辻下 徹氏(北海道大学)から報道関係者宛のメール:

151大学教員有志559名の要請:「新横浜市大」定款審議について』

 

 

----- Original Message -----

From: "TSUJISHITA Toru" <tjst@ac-net.org>

To: "報道関係者" <media@tjst.local>

Cc: "賛同者" <yuushi@tjst.local>; <al-s@tjst.local>; <giin@tjst.local>

Sent: Thursday, March 11, 2004 12:51 AM

Subject: 151大学教員有志559名の要請:「新横浜市大」定款審議について

 

報道関係者 各位
Cc:
要望書連署者、大学関係者各位、国会議員各位

本日、横浜市会で公立大学法人横浜市立大学の定款が集中審議され
ますので、国公私立大学有志の要請書と、賛同者名簿、資料等を、
メールを公開している、横浜市議会大学委員会の委員10名と他の
議員44名の方に再度送付いたしました。

傍聴の方法は、以下にあります。
http://www.city.yokohama.jp/me/sikai/bocho.html

ネット署名は http://poll.ac-net.org/1a/ で行なっています。

辻下
───────────────────────────────
From: TSUJISHITA Toru <tjst@ac-net.org>
To:
飯沢清人委員長殿 <kiyoto@iizawa.net>,梶村 充副委員長殿 <office@m-kajimura.com>,榊原泰子副委員長殿 <yasuko@tanpopo21.com>,藤代耕一委員殿 <energy-kouichi@fujishiro-kouichi.com>,吉原 訓委員殿 <satoshi-y@ninus.ocn.ne.jp>,和田卓生委員殿 <info@wada-takuo.jp>,川口珠江委員殿 <k-tamae@hall-ecole.org>,小幡正雄委員殿 <obata@seaple.icc.ne.jp>,若林智子委員殿 <net@net-yokohama.gr.jp>,関美恵子委員殿 <mail@seki-mieko.jp>
Cc:
市議会議員殿 <yokohamashi-giin>
Subject: 151
大学教員有志559名の要請:「新横浜市大」定款審議について


                                    
平成16311()

横浜市会 大学教育委員会 委員各位
Cc:
横浜市議会議員 各位

                   
国公私立教員有志559名一同

                
連絡先:辻下
           Tel & Fax: ************
           email:admin@poll.ac-net.org


 
本日の横浜市会における公立大学法人横浜市立大学の定款審議に
 
あたり、全国の国公私立大学151校の教員有志559名と、9
 
都道府県の市民有志29名が、横浜市議会議員のみなさまに、以
 
下の要望書を再度送付いたします。

 
先月2月20日に大学委員会委員の方々に同要望書を送付してより
 
新たに86名の大学界有志が連署に加わり、連署者が所属する大
 
学数も17校増えております。また、市民の有志10名が新たに要
 
請書への賛同の意を示されています。

 ご存知のように、東京都立の4大学の公立大学法人化の準備が、
 
大学関係者の大多数が関与出来ないまま、都の方針に賛成する一
 
部の教員と外部の「有識者」だけで進められています。横浜市立
 
大学でも学長と少数の教員だけで検討が進められ、大半の教員は
 
その検討の過程から排除されていることが報道されています。
  
(理学部数理科学科教室から小川学長への公開書簡 2004225
    http://suuri.sci.yokohama-cu.ac.jp/reborn/ogawa040225.html


 
自治体首長が強力な監督権を持つように設計された独立行政法人
 
制度を大学に適用することが大学の諸活動の質を高めるのに不可
 
欠な自律性を損う危険性が「地方独立行政法人法案」の審議の中
 
で懸念され、「公立大学法人の設立に関しては、地方公共団体に
 
よる定款の作成、総務大臣及び文部科学省の認可に際し、憲法が
 
保障する学問の自由と大学の自治を侵すことがないよう、大学の
 
自主性、自律性を最大限発揮しうるための必要な措置を講ずるこ
 
と」という付帯決議が全会一致でなされた。横浜市会は、横浜市
 
大法人化の準備過程において、横浜市が付帯決議を尊重している
 
かどうかを十分に吟味され、定款の是非を判断されますようお願
 
いいたします。

 
どうぞ、以下の要望書、および、連署者のメッセージを今一度、
 
お読みいただき、また、この1年間に市大の諸教授会および構成
 
員有志が表明してきた声明や見解や公開質問状、また、大学人の
 
声明等を吟味され、本日審議される定款が大多数の構成員の意に
 
反して形成されたものであることを直視され、定款を白紙に戻し、
 
大学構成員全員が諦念ではなく意欲をもって新しい大学の創造と
 
取りくめるよう、定款を作成し直すよう市長に命令し、横浜市会
 
の見識と英断を全国に轟かし歴史に刻まれますよう要望いたしま
 
す。

目次───────────────────────────

1】横浜市議会への158大学界有志559名の要請書

 
1-1】連署者メッセージより

2】有志所属の158大学リスト

3】連署者名簿五十音順(310日現在559名)へのリンク
    
市民賛同者名簿五十音順(310日現在29名)へのリンク

4】東京新聞 2004216日付
   
『改革』に揺れる横浜市立大
          
学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ

5】横浜市立大学の各教授会における改革案関連の決議・意見・見解

──────────────────────────────

1】横浜市議会への158大学界有志559名の要請書
                 http://poll.ac-net.org/1a

       
平成151112

    
東京都立4大学および横浜市立大学の法人化準備が、各地方政府首
    
長の強い関与の下で進められている。わたしたち大学教員有志は、
    
両地域の公立大学構成員の力強い動きを大学の自律の発現として全
    
面的に支持し、東京都議会および横浜市議会に対し、設置者権限を
    
濫用する行政行為を看過しないよう要請する。

    
東京都大学管理本部が8月以降進めている新都立大学の開設準備は、
    
大学の関与を排除して進められていることを東京都立大学総長は1
    
0月7日の声明で強く批判した。一方、横浜市立大学が10月17
    
日に明かにした「横浜市立大学の新な大学像について(案)」は横
    
浜市の主導の下で作成されたもので、全員任期制の導入や基礎研究
    
費の全廃等、学術研究の自律性を損う内容に対し、商学部教授会、
    
国際文化学部教授会、総合理学研究科教員有志、理学部教員有志が
    
強く批判し、10月22日の評議会では多数の反対意見が出されて
    
いるが、横浜市側には、こういった学内の批判を真剣に検討する姿
    
勢は今までのところ見られない。

    
こういった大学の自主性を認めない行政行為は、地方独立行政法人
    
法が7月に成立した際に、大学の自主性・自律性を最大限発揮しう
    
るために必要な措置を講じなければならないとした付帯決議に反し
    
国会を軽視するものであるだけでなく、地方行政の首長が個人的信
    
念に基き、教育・研究の当事者を排して大学を根本から改造するこ
    
とは、教育基本法第10条にある「不当な支配」そのものであり、
    
当該地方議会がこの行政行為を了承するならば、明白な教育基本法
    
違反行為が公然と行なわれることとなる。

    
ところで、国立大学法人法および地方独立行政法人法は7月に与党
    
のみの賛成で可決されたが、その審議の中で、独立行政法人制度の
    
構造が、行政による大学支配を可能とすることが問題となった。そ
    
の弊害の一つである学問の多様性の破壊の様相は、東京都・横浜市
    
双方の「改革案」に顕著に現れている。

    
わたしたち大学教員一人一人は、短い一生にあって特定の分野にお
    
いて真理と真実を探究し伝えることしかできず、無際限の真理と真
    
実は大学界全体として探究し伝えることしかできない。その意味で、
    
どの専門分野も、わたしたち大学教員一人一人にとって、そして大
    
学界全体にとって、かけがえのないものである。それだけでなく、
    
行政の判断で特定の分野を弱体化させることは、大学界の主要機能
    
を深く傷つけ、真理と真実に対する社会の目を閉ざすものでもある。

    
大学界を弱体化させる動きが強まる中で、東京都立4大学と横浜市
    
立大学における力強い動きに力付けられている大学教員は少なくな
    
い。わたしたちは、東京都立4大学と横浜市立大学における教員と
    
学生の方々の真摯な取りくみを大学界全体の独立性を守る闘いとし
    
て強く支持する。

    
東京都と横浜市において、教育基本法の禁じる大学支配が実現する
    
か否かは、日本の大学界全体の行く末を大きく左右することに鑑み、
    
私たち国公私立大学教員は、東京都議会および横浜市議会に対して、
    
東京都立4大学および横浜市立大学の法人化が、各大学の自主性を
    
明確に排除して進められていることを看過せず、教育関連諸法およ
    
び国会審議に反する行政行為の逸脱をチェックする使命を遂行され
    
ることを、要請する。

    
なお、国立大学の場合とは異なり、公立大学を独立行政法人化する
    
か否かは各地方政府の判断に委ねられている。この利点を活かし、
    
公立大学の独立行政法人化を既定方針とせず、独立行政法人化が国
    
立大学に与える影響を見定めてから、各地方政府ごとに検討してほ
    
しい。大学の本性とは調和し得ないことがわかっている設置形態に、
    
多くの大学が画一化的に移行することが、日本の未来にとって良い
    
はずはないからである。

──────────────────────────────
1-1】連署者メッセージより
     
全体:http://poll.ac-net.org/1a/1poll-5-ikenhyouji.php

[48]
 私は、非営利・公共サービスの経営学を研究しています。サー
 
ビス経営学の最新の研究成果では、構成員の自発性をいかにひきだ
 
すかが質の高いサービスを提供する上で不可欠の課題とされており、
 
そのためには実際にサービスを提供する現場への権限の委譲が必要
 
であるとされています。これは、民間のサービス企業の成功事例か
 
ら導かれた考え方であり、欧米で高く評価されているサービス企業
 
に共通しているものです。

 
横浜市立大学について、民間の経営手法を取り入れようという趣旨
 
から、トップに権限を集中させようという方向性が検討されている
 
ようですが、これは、上記のような点からして、「民間の経営手法」
 
について偏った理解に基づくものであると言わざるをえません。仮
 
に大学をサービス業として理解し、そのサービス水準を向上させよ
 
うとするのであった場合でも、より教職員の自発性を高める努力が
 
必要であり、トップダウン的経営は逆効果であることを指摘してお
 
きたいと思います。(近藤 宏一・立命館大学・経営学部)


[47]
 研究成果及び教育成果は、特定時間内で産み出されたり、結
 
果するものではない。研究者の創造保護環境のもとでたゆまず努力
 
した結果であり、また、教師と学生との相互関係あるいはそれぞれ
 
の創意工夫によって成果が形成され開花するものである。

 
威嚇・脅迫・強圧・締め付けといった方法での「成果追求」は、一
 
夜花・見かけのもの・底の浅いもの・上辺だけのもの、となりやす
 
い。恐怖観念に追われて内容のない形式づくりに堕してしまう。

 
東京都立大学や横浜市立大学の実質解体方策は、奇をてらうもので、
 
教師集団が誠実に全力投球する意欲や姿勢を促すものではなく、まっ
 
たく逆の事態を招く無内容のもので、決して容認できるものではな
 
い。

 
もっと謙虚に、大学人の言い分に耳を傾けよ。大学改革は50年、
 
100年先を考えて内容づくりすべきもの。 

 
2004年2月19日  茨城大学 教授 田村武夫

[43] 
父方母方ともに三代にわたり横浜で暮らし続けております。戦
 
後、横浜の自由と民主主義の象徴として存在し続けてきた横浜市立
 
大学を、今のような非民主的なやり方で解体するとは・・・民主主
 
義を支えるのは理性と判断力を持つ市民であり、大学はそうした市
 
民を作り上げるという使命も持っているはずです。また、市民は大
 
学を維持することにより、全国、世界に貢献することができるので
 
あり、このことこそが、地域が維持する公立大学の最大の存在意義
 
です。横浜市民の誇りを踏みにじるような「改革」を断じて許すこ
 
とはできません。(遠藤紀明・神奈川県・大学非常勤講師)

[1] 
基礎研究を無視し,研究の効率や実利だけを求め,受験生に媚
 
びを売る大学を造れば造るほど日本の文化は頽廃し,将来を託すに
 
足る学生を輩出することは困難になろう。国や地方の税金を使って
 
運営する大学は,目先の評判や人気に左右されるものであってはな
 
らない。直ちに都立大学,横浜市立大学の新大学構想を白紙に戻し,
 
現教職員・学生との対話の中から大学改革が進められんことを求め
 
る。(山中章・三重大学・人文学部)

──────────────────────────────
2】有志所属の151大学リスト

東京都立大学(35),横浜市立大学(26),北海道大学(24),東
京大学(18),岩手大学(16),名古屋大学(15),九州大学(14
),神戸大学(11),金沢大学(11),筑波大学(10),新潟大
(10),岐阜大学(9),富山大学(9),愛知教育大学(9)
広島大学(9),岡山大学(8),京都大学(8),東北大学(8)
横浜国立大学(7),琉球大学(7),愛知県立大学(7),信州大
(6),三重大学(6),早稲田大学(6),名古屋工業大学(6)
高知大学(6),法政大学(6),大阪大学(6),群馬大学(5)
佐賀大学(5),鹿児島大学(5),茨城大学(5),大阪市立大学
(5
),北海道教育大学(5),千葉大学(5),奈良女子大学(4)
小樽商科大学(4),東京農工大学(4),東京工業大学(4),関
東学院大学(4),名古屋市立大学(4),北九州市立大学(4)
山形大学(4),熊本大学(4),静岡大学(4),弘前大学(4)
日本大学(4),大阪教育大学(4),奈良教育大学(4),立命館
大学(4),東京海洋大学(4),明治大学(4),札幌学院大学(3
),大分大学(3),一橋大学(3),東京外国語大学(3),福岡
大学(3),お茶の水女子大学(3),福井大学(3),京都府立大
(3),東京学芸大学(3),甲南大学(3),福島大学(3),長
崎大学(3),山梨大学(3),追手門学院大学(2),長野大学(2
),大阪府立大学(2),福島県立医科大学(2),埼玉学園大学
(2
),椙山女学園大学(2),島根大学(2),専修大学(2),長
岡技術科学大学(2),徳島大学(2),山口大学(2),香川大学
(2
),大東文化大学(2),東洋大学(2),鳥取大学(2),中央
大学(2),大阪外国語大学(2),津田塾大学(2),立教大学(2
),電気通信大学(2),北里大学(1),創価大学(1),宇都宮
大学(1),國學院大學(1),藤女子大学(1),くらしき作陽大
(1),平安女学院大学(1),啓明大学(1),成蹊大学(1)
浜松医科大学(1),青森大学(1),国際基督教大学(1),東京
医科大学(1),宮城学院女子大学(1),和光大学(1),羽衣国
際大学(1),立正大学(1),二松学舎大学(1),相模女子大学
(1
),日本女子大学(1),福井県立大学(1),明治学院大学(1
),札幌大学(1),東京学芸大学名誉教授(1),東海大学(1)
埼玉工業大学(1),武蔵大学(1),秋田大学(1),関西学院大
(1),東京都老人総合研究所(1),成城大学(1),明星大学
(1
),九州工業大学(1),埼玉大学(1),鶴見大学短期大学部
(1
),札幌医科大学(1),中京女子大学(1),埼玉短期大学(1
),東京女子大(1),帯広畜産大学(1),千葉短期大学(1)
京都教育大学(1),北見工業大学(1),明海大学(1),大分工
業高等専門学校(1),神奈川大学(1),兵庫教育大学(1),東
京工芸大学(1),獨協大学(1),東京芸術大学(1),東邦大学
(1
),米国バージニア大学(1),東京都立科学技術大学(1 )
大正大学(1),亜細亜大学(1),三重短期大学(1),龍谷大学
(1
),室蘭工業大学(1),鳴門教育大学(1),姫路工業大学(1
),神田外語大学(1),滋賀大学(1),日本福祉大学(1 )
東京薬科大学(1)

──────────────────────────────
3】東京都議会と横浜市議会への大学界有志要請書
 
連署者名簿五十音順(310日現在559名)
  http://poll.ac-net.org/1a/1poll-3-sandousha-f.php

 
市民賛同者名簿五十音順(310日現在29名)
  http://poll.ac-net.org/1a/1poll-3-sandousha-shimin-f.php

───────────────────────────────
4】参考:東京新聞 2004216日付
   
『改革』に揺れる横浜市立大
          
学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ

横浜市の財政難を理由に、来年4月から独立法人化される横浜市立
大学(小川恵一学長)が揺れている。中田宏市長が打ち出した改革
案は、全教員の任期・年俸制、複数学部の1学部統合などで、石原
知事が進める都立大改革とほぼ同じだ。「研究費はゼロ」になり、
教養教育大学に衣替えする方針という。「学問の自由」の危機と、
首都圏の大学教授らが"共闘"で反対する改革案だが・・・。 (藤
原正樹)

13大学の教授結集

「中田市長の諮問委員会『横浜市立大学のあり方懇談会』は昨年二
月、『千百四十億円の累積負債を抱えた市大が現状のまま存続する
道は考えられない』との答申を出した。これに対し、『そのほとん
どは病院建設など市民ニーズを満たすための市の投資で、横浜国際
競技場と同じ資産』と反論したところ、市長は負債のことを口に出
さなくなった。最初から『市大改革ありき』で、負債は口実に使わ
れただけだ」

「横浜市立大学問題を考える大学人の会」の中心メンバー、関東学
院大学の久保新一教授(国際経済)は憤慨する。

同会は、全国で拡大傾向をみせる大学の任期・年俸制などに危機感
を抱いた同志が集まった団体で、十三大学二十六人の教授が集結し
ている。

教授らが反対する市大改革案は「各分野の実務の専門家を公募しや
すくし、実績主義を進めて大学教育や研究の質を高める」のが狙い
だ。中田市長は「もっと社会から評価される大学を目指さないと生
き残れない。レベルの高い研究や、市民、産業との連携に期待した
い」と話す。

教員の人事制度、経営と教学を分離して理事長の新設など、市大と
都立大学の改革案は酷似しており「改革案を審議する委員会メンバー
に厳しいかん口令が敷かれ、完全な秘密主義な点も同じ」(久保教
授)だ。

3学部を統合し新体制は2学部

新都立大学(首都大学東京)では看板学部の人文学部など五学部を
一学部に集約するが、市大改革でも国際文化学部、理学部、商学部
を統合し「国際総合科学部」(仮称)を設置する。そのまま存続す
る医学部と二学部体制になる。大学校費による一律な研究費はゼロ
で、基本的に各教員が外部資金を獲得して研究を行うことを提案し
ている。

市大に十一年間在籍した東京大学の柳沢悠教授(南アジア研究)は
「中田市長の狙い通りにいかないどころか、国内トップレベルの市
大の研究を駄目にしてしまう」と憤る。

「トップレベル研究駄目に

「市大は国内のアジア研究をリードしてきた。日本の地方史や地方
紙のコレクションも国内屈指で『庶民の歴史』という視点で独特の
学風を築いている。理系でも、発生生物学の重鎮、浅島誠教授(現・
東大教授)が実績を残し、地震学の第一人者、故・菊地正幸教授
(元東大地震研教授)は、横浜市の防災システム策定にも尽力した」

ある国立大教授は「国公立大の文・外語・教育系学部の入試偏差値
で、市大の国際文化学部は横浜国立大教育人間学部より上だ。投資
価値の高いブランド性があり、変な改革をして駄目にするなら、私
大に売却した方が市大のためになる」と提案する。

資金かかる医学部抱え学部減で経営悪化予想も

さらに、二学部体制では経営はより困難になるという。久保教授は
「『資金がかかる医学部は、五学部以上の文系学部収入で支えない
と維持できない』というのは、大学経営上の常識。他の一学部で支
えるのは無理」と指摘する。任期・年俸制についても「その内容は、
為政者の意図が反映される人事委員会で決議される。政治的な意味
で意に沿わない大学人の首を切ることができる制度になる」。

柳沢教授も「学問の自由を保証するには、身分の安定が必須で、大
学に任期・年俸制はなじまない。研究が高度になればなるほど、短
期間では成果を出せない。この制度では、早く成果が出る安易な研
究を助長する。また、年俸の評価者にすり寄る傾向が強まり、批判
精神が不可欠な学問が死滅する」と切り捨てる。

「成果主義の印象が強い米国の大学でも、優秀な人材を確保する手
段として、教授には『テニュア』(終身在職権)を与えている。任
期・年俸制が全国的に広がると、優秀な学者が国外に逃げ出すだろ
う」

新都立大学は九コースで教授らの公募を実施したが、応募倍率は最
高九倍(先月三十一日締め切り分)だった。柳沢教授は「国公立大
教授の公募は百倍程度あっても不思議でない。任期・年俸制がある
大学に、教員を集める魅力がないことを実証する数字」と分析する。

市大関係者によると、新大学残留を希望する教員は少なく、新大学
が発足する来年四月までに九人の教員が他大学移籍を決めている。
市大OBで法政大学の宮崎伸光教授(地方行政)は「ほとんどの教
員が、他の大学に移りたくて隠れFA宣言している状態」と内
情を語る。


密室で決定 いきなり公表 トップダウン

公立大学改革の方向性は、設置者の首長の志向が色濃く反映される。
宮崎教授は「市大、都立大の改革内容はほぼ同じで、手法も密室審
議でいきなり公表するトップダウン方式だ。中田市長と石原知事の
類似性を示している」と指摘する。

「大衆受けするパフォーマンス的政策を打ち出す点で両者は似てい
る。反権威主義で、エリートや学歴に対して強い反発を持っている。
両者とも自己を礼賛する者しか評価しないポピュリズムの権化で、
不採算部門の学問・芸術の存在が邪魔になる。その延長線上に大学
改革がある」

久保教授も「中田市長は市民派を看板に掲げるが、改革案で会見を
申し入れても、会ってくれない。煙たい市民には会わないえせ市
民派だ。十人十色の意見があってまとまらず、業界団体のない大
学が一番、経費削減の標的にしやすかっただけだ」と悔しがる。

「現代の新撰組 消えゆく運命」

「小泉首相、石原知事、中田市長はともにネオコンで、本流エ
リートになれなかったコンプレックスを政策にぶつける現代の新
選組といえる。新選組は新しい時代の先兵にはなれず、消えてい
く運命だ」

市大改革案の目標「研究費ゼロで、実践的な教養教育を行う国際教
養大学」の背景について、久保教授は「従来の労働集約型の産業構
造から知識集約型社会へ転換しようとする為政者のシナリオを感じ
る」と危ぐし、こう説明する。

「昨年の労働基準法改正で、小泉首相は『解雇ルールを作れ』と厳
命した。一握りの知的エリートが取り換え可能な労働者を使う社会
への転換を目指す意図があるのではないか。エリート育成を担う旧
帝国大学では、研究の質を下げる全教員の任期・年俸制の導入は考
えられない。研究費ゼロで最先端技術にかかわる可能性が低く、教
養だけを身につけさせる市大などの公立大は、中間労働者の供給源
と位置づけられる可能性が高い」

──────────────────────────────
5】横浜市立大学の各教授会における改革案関連の決議・意見・見解

[1]-[20]

http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/arikata.html
からリンクされている。

[1]
「あり方懇」答申についての国際文化学部教授会見解(320日)

[2]
「あり方懇答申に対する要望」に関する総合理学研究科委員会の学長
  
への要望書(51日)

[3]
「あり方懇答申に対する要望」に対する商学部教授会決議(51日)

[4]
「あり方懇答申に対する要望」に対する国際文化学部教授会決議(51日)

[5]
「大枠」についての商学部教授会における意見(821日)

[6]
「大枠」についての理学部教授会における意見(825日)

[7]
「大枠」についての国際文化学部教授会における意見(825日)

[8]
「大枠」についての総合理学研究科八景研究科委員会における意見(828日)

[9]
「大枠」についての看護短期大学部臨時教授会における意見(95日)

[10]
「幹事会案」に対する商学部教授会見解(911日)

[11]
「大枠整理(追加)」についての国際文化学部教授会の意見表明(929日)

[12]
教員任期制導入に関する商学部教授会意見(102日)

[13]
人事委員会と教員任期制導入に関する商学部教授会意見(1020日)

[14]
「新たな大学像」についての国際文化学部教授会の決議(1021日)

[15]
臨時評議会の運営と大学改革案策定に関する国際文化学部臨時教授会の遺憾表明(10
   
28日)

[16]
大学改革案に関わる商学部教授会の意見(116日)

[17]
「大学像」に対する木原生物学研究所教授会の意見と要望(1113日)

[18]
「大学像」に関する医学部教授会有志の要望書(1121日)

[19]
改革案に対する国際文化学部臨時教授会決議(1127日)

[20]
大学改革案に対する商学部教授会の要望(1128日)

[21]
一楽理学部教授から小川学長への公開書簡(1222日)
http://edmath.sci.yokohama-cu.ac.jp/ogawa1222.pdf

[22]
横浜市大教員有志から前田正子改革推進本部長への緊急抗議声明(1224日)
http://edmath.sci.yokohama-cu.ac.jp/seimei1224.pdf

[23]
理学部数理科学教室から小川学長への公開書簡(2004225日)
http://suuri.sci.yokohama-cu.ac.jp/reborn/ogawa040225.html

[24]
「市大の解体を許すな!横浜市大と附属2病院の存続・発展
   
を求める市民の集い」2004.2.14 記録
http://www8.big.or.jp/~y-shimin/houkoku/040214.html

[25]
横浜市立大学名誉教授・教授等有志 平成151128
「横浜市立大学の新たな大学像」に反対し小川学長の責任を問う声明
http://www2.big.or.jp/~yabuki/index-ycu.htm
───────────────────────────────
以上