伊豆利彦(横浜市立大学名誉教授):

日々通信 いまを生きる 第84号

 『横浜市の暴走を阻め』 2003年12月20日

 

http://homepage2.nifty.com/tizu/tusin/tu@84.htm 

伊豆利彦のホームページ http://homepage2.nifty.com/tizu/index.htm 参照

 

【抜粋】

このような乱暴なことが、これまであっただろうか。戦争中のことはよくわからない

が、もしかしたら、戦争中以上にひどいのかも知れない。これは、あきらかにファッ

ショ的手法である。この実態は、市民には知られていないのだろう。この実態を知れ

ば、市民は驚き、怒るにちがいない。この横暴な手法は、単に大学問題であるにとど

まらず、中田市長の本質、いま、日本で進行しているファッショ的行政の実態を具体

的に明かにするものであると思う。この横暴な手法は、批判する前に、その実態を明

かにすることが必要だ。事実がわかれば、だれもが驚き、怒らずにはいないのが、い

まの中田市政である。

 

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    >>日々通信 いまを生きる 第84号 2003年12月20日<<

「五十嵐仁の転成仁語」に次の言葉があった。

12月12日  どうしてこんな世の中になってしまったんでしょうか。反対や異
論、懸念やとまどいなどに耳をかさない“ごり押し”ばかりが目につきます。 これ
で民主主義社会と言えるのでしょうか。イラクの民主化を後押しするなんて、ちゃん
ちゃら可笑しくなってしまうような日本社会の現状です。

以下 http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm

五十嵐氏はイラク出兵、石原都知事の都立大学のごり押しについて書いていた。
同じことが市大でも起こっている。
昨日、横浜市は理事長予定者を任命した。
同時に、教員のポストに<横浜市大学改革推進本部 コース等検討プロジェクト部会
設置要領(要旨)>なる文書を配布した。新大学の<国際総合科学部(仮称)を構成
するコースや大学院の専攻、コース、文系博士課程などについて検討をおこなう>た
めにプロジェクト部会を設置したので、設置者の基本的な考え方に沿って、新しい大
学づくりに参加・協力するものは申し込むようにというのである。

普通は学長は理事長を兼ねている。国立大学の独立法人化の場合もそう規定してい
る。公立大学法人でも同様である。ただ、特別の場合には、別の人間が理事長になっ
てもいいというただし書きがある。このただし書きによって横浜市大は、学長とは別
の理事長を選任し、学長は副理事長とするとされたのである。

しかし、大学案は各教授会で反対意見が決議され、学長は、これまでは外のことが主
で、これからは内を固めて、全学一丸となって改革に取り組むと、市議会でも証言し
ている。それら一切を無視して、市当局は理事長を選任し、ごり押しに新大学の設立
を進めようとしている。

このような乱暴なことが、これまであっただろうか。戦争中のことはよくわからない
が、もしかしたら、戦争中以上にひどいのかも知れない。これは、あきらかにファッ
ショ的手法である。この実態は、市民には知られていないのだろう。この実態を知れ
ば、市民は驚き、怒るにちがいない。この横暴な手法は、単に大学問題であるにとど
まらず、中田市長の本質、いま、日本で進行しているファッショ的行政の実態を具体
的に明かにするものであると思う。この横暴な手法は、批判する前に、その実態を明
かにすることが必要だ。事実がわかれば、だれもが驚き、怒らずにはいないのが、い
まの中田市政である。

いま、都立大学のことが問題になっている。都立大学の場合は、学長が都知事に反対
したので、もっと問題が露骨にでているが、ここまでくれば、市大も都大も同じこと
である。ただ、市大の場合は、学長がひたすら市長に迎合し、屈従的態度をとったの
で、なにか大学自治の枠内でことが運ばれているかのような錯覚をあたえることに成
功し、いままでのところ、都大よりもおだやかに進行しているように見えただけであ
る。しかし、大学案が出て、市長がそれを承認するという形で成立した以上、もう、
新大学は新大学で、設置者の意向にしたがって、まっしぐらに突進することができる
というわけである。

 新大学には、大学の自治というようなものはない。新大学は新大学のルールでやる
ので、旧大学の大学自治とは関係がないというつもりである。旧大学から旧大学の
ルールにしたがって改革という形で発足するという形式をとったために、なお、厄介
な問題が残っているが、それは、既成事実をぐいぐいつくっていき、学長が協力して
くれれば、旧大学の教員たちがいくらかさわいでも問題ではないということなるだろ
う。

 学長はみずから奴隷になることを選んだのだから問題はないが、学部や評議会に
は、この改革に反対するものもある。彼らはは大学の自治などという古くさいルール
に固執して、あれこれいうかもしれないが、それは無視して、既成事実をつくってい
けば泣き寝入りするだろう。そして、結局、新大学に入れてくれと泣きついてくるだ
ろう。

 このような無茶苦茶な考えは、多分、文科省の考えをもはるかに越えた非常識なも
のにちがいない。彼らの無知な強引さがいかにも実行的でかっこよく見えるかもしれ
ない。これがかつて、旧体制を破壊し、新体制を実現せよというファッショの主張と
行動が、が人々の支持を得て、世界を支配するかに見えた理由だ。

 しかし、この暴走体制には重大な欠陥がある。
 受験生が激減し、教員のあいだでも、他大学にうつることができるものはどしどし
辞めていくという状態がある。
 市民の子弟に対する推薦入学の受験者は商学部、国際文化学部で30%減である。理
学部は10%減になった。これは市民の大学改革に対する率直な反応だと思われる。こ
の傾向は来年早々に行われる入試、さらには再来年とますます激化することと思われ
る。

 教員のあいだにも市大の未来に絶望して、辞職して行く者が相次いでいる。すでに
定年退職者の後任は採用しないという乱暴な決定をした市大は、自発的な退職者、他
大学にうつる教員が続出して、大学の運営自体が危機に陥る結果をまねくおそれがあ
る。
 商学部では5依命の定員中11名が不足、国際文化学部では、4名不足、そしてこの
傾向はますます強まるだろうという。
 市民に魅力のある、市民に支持される大学という言葉で強引に進めた改革の結果が
これである。
 少子化で、大学間の競争がはげしくなる時代に、市大はこうして衰退の道をたどる
ことになる。

 市大の問題は、単に一公立大学の問題ではなく、現に進行中の改革の波がどんなも
のかを示すものであり、小泉首相や竹中大臣の改革の掛け声が、結局日本経済破壊で
しかない現実と対応している。
 こうして、美辞麗句をかかげながら、日本は戦争と破滅の道を歩くのだろう。

 小泉の場合も当初は高い人気に支えられて傍若無人に、国民が求める改革を実行す
るかのように見えた。
 中田市長の場合も同様だ。
 そしてそれはあの石原都知事と同質のファッショ的政治でしかない。
 このことを明かにし、具体的に訴え、市民のあいだに不信の声が強まれば、ひたす
ら人気にだけたよっている中田市政はその根底からゆらぐのではないか。

 ここしばらく、市大問題に取り組んでいるので、今回の通信は、この問題で終始し
てしまったことをお詫びしたい。

なお、この問題で12月18日、記者会見をおこなった。
このときの説明をホームページに掲載し、この他、私のこの問題についての意見をま
とめて大学問題というページをつくった。
一読していただければありがたい。

もう12月も下旬になった。たちまち過ぎていくのだろう。いろいろ思うことが多い
が、次回に譲りたい。

皆さん、寒さの折から、くれぐれもお体を大事にして下さい。

伊豆利彦のホームページ http://homepage2.nifty.com/tizu/
大学問題   http://homepage2.nifty.com/tizu/daigaku/itiran.htm
記者会見説明 2003年12月18日 
     http://homepage2.nifty.com/tizu/daigaku/kisyakaiken.htm

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      新春平和学校のお知らせ  投稿者:伊豆利彦 投稿日:2003/12/20(Sat)
09:38:44

  神奈川県平和委員会主催の新春平和学校を来年1月9日に開き、慶応大学経済学部教
授 金子勝さんの講演を聞きます。

  質疑や意見を述べる時間もあり、じっくりと話を聞けると思います。

  戦争の問題を経済の観点から考えるのは、いま、もっとも大事なことだと思いま
す。

  日時 1月9日 18時開場、18時30分開校。
  場所 かながわ県民センター2Fホール
  資料代 1000円

  当日、直接おいでくださっても結構ですが、私まで、メールもしくは電話faxで連
絡してくだされば、入場券を送ります。

  メール fwie8781@mb.infoweb.ne.jp
  電話、fax 046ー842ー5040