物館),浅野 (神奈川大学・工学部),保阪 靖人(東京都立大学・人文学部),初見 (東京都立大学・人文学部),星野 (大分大学・工学部),荻野 綱男(東京都立大学・人文学部),南  守夫(愛知教育大学・教育学部),品川 敦紀(山形大学・理学部),石井 (山梨大学・医学部RI実験施設),小野 正樹(筑波大学・文芸・言語学系),吉岡 直人(横浜市立大学・理学部),鈴木 邦雄(富山大学・理学部生物学教室),広瀬 (富山大学・教育学部),小林 賢次(東京都立大学・人文学部),松尾 邦之(香川大学・法学部),沼田 善子(筑波大学・文芸・言語学系),三宅 和子(東洋大学・文学部),田上 善夫(富山大学・教育学部),藤吉 行雄(名古屋市立大学・付属病院共同研究センター),新井 秀明(横浜国立大学・教育人間科学部),庄司 惠雄(お茶の水女子大学・留学生センター/文教育学部),砂川 有里子(筑波大学・文芸・言語学系),井上 隆義(岩手大学・人文社会科学部),嶋田 一郎(東北大学・生命科学研究科),黒木 哲徳(福井大学・教育地域科学部),宮崎 和夫(筑波大学・現代語・現代文化学系),中道 知子(大東文化大学・外国語学部日本語学科),梅津 清二(大分工業高等専門学校・基礎専門),吉本 (東北大学・大学院国際文化研究科),堀口 純子(明海大学・外国語学部),小鹿 勝利(北海道大学・農学研究科),杉本 (筑波大学・文芸・言語学系),平林 一利(埼玉短期大学・日本文化コミュニケーション学科),大野 (岡山大学・経済学部),岡野 (新潟大学・教育人間科学部),重松 克也(北海道教育大学・教育学部釧路校),北川 勝弘(名古屋大学・農学国際教育協力研究センター),武田 晴人(東京大学・大学院経済学研究科),浦野 俊夫(神戸大学・工学部),加藤 恒男(中京女子大学・健康科学部),宇佐美 公生(岩手大学・教育学部),横山 英信(岩手大学・人文社会科学部),西川 輝昭(名古屋大学・博物館),小川 定義(東京都立大学・人文学部),島崎 (一橋大学・社会学研究科),志賀 徳造(東京工業大学・理工学研究科),小野沢 あかね(琉球大学・法文学部),川上 善郎(成城大学・文芸学部),高山 信毅(神戸大学・理学部),廣瀬 幸生(筑波大学・文芸・言語学系),玉野 研一(横浜国立大学・大学院工学研究院),山口 喜教(筑波大学・電子・情報工学系),後藤 俊一(金沢大学・理学部),柳澤 (東京大学・東洋文化研究所),境野 直樹(岩手大学),植木 英治(香川大学・経済学部),永井 (琉球大学・工学部),浦田 義和(佐賀大学・文化教育学部),橋本 安央(関西学院大学・文学部),尼川 大作(神戸大学・発達科学部),塚田 和美(お茶の水女子大学・理学部),長谷川 浩司(東北大学・理学研究科),伊豆藏 好美(奈良教育大学・教育学部),藤山 嘉夫(横浜市立大学・商学部),清水 基夫(名古屋工業大学・システムマネジメント工学科),松田 正久(愛知教育大学),竹田 保正(日本大学・理工学部),松浦 興一(鳥取大学・工学部),林 雄介(明星大学・日本文化学部),中川 弘毅(千葉大学・園芸学部),平川 宗信(名古屋大学・法学研究科),池内 (名古屋大学・理学研究科),丹治 信春(東京都立大学・人文学部),眞野 倖一(信州大学・繊維学部 感性工学科),神谷 章生(北海道教育大学・教育学部),森井 俊行(神戸大学・発達科学部),秋葉 繁夫(横浜国立大学・教育人間科学部),酒井 はるみ(茨城大学・教育学部),徳橋 (富山大学・教育学部),中村 (新潟大学・人文学部),田中 ひかる(大阪教育大学・教育学部、教員養成課程),西 一樹(電気通信大学),染谷 (佐賀大学・農学部),山本 雅史(鹿児島大学・農学部),在田 一則(北海道大学・大学院理学研究科),坂口 謙一(東京学芸大学・教育学部),福田 俊章(福島県立医科大学・医学部),土岐 留美江(愛知教育大学・教育学部),松家 (小樽商科大学・商学部経済学科),成田 (東京外国語大学・外国語学部),大森 博司(名古屋大学・環境学研究科),松原 宏之(横浜国立大学・教育人間科学部),長谷川 (京都府立大学・福祉社会学部),松瀬 憲司(熊本大学・教育学部),石川 知広(東京都立大学・人文学部),田中 (岩手大学・教育学部),石塚 安廣(横浜国立大学・教育人間科学部),辻下 (北海道大学・理学研究科),豊木 博泰(山梨大学・大学院医工学総合研究部),酒井 峰男(岡山大学・留学生センター),浪川 幸彦(名古屋大学・大学院多元数理科学研究科),野村 正實(東北大学・経済学研究科),久保田 (愛知県立大学・文学部)ichimura takao(高知大学・教育学部),大串 和雄(東京大学・法学部),大出 義仁(名古屋工業大学・工学部),三井 哲夫(山形大学・医学部 付属病院),栗山 次郎(九州工業大学),森谷 常生(札幌医科大学・医学部生物学教室),仲尾 善勝(琉球大学・工学部),後藤 仁敏(鶴見大学短期大学部・歯科衛生科),多羅尾 光徳(東京農工大学・農学部),山口 和秀(岡山大学・法学部),松本 武祝(東京大学・大学院農学生命科学研究科),扇子 幸一(北海道教育大学・教育学部札幌校),藏重 久弥(神戸大学・自然科学研究科),小城原 (横浜市立大学・医学部),真実 一美(岡山大学・経済学部),駒込 (京都大学・教育学研究科),古森 雄一(千葉大学・総合メディア基盤センター),木村 哲也(長岡技術科学大学・機械系),折出 健二(愛知教育大学・教育学部),渋谷 治美(埼玉大学・教育学部),今 正秀(奈良教育大学・教育学部),岩井 圭司(兵庫教育大学・教育臨床講座),谷川 勝至(東京大学),利根川 吉廣(北海道大学・理学部),濱田 武士(東京海洋大学・海洋科学部、海洋政策文化学科),中尾 愼宏(九州大学・数理学研究院),石田 (北海道大学・工学研究科),玉木 尚之(高知大学・教育学部),時 衛国(愛知教育大学),坂本 (名古屋工業大学・工学研究科),仲正 昌樹(金沢大学・法学部),古川 (高知大学・農学部),相崎 守弘(島根大学・生物資源科学部),高木 由臣(奈良女子大学・理学部),西岡 国雄(東京都立大学・理学研究科数学専攻),乾 康代(茨城大学・教育学部),原田 悦雄(弘前大学・人文学部),岩永 (鳴門教育大学・学校教育学部),宇井 啓高(富山大学・教育学部),長澤 唯史(椙山女学園大学・文化情報学部),渡辺 信二(立教大学・文学部英米文学科),松山 春男(室蘭工業大学・工学部),大矢 (明治大学・理工学部、総合文化教室),秋元 孝文(甲南大学・文学部英語英米文学科),木本 忠昭(東京工業大学・社会理工学研究科),平野 幸彦(新潟大学・人文学部),岡崎 (札幌学院大学・人文学部英語英米文学科),ウェルホイザー ナディア(龍谷大学・経済),高尾 典史(追手門学院大学・文学部),小林 一博(長野大学・産業社会学部),京谷 栄二(長野大学・産業社会学部),渡邉 信久(北海道大学・大学院理学研究科),高松 (九州大学・留学生センター),山根 徹也(横浜市立大学・国際文化学部),西田 美昭(金沢大学・経済学部),小島 喜孝(東京農工大学・農学部),長谷川 (琉球大学・教育学部),打出 喜義(金沢大学・医学部附属病院産婦人科),戸田 由紀子(椙山女学園大学・国際コミュニケーション学部)tanekura 紀昭(岩手大学・教育学部),八木沼 洋行(福島県立医科大学・医学部),川浦 康至(横浜市立大学・国際文化学部),井上 尚夫(熊本大学・理学部),小野寺 英輝(岩手大学・工学部),藤田 栄史(名古屋市立大学・人文社会学部・人間文化研究科),本間 健二(姫路工業大学・理学研究科),東 信彦(長岡技術科学大学・機械系),坂井 伸之(山形大学・教育学部),野田 (三重大学・人文学部),生田 周二(奈良教育大学・附属教育実践総合センター),宇野 忠義(弘前大学・農学生命科学部)nagaoka 真吾(筑波大学・現代語・現代文化学系),吉森 (九州大学・理学研究院),佐久間 正夫(琉球大学・教育学部),小田 敦子(三重大学・人文学部),宇納 進一(三重大学・人文学部),横井 輝之(岐阜大学・工学部 機能材料工学科),廣岡 義隆(三重大学・人文学部),唐澤 一友(横浜市立大学・国際文化学部欧米文化学科),野平 慎二(富山大学・教育学部),川村 軍蔵(鹿児島大学・水産学部),金 信明(東京都・高校教員),中嶋 (徳島大学・総合科学部),中村 (北海道大学・大学院理学研究科),田中 秀平(山口大学・農学部),淡路 英夫(名古屋工業大学・材料工学科),逸見 龍生(新潟大学・人文学部),榊原 (岡山大学・工学部),栗原 将人(東京都立大学・理学研究科),久野 (高知大学・教育学部),菊池 孝美(岩手大学・人文社会科学部),石栗 義雄(東北大学OB・生命科学研究科),浅田 (兵庫県・Freelance Mathematician),熊澤 慶伯(名古屋大学・理学研究科),角縁 (佐賀大学・文化教育学部),高島 悟史(東京大学・教養学部),福田 静夫(日本福祉大学OB・名誉教授),岩崎 亘典(茨城県・都立大OB),石垣 一典(神奈川県・会社経営),舩尾 日出志(愛知県・大学教授),広木 詔三(愛知県・教員),杉山 (静岡大学・情報学部),山口 利哉(岐阜大学・全学共通教育事務室),上脇 博之(北九州市立大学・法学部),岡本 順治(東京都立大学・人文学部),松尾 誠之(愛知県立大学・外国語学部),青木 利夫(広島大学・総合科学部),本 秀紀(名古屋大学・法学研究科),藤本 正行(北海道大学・理学研究科),大岡 (日本大学・法学部),井ノ口 淳三(追手門学院大学・人間学部),漆原 朗子(北九州市立大学・文学部),芳之内 雄二(北九州市立大学・外国語学部),笹沼 弘志(静岡大学・教育学部),横井 修一(岩手大学・人文社会科学部),北川 善英(横浜国立大学・教育人間科学部),吉田 (東京農工大学・農学部),阿部 泰隆(神戸大学・法学研究科),伊豆 利彦(神奈川県・元大学教授),西川 (三重大学・人文学部),早川 洋行(滋賀大学・教育学部),賀数 清孝(琉球大学・理学部),小松 (三重短期大学・法経科),南 雄二(鹿児島大学・農学部),石埼 (亜細亜大学・法学部),森 英樹(名古屋大学・法学研究科),岡田 章宏(神戸大学・発達科学部),根森 (新潟大学・法学部),斎藤 (群馬大学・教育学部),千葉 康樹(東邦大学・理学部),子安 (愛知教育大学・教育学部),小栗 (鹿児島大学・法文学部),小野寺 英輝(岩手大学・工学部),三井 斌友(名古屋大学・情報科学研究科),川瀬 (九州大学・大学院人間環境学研究院),杉谷 健一郎(名古屋大学・環境学研究科),石原 (愛知県立大学・文学部英文学科),その他16
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4】大学界・市民有志のメッセージ(新しい順)

03-12-3訂正

http://poll.ac-net.org/2/2poll-5-iken-hyouji.php 
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国公私立大学教員有志のメッセージ

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Academia e-Network Poll Project の第二回の取り組みです。今回の問題も大学界全体の未来を大きく左右するものです。

(辻下 徹・北海道大学・理学研究科)

 

研究者の任期制を、取り入れる研究機関が近年増加しつつある。任期制のもとでの研究者・教員の評価は大変困難であることが以前から予想されていた。そもそも研究のある時点で、決定的な評価判定がどこまで可能か(科学史を見れば、ノーベル賞級の研究でさえ予測困難である。参考文献:ノーベル賞の決闘、岩波、ウエイド著、丸山・林共訳)。仮にその評価作業を許容したとして、真に当該の研究業績評価をし得る研究者が審査する側に選ばれているかなども重要な点である。

 上の記述に照らして考えると、今回の京大医科研の事件は、外部の専門の委員が当該研究者の業績を十分と評価していることから、その意見が取り入れられるべきであると思う。一般に内部の意見よりは、外部の研究者による評価の方が上位に立つと考えられるからである。更に外部の審査には、関連分野の研究者が十分含まれていたとされる。

 それにもかかわらず、内部での意見を取り入れて再任を拒否するということは、到底理解できないものである。研究業績以外の因子が介在しているとしたら、問題外である。任期制度において、再任するか否かは、純粋に研究業績に基づいて行われなければ、この制度のメリットは全くなくなるからである。

 以上の理由から、今回起こっている京大医科研の再任拒否の結論を不当と考える。

(渡辺 勇一・新潟大学・理学部)

 

滝川事件や戦後のレッドパージを思い起こさせられます。歴史に学ぶ、とは、こういうことかと、思わせられます。しかし、現在は、ずっと多くの人々に連帯があると思われ、社会の進みを実感します。

(白井 浩子・岡山大学・理学部)

 

 これでは、研究をしても、良い授業をしても職の保障はないことになります。とにかく、再任拒否の手続き上に瑕疵があると思います。 ところで、大学の任期制の場合、特に全学に導入された場合のことを考えると、任期途中での同意取り消しは教官の側からはできず、同意取り消しが即失職となることも問題ではないでしょうか? 労働者の同意の要る企画業務型裁量労働制の場合も同意取り消しは条文には見あたりません。しかし、一般の会社で同意取り消しが即退職とは考えにくいと思います。また、企画業務型裁量労働制の場合は労使委員会の設置と議決、本人同意の必要性、期間1年が法に定められており、大学の任期制のような恣意的なものではないようです。 今回の再任拒否問題を広く大学人に知らせると共に、不当性を主張して行くことに賛成です。

(古川 泰・高知大学・農学部)

 

任期制の安易な運用に強く抗議します。

(神谷 章生・北海道教育大学・教育学部)

 

こんなに業績もあり、かつ多くの患者さんに必要とされている方を何の理由も無く説明も無く辞めさせるのは、どうにも解せませんし、また人道的にまちがっているのではありませんか?(患者さんを見殺しにするようなものでしょうから。)いったい、日本はいつからこんな理解不能な事態が起きてしまう国になってしまったのでしょう。世間の猟奇的殺人事件よりもっと理解不能です。腹が立つ以前になにか薄気味悪さを感じます。

(白井 深雪・東京大学・大学院農学生命科学研究科附属農場二宮果樹園)

 

数年前、大学教員任期制が導入された国会で、文教委員会の傍聴行動に参加した経験がありますが、言を左右にこの任期制は学問の自由を奪うものではない、と言い逃がれを繰り返していた文部大臣の姿が思い浮かびます。 今我々はおしなべて、徐々に無権利状態の道へと導かれているようですが、今回の井上一知先生の件のような、極立って強権が発動された事態に際し、出来る限りの抵抗と主張を行なうことが、その道への墜落を回避する不可欠そして有効な行動だと思います。道理の無いことは必ず打ち破ることが出来ると信じます。 井上一知先生におかれましては、御研究のさなか、このような不条理な事件によって研究活動に支障を来たされ、その無念のお気持ちは察するに余りあるものですが、この件を通じまして先生が採られたお立場、即ち正しさは決して放棄しないという思想と行動、そしてそれを支持する全国の大勢の仲間の存在は、この事件で勝利されたあとの先生の御研究の展開の中に、大きく実を結ぶことと確信します。

(林野 友紀・東北大学・大学院理学研究科ニュートリノ科学研究センター)

 

大学教員任期制法の悪しき側面が浮き彫りにされた例であると思います。法の精神に則った判断をしても、外部評価が優先されるべきです。

(大出 義仁・名古屋工業大学・工学研究科)

 

大学に限らず、任期制の職場では、機械的に任期を切る契約でない限り、契約続行の可否判断には雇用者の主観が反映されるので、裁判所は機械的に門前払いをするべきではない。

( 信義・弘前大学・教育学部)

 

 任期制の恣意的な運用がまかりとおるようになると、大学の自由な発展は根底から揺るがされることになります。仮に任期制が導入されても、再任条件、再任拒否の条件、その判定機関・判定システムなど、公明正大な科学的基準がなければ、またそうした公正な基準がきちんと適用されなければ、非科学的な利権・利害のぶつかり合う場になってしまうでしょう。 京都大学における今回の事件の判定は、全国的な重大な意義を持つと考えます。

(永岑 三千輝・横浜市立大学・商学部)

 

外部評価委員会も高く評価する国際的な業績がお有りにも拘わらず,京大医学部が明確な説明をしないまま井上一知教授への再任を拒否したという今回の事件には,驚きを通り越して強い憤りを感じます。また,そもそも大学教員への任期制がどれほど公正・公平に運用されうるのか従来から疑念を感じていましたが,今回の事件によって,任期制が大学によって恣意的に運用されうる危険性が現実のものになったという意味で極めて重大だと思います。歯止めのない任期制の導入には今後も強く反対していく必要があります。なお,医学部当局の不透明極まる決定のために,ご自分の研究環境を奪われた井上教授の悔しさや苦しみには想像を絶するものがお有りと思いますが,どうか今回の裁判を通じて当局の不当性を明らかにされますと共に,これまでの地位と研究環境を一刻も早く回復されますことを,心より祈念致します。

(星野 富一・富山大学・経済学部)

 

大学自治をはき違えないで下さい。

(野村 修身・東京都・工学博士)

 

高校の同級生の竹山です。井上君、大変ですね。任期制の問題点が問題点が明白に露呈された事態だと思います。世間は安易にその方向に流れていますが、問題大有りですね。知り合いの大学教員にもこの書名を回したいと思います。頑張ってください。

(竹山 清明・京都府立大学・人間環境学部)

 

民主主義は日本国憲法の根幹ですで、いまその民主主義が危うい状況になっています。京都大学医学部という組織内で、職員の身分に関わる重大な問題が民主主義を踏みにじって行われています。組織内の民主主義を潰すことは、日本全体の民主主義を潰していくことにつながります。憲法の番人である裁判所は、このようなことは許されない、憲法違違反であることを確固として示すべきだ。

(長谷川 明・兵庫県・サラリーマン)

 

大学人自らが、任期制を悪用する、こんないじめというか、村八分としか言いようのない、思慮のない愚行をすることに、法論理以前に、情けないというか、ものすごい憤りを覚えます。 井上一知先生、後々のためにも、しんどいでしょうが、頑張りぬいてください。

(比山 節男・大阪経済法科大学・法学部)

 

外部評価委員会による客観的な報告結果を覆した根拠が不明確です。今後の大学運営に関わる根本的な問題ですので十分な審議を希望します。

(砂村 眞琴・東北大学・医学系研究科消化器外科)

 

大学教員の任期制は、各教員個人に対する権利侵害の面だけでなく、人事評価や異動に関連する膨大なエネルギーの浪費を大学組織に強要するという、組織に対するマイナス面も大きな制度です。制度の恣意的な運用をやめさせると同時に、このような制度自体の休止・廃止が、日本の学術の振興のために不可欠だと考えます。

(岡田 正則・南山大学・法学部)

 

このようにして、大学の自治が根本から否定される事態が徐々に、しかし確実に進攻している事態を深く憂慮しています。かつて大学にあって、大学の自治と民主主義の重要性とそれが日本の歴史と文化とにもつ重要性を体験してきた一人として、今回訴訟を起こされた原告の先生に心からの連帯を表明するとともに、ぜひとも日本の教育と研究の自由が保障される判決が出されることを願って止みません。

(****・岐阜県・日本福祉大学名誉教授)

 

戦うのには、体力、気力のエネルギーが、必要です、ストレスも大きい、と思う。 正義のため、応援します。 これからの、医学の発展のために、必要な先生です。

(木塚 たか子・東京都・税理士)

 

大学が自ら決めた内規を自らの手で、ないがしろにすることは、大学が自分自身で、自治をふみにじるものである。 社会はこうしたことを、大学の自治は大学の都合のよいときだけに主張されると受け取り、大学は自治の信頼性を失い、学問の自由の前提を崩すことにつな。残念としかいいようがない。

(****・琉球大学・医学部)

 

阿部泰隆教授によれば、再生医科学研究所再生医学応用部門に関する申し合わせは1998年4月21日付で、これは井上教授が採用内定して、同年5月1日に発令される直前にあとから決まったもので、それに合わせて20日に同意書を事務官が取りに来たということで、公募の際には任期制のルールは示されておらず、同意の際この申し合わせも知らせていなかったということである。また京都大学再生医科学研究所任期制教官の再任審査に関する内規第九条は「協議員会は、委員会による再任申請者の評価に基づき、再任の可否について審議決定する」となっている。従って委員会の評価が再任を可とする場合には、特段の事由がなければ再任は認められるはずであるが、結論は逆になっている。このように井上教授の採用内定後に任期制が決まり、再任手続きでも委員会の結論とは異なる決定がなされるというように、手続的に重大な瑕疵があり憲法31条の適正手続の下になされたとは到底言うことが出来ない。その場合に裁判所の救済を受けられないというのであれば、井上教授は裁判を受ける権利を奪われてしまう。このようなことは許されてはならない。

(藤巻 次雄・大阪府・弁護士)

 

 この大学通信において教員の任期制導入に関する意見がいくつか取り上げられていますが、阿部泰隆氏の論文は傾聴に値すると思います。阿部氏は、京都大学再生科学研究所で起こった任期制教授の再任拒否事件について、「少なくとも、再任審査のルールを公正につくり運用しなければ違法違憲であると確信するに至った。しかし、京大にはそのようなしくみもなく、これを公正に運用しようとする理性もない。しかも、これは井上教授一個人の問題だけでなく、大学の崩壊をもたらす重大事件である」と述べている(大学通信 2003.06.02  http://ac-net.org/kd)。私は、任期制導入そのものに反対するものではないが、「再任審査のルールを公正につくり厳正に運用」しなければ、任期制が大学教員の自由な研究や教育に対する意欲を著しく阻害し、「大学の崩壊」さえもたらすものであることを十分に認識している。

 そもそも、現行の大学教員任期制施行およびその運用に関する規則は、各大学部局の教授会によって決定されるため、同じ大学内でさえも部局によってバラバラで統一されていない。しかも、「学問の自由」と「部局の独自性」を建て前としているため、文部科学省や大学学長さえも一部局で決定された「内規」を変えることはできず、その決定を覆すこともできない。このような状況では、大学教員は実質的な再任審査の権限を握る部局教授会などの意向を恐れて、自由に研究を行ったり自由な意見を述べたりすることを控えるようになるかもしれない。大学教員に限ったことではないが、ただでさえ「長いものにまかれろ」や「事なかれ主義」などが横行している大学の現状を考えると、現行の教員任期制のもつ危険性を無視すべきではない。京大再生研の例が示すまでもなく、法律的には問題がなくても公正な運用がなされたかどうか疑わしい大学人事など別に珍しいことではない。表面では公明正大を唱えながら、実質的には「談合」や「裏取引」で教官人事を決定している例など枚挙にいとまがないだろう。このことは、大学当事者なら誰でも知っていることではないだろうか。再任審査の権限が大学の部局教授会等に委ねられるとしたら、阿部泰隆氏の言うように「恣意的な免職制度」として悪用される危険性が大きく、今後、京大再生研のような事例が増えることは明らかである。

 

 これら任期制に係わる問題は、任期制導入を押し進めようとした過程で、ことが反発の強い人事問題だけに、とりあえず個々の部局に責任を「丸投げ」して、なし崩しに任期制を実行させようとした文部科学省の狡猾な「及び腰」のツケが回ってきたのではないのか。本来なら、文部科学省と大学当局が責任をもって抜本的な大学人事制度の改革を行い、任期制に対する統一指針を打ち出すべきである。大学の「外部評価制度の導入」に関しても同様な過ちがあったため、現在では国によって定められた「客観的な評価制度」に改められていることを思い起こしてほしい。任期制導入のような個々の教官の将来に直結する重大な制度は、大学の一部局教授会の「内規」などに委ねるのではなく、せめて、大学全体の制度改革の一環として検討して公正なしくみを構築するべきではないだろうか。現行のような中途半端な任期制では文部科学省の目指す「研究教育の活性化」など望むべくもなく、「百害あって一利無し」といわれてもしかたがないのではないか。

 

群馬大学生体調節研究所

教授 立元一彦

 

(立元 一彦・群馬大学・生体調節研究所)

 

この裁判はきっと日本の大学の歴史に残ると思います。原告が勝てば明るい未来へのともしびとして、負ければ暗黒社会への入り口の墓標として。したがって、勝たねばなりません。

(佐藤 清隆・広島大学・大学院生物圏科学研究科)

 

国や組織は人間を支配するためにあるのではなく、個々の人間1人1人のために、個人のレベルではできないサービスを提供するためにあるのです。何においても、国や組織を運営する一握りの者の利益を個々人の利益より優先することは絶対に許しません。今回のように、組織の意志で、理由も無く個人をどうこうすることなど論外です。

ここ数ヶ月で急激に権力者の暴挙が横行するようになっていると思います。メディアも当てになりません。不当な出来事が起こる度に、不安に駆られます。安心して研究をすることができません。

 

(****・筑波大学・数理物質科学研究科(大学院生))

 

必要人をなぜ失職へ?井上先生が邪魔な人がいるんだとしたら、その人こそ失職へ追いやられるべし!

(石田 佳子・京都府・会社員)

 

私は製薬会社に勤務する研究者ですが、私の知る井上教授は教育者としても研究者としても医者としても第一人者であり、患者のために日夜研究をされる先生であります。国内における再生医療はこれからであり、先生を中心とした学会活動を拝見しても 今先生の研究を停止することは国内医療 発展の遅れをまねき、強いては、治療法の進展を待つ患者さんの心情を思うに耐えがたい事であると推察いたします。

(吉野 昇・京都府・会社員)

 

専門の学者七名よりなる外部評価委員が、全員、再任に賛成したのに、教授会で、無記名投票の結果、再任賛成者が過半数にならなかった ということ自体尋常ならざるものを感じます。業績審査を一旦付託した委員の意見を採用しないというのなら、相応の明確な理由を提示する必要があるでしょう。

わたくしは病院の倫理委員をしております。移植医療から再生医療に流れが変わってきている今日、井上先生のご活躍を心よりお祈りするものであります。

 

(岡田 眞美子・姫路工業大学・環境人間学部)

 

再任拒否手続きの過程において、「公開性」や「説明責任」の点で瑕疵があると思いました。今日、いかなる組織であれ、対社会的な「公開性」「説明責任」を果たせない場合は、そこに不正〜不法行為が隠れている可能性があります。断固、公の場で、解明すべきです。

(長嶋 隆・聖マリアンナ医科大学・医学教育研究室)

 

遅ればせながら署名の趣旨に賛同いたします。

(木村 浩則・熊本大学・教育学部)