横浜市大 学部統合、大学院縮小、独立行政法人化… 中田市政の「改革」ごり押しに学内外から批判、怒り 「日本共産党神奈川県委員会」トピックス (2004.1.9)

 

http://www.jcpkanagawa.jp/topics/2004/040109.htm 

 

 

04.01.09】横浜市大 学部統合、大学院縮小、独立行政法人化…

 

中田市政の「改革」ごり押しに学内外から批判、怒り

 

 

  昨年創立75周年を迎えた横浜市立大学(小川恵一学長)。中田市政は、2005年4月を目標に学部統合や大学院縮小、独立行政法人化などの横浜市大「改革」をゴリ押ししています。これに対して、学内外から「大学自治と民主主義を破壊するものだ」と怒りの声があがっています。(岡田政彦記者)

 

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廃校も選択肢

 中田宏市長の諮問機関「市立大学の今後のあり方懇談会」座長の橋爪大三郎・東工大教授は昨年1月、市大の「累積負債」は1140億円だと強調して、「廃校も選択肢」とする私案を発表。2月には懇談会として答申を提出し、大学の目標を「プラクティカルなリベラルアーツ・カレッジ」(実践的な教養大学)とし、▽商学部、国際文化学部、理学部を一学部に統合する▽大学院の博士課程は分野を精選する▽大学の経営形態は独立行政法人とし、その場合の教員の身分は非公務員型とする−などの方針を打ち出しました。

 

「市民の会」発足

  学生、教職員、卒業生、市民から驚きと怒りの声があがり、「横浜市立大学を考える市民の会」(市民の会)が発足。市大の存続・発展を求める運動が始まりました。6月に460人で「市民の夕べ」を開き、9月には2万6千人分の署名を添えて陳情書を中田市長に提出しました。

  学内では、「大学の累積負債は、その72%が付属2病院に関するもの」で、3学部統合などは「大学の教育研究の質的低下を招く」(3月20日、国際文化学部教授会見解)など、各教授会、評議会の場や教員組合、職員の労働組合などから批判が噴き出しました。

  学生有志が6月に実施した学生アンケートの結果(約450人が回答)でも、3学部統合、「プラクティカルなリベラルアーツ・カレッジ」化に84.3%が「反対」と答えました。

 

任期制の導入

  ところが、市当局と学長らは、学内外の批判や疑問を真撃(しんし)に受け止めるのではなく、5月に「市立大学改革推進・プラン策定委員会」(委員長・小川学長)を設置し、非公開の運営で「あり方懇談会」の答串に沿った「改革」案の作成につき進みました。

  そして10月、「横浜市立大学の新たな大学像について」を発表し、3学部を統合した国際総合科学部と医学部の2学部制とすることや独立行政法人化で経営組織と教育研究組織を分離し、学長は副理事長とし、市長が決定する法人の最高経営責任者である理事長の下に置くという組織体制を提示。原則として全教員を対象に任期制を導入することも打ち出しました。

  これに対して、国際文化学部、商学部、木原生物学研究所の各教授会などが、相次いで「遺憾の意」を表明しました。

  市当局は、これにも「学内の一部の人の言っていること」(中上直・市大総務部長)と大学自治無視の姿勢をあらわにし、中田市長は12月1日、「大学像」を尊重して「改革」を推進する設置者としての「考え方」を発表。05年4月に市大を独立行政法人にするとして、理事長予定者に孫福弘氏(慶応義塾大学教授)を決定しました。こうしたなか、横浜市大の名誉教授、教授ら有志45氏(代表・伊豆利彦名誉教授、矢吹晋教授)は12月18日、「『横浜市立大学の新たな大学像』に反対し、小川学長の責任を問う声明」を発表し、「大学破壊とも言えるような大学改革案を作成した小川学長は、その責任を明確にすべき」だと表明しました。

 

たたかいの先頭に

  横浜市大「改革」に対して、日本共産党横浜市議団は、いち早く2月に見解を発表し、市大の累積債務の「大半は付属病院の建設費と連携大学院の建設費」で「市大の資産となるもの」だとし、「市民のための病院建設に市税を投入するのは当然」だと訴えました。

  8月には、小川学長に直接申し入れ、「教職員、学生、市民参加の大学改革を」と求めました。

  11月には、議会質間とともに「大学像」批判の見解を発表しました。

  横浜市大をめぐる攻防は、04年も横浜市政の重大問題です。