緊急抗議声明

横浜市大学改革推進本部

本部長 前田正子殿

20031223

横浜市立大学教員有志

 去る12月17日、貴職は「市立大学教員の皆様へ」と題する文書を私どもに直接配布されました。その文書には大学が市に対して提出した「横浜市立大学の新たな大学像について(以下、大学像と略)」とこれを受けて市が発表した「市立大学改革案に対する設置者の基本的な考え方」に沿って新しい大学づくりに参加・協力する教員を募集する旨が記載されています。しかしながら、この文書の意図するところには、憲法に保障された学問の自由と基本的人権の観点から看過できない重大な問題が含まれています。

 まず第一にこの文書は、これからの大学における教育・研究の内容を大学自身ではなく外部組織である設置者が決定するということを公言しているという点です。これは憲法で保障された「学問の自由」と、それを担保する「大学の自治」を根底から否定するものであると言わざるを得ません。

 第二に、この文書が持つ「踏み絵」的性格です。文書では12月24日までに参加・協力を申し出ること、また、期限後についても随時受けつけることとし、10名程度からなる「プロジェクト部会」のメンバーに採用された者の名前以外の応募者の名前は公表しないとしています。これは、これからの大学づくりを「大学像」に賛成するものとそうでない者とを選別することにより、賛成するもののみにより、市主導で大学の研究教育の内容を決定しようとするものです。多くの人から、そして、直接の現場である現教員から広く意見を聞くことがよい大学を作るために必要なことは、7月に大学主催で行われたシンポジウムで清成法政大学理事長が強調したことでした。また、各教授会の決議等で示されているように、市大教員の大部分は新たな大学像に反対の意見を持っています。一方で、これからの大学改革に向けては自分の経験や専門知識を生かしたいと考えています。教員個人個人に取って、この文書はまさに”踏み絵”です。

 私たちは横浜市立大学を心から愛し、今大学が置かれている現状を憂い、よりよい大学ができることを真に望むものです。改革自体に反対し、現状を維持すればそれでよい、と考えているものでは決してありません。大学を愛すればこそ貴職が示された民主主義の原則に反するやり方に断固反対するものです。

即刻、「コース案等検討プロジェクト部会参加者申し込み書」を白紙撤回することを要求します。

 大学構成員一人一人の意見を尊重し、市民に対しても白日晴天のもとで大学改革が行われるのであれば、私たちは改革の主体としてその努力をいささかも惜しむものでないことを申し添えます。