教員組合:311横浜市会「予算特別委員会傍聴記[]

http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/k040311-1.pdf 参照

 

 

市議会情報

 3月11日(木)に開かれた予算特別委員会での横浜市大改革関連の質疑を傍聴された組合員から詳細なメモが寄せられました。大学側応答のなかには、教員組合が任期制にかんし不安をあおっているとする発言など、看過できない不当な非難や事実認識の歪曲がみられます。質疑応答の状況を知っていただくための資料として「傍聴記」を掲載いたします。

                      3月15日  横浜市立大学教員組合

 

 

311日(木)予算特別委員会傍聴記」

 

大学関係問題・質問者

片桐(みらい,25分)

米盛(ネット,13分)

関(共産,13分)

田中(自民,65分)

大滝(公明,33分)

高梨(民主,31分)  

時間は持ち時間

 

以下,各議員の質問内容のポイントを示すが,重要と思われる部分は会話形式で再現してみる.

 

片桐(みらい)

「新たな大学像」を高く評価する,と述べ,定款に関する一般的な質問をいくつか行ったあと,授業評価アンケートに関する質問が続いた.アンケート実施を徹底すること,その公表(HPなどで)を徹底すること,などが要求され,学長は,教員の意識改革を指導する,個々の科目についてのアンケート結果を公開する,と答弁した.また前田副市長は,総合的教員評価制度を導入して,教育の質の向上を図る,と答弁した.

さらに生涯学習に関する質問があった.リカレント講座などの現状,どのような工夫がなされたのか,などの質問の後,キャンパスの位置から,サービスが南部に偏り,もっと北部の住民にもサービスが及ぶべき,という意見が述べられた.学長は,生涯学習講座などの講師業務は本来業務としてとらえ,積極的に参加するよう教員の意識改革をおこなう,と答えた.

産学連携に関して,(特許などの)知的財産については,16年度に教員個人から大学に移行する,との答弁があった.

 

米盛(ネット)

高大連携に関する質問.

科研費に関する質問.市大の採択率は全国平均より低い.2003年度の部局別新規応募状況は?の質問に対し,木原88%,鶴見61%,医56%,八景46%,経研20%,商16%,国際14%などの回答があった.外部資金の獲得は重要との指摘があり,事務局長は教員の意識改革が必要と答え,学長は,全教員が外部資金を獲得するよう,リーダーシップを発揮する,と答弁した.

その他,「知的財産アドバイザー」の設置.機関として知的財産の管理など.

 

 

関(共産):定款にはその目的に「研究」がないが,研究の後退ではないか?

高井:1条「卓越した知的資源の開発」に含まれている.

関:国立大学法人の国会審議で,学問の自由,大学の自治がおびやかされるということが明らかになり,付帯決議がなされた.公立大学法人も,定款の作成,大学の認可に関し,学問の自由,大学の自治が侵されることがないよう,大学の自主性を最大限発揮されるようとされている.今回の定款はその主旨にのっとっていない.教学に関わるものが教育研究審議会で審議されず,経営審議会の審議事項になっている.逆ではないのか?

高井:教育研究組織を含めた法人は,運営経費を伴うことなどから経営審議会の審議事項にしている.

関:審議内容の規定は法人法にあるのか?

高井:77条に,・・・・とのみ規定されている.

関:今の答弁では,規定されていない,と受け取れる.国立大学法人法に準じるべきではないのか?したがって(教学に拘わる部分は)教育研究審議会の審議事項にすべきではないか.

高井:法の主旨に基づいて定款で定める.

関:教員人事について定款に定めがない.どこで行うのか?

高井:「大学像」を踏まえて規定してゆく.

関:教員人事は大学の自治の根幹をなすもの.国では教育研究審議会で行っている.だから本市でも教育研究審議会で行うと銘記すべきだが,なぜ銘記しなかったのか?

高井:定款事項ではない.「大学像」を踏まえて決める.

関:各審議会にも,学長選考会議にも学外者が入っている.役員についてはもっと極端で,学長以外すべて学外者の理事ということがあり得る規定となっている.全員学外者ということは可能か?

高井:病院長など入るから,すべて学外者ということはない.

関:市長はあり方懇など,すべて学外者を採用しているが,これでは憲法で定めた学問の自由は守れない.付帯決議の主旨を守る姿勢がみられない.重大な点なので副市長に伺う.

前田:学長(副理事長)が経営審議会のメンバーになることをはじめ,教育研究審議会が経営審議会に意見を述べることができるなど,・・・・

関:学長と理事長を分けたのは学外者を入れたかったから,と思いたくなる.分けた場合でも学問の自由を担保するものでなければならない.この点はどうか?

高井:学長は経営審議会に入っている.さらに学長は教育研究審議会の最高責任者であり,学内者,学長が指名する有識者で構成される.さらに教・審は経・審に意見を述べることが出来る

関:理事長の権限がつよすぎる.理事は学長が任命すべきと考えるが.

高井:法人法で,理事は理事長が任命するとなっている.

関:理事長は市長が任命するとなると,大学の自治は無きにひとしくなると思うが・・・

高井:副市長がいったように,教育研究に配慮したものとなっているので,指摘はあたらない.

関:付帯決議にそった定款の見直しを求める.

関:つぎに(プロジェクト部会発足の高井の挨拶の中で)1月末にコース,3月末にカリキュラム,を決定したいと述べているが,現状はどうなっているか.

高井:現在プロジェクト部会の中で鋭意検討している.

関:コースについては1月末ということだったが,まだ検討中か?

高井:現在プロジェクト部会で検討している.

関:まだ検討中ということは遅れているということ.拙速だったのではないか?

高井:「大学像」を踏まえて検討しているので,拙速ではない.

関:部会に教員は参加しているのか?各学部からでているのか?

高井:国際教養科学部(仮称)のコースについては,広く教員に参加を呼びかけ,選考にあたっては学長の意見をきき,決めている.教員10名,職員2名でやっている.

関:各学部からでているのか?

高井:看護短大は入っていないが,作業部会でやっている.

関:今「応募」の話がでたが,これは非常に問題だと思った.応募書類には「協力します」と誓約書のようになっている.大学改革に異論のある教員は参加するな,というのとおなじではないか.

高井:大学自ら定めた「大学像」を尊重する,ということだから,これを協力する人にお願いするのは至極当然のことである.

関:それには異論がある.コース・カリキュラムは教授会がかかわって当然だが,全く無視されている.異常なすすめ方だが見解は?

高井:大学自ら定めた「大学像」を踏まえて,設置者としてさらに検討を加えている.「大学像」の策定については,評議会が,教授会ではなく,プラン策定委員会にその権能を与え,ここで議論しとりまとめて評議会で最終的に決めた.

関:異議がある.学長はこのようなやり方を認めるのか?

小川:「大学像」は私から設置者である市長にすでに渡してあるので,新たなコースとカリキュラムの枠については設置者により決定するものと考えている.カリキュラムの内容については,教員の意見がコース等検討部会をとおして反映されると考えている.その上でコース・カリキュラムの検討は部会に参加している教員の叡智をしぼることにより,より一層よいものができると考えている.そういった面でも設置者に協力・支援をしていきたいと考えている.

関:2004年度入学の学生は現行のカリキュラムだが,最長何年まで保障されるのか,また休学などで必修科目がなくなって卒業できないという事態,卒業を保障すると言う考えはあるのか?

高井:16年度以前の入学者については,在学期間の範囲内で,法人化後も現行の学部の学生として卒業できるよう検討(?)している.

関:あり方懇以来,各学部から19の決議が出,医学部でも22名の有志による要望がでている.「大学像」は学内の総意でないことを示すものだ.定款作成の過程で教授会との話し合いがあったとは聞いていない.また??という学生のグループは学費の値上げにつながる改革は反対と学長に申し入れたが一度も会ってくれないと言っている.

小川:改革案は大学が一体となって検討しまとまたものであり,学生に対しても昨年103日に私自ら説明し,アンケートも実施し,意見募集につとめてきた.この改革案を基本的に尊重するとの設置者の考えもしめされ,教員や学生の意見を聞きながら改革をすすめていくものと,理解している.

 

 

田中(自民):中田市制のもとではさまざまな改革が進められている.市民の視点にたって行うことは極めて重要.大学においても例外ではなく,市民感覚にたった大学運営が求められている..しかし大学は病院以外は市民との接点は希薄であった.このことは市大の意識の現われである.市民の視点,感覚にたった大学運営が重要であるとの観点から質問する.

少子化の進展,グローバル化など社会が大きく変わる中,大学も法人化をすすめている.私立大学も生き残りをかけて,血のにじむ努力をしている.大学間競争.市大も「横浜市が有する意義ある大学」となることが,市民・納税者から求められている.この中で市大ではどのような経過で大学改革をまとめてきたか?

高井:平成10年ころからすすめてきた.昨年5月,市長から改学宣言を受け,プラン策定委員会(通称プロジェクトR)で議論をかさねて改革案「新たな大学像」をまとめた.最終的に評議会の議を経て,昨年10月学長が市長に提出した.12月には設置者の考え方が出された.

田中:大学が一体となってまとめた「新たな大学像」は市大の叡智を集め,議論をつくしてまとめたものだと思うが,学長の所感を伺う.

小川:プラン策定委員会で,それまでの検討を踏まえ,議論をつくして「新たな大学像」を策定し,最終的に評議会の議を経て決定した.厳しい大学間競争の中で,横浜市が有する意義ある大学」として生まれ変わるため,大胆な改革案を策定できたと考えている.「新たな大学像」の中身はこれから.孫福氏ともども,横浜市民が誇りに思える大学に改革していきたいと思う.

田中:大学自らがきめた「大学像」に対し,いくつかの学部教授会では反対をしているようだ.どの部局が反対をしたのか?

高井:評議会の議を経て決定し提出したあとに,国際文化学部,商学部,木原生物学研究所が大学案について異議を唱える形で文書を学長に提出した.

田中:大学が一丸となって改革に取り組まなければならない時期に,このことは非常に残念.そこで国際文化学部長に,改革に取り組む決意と,教授会決議について伺う.

黒川:これからの大学は広い視野と大局的な判断力を身につけた人材を組織的に育てること,街づくりの推進者(大学院)を養成することで,学生・市民に貢献できる大学を積極的につくることを考えている.教授会決議については,教授会で人事規定・人事委員会などについて問題とする発言があり,決議をし,提出したが,大学改革そのものを否定するものではない.

田中:つぎに商学部長に改革に取り組む決意と,教授会決議について伺う.

川内:大都市をめぐる経済情勢,産業構造等が変化するなかで,産業界が変化に対処できる学生を社会に送り出すためには,大胆に教育の改革を推進することが不可欠の課題であると考えている.教授会の意見・要望等については,教授会で任期制の問題や意思決定の問題等について発言があり,意見・要望という形でとりまとめて提出したが,学部長として大学改革そのものを推進するという立場に変わりはない.

田中:学長は「大学像」を十分議論してまとめたと答弁したが,木原教授会では「評議会で十分な議論を経ず性急に決定された」として遺憾の意を表明している.このことにつき,評議員またプロジェクトRのメンバーでもある木原生研所長の所感を伺う.

宮崎:先生のご指摘のとおり,私自身,評議員・プロジェクトRのメンバーとして,大学改革の議論に参加してきた.改革案の中には,私の意見も反映されていると思っている.しかし時間的に限りがある中で十分な議論ができなかった点,また一般教員が十分に理解できなかった点があり,教授会であのような遺憾の表明になったと理解している.私自身は十分に説明できなかった.私は一部局長として学長に協力しながら大学改革を積極的に推進する所存である.

田中:今のことに関して学長の意見は?

小川:改革を進めるにあたって全員の賛成をえることは難しいが,「大学像」は評議会の決定に基づき,私自らが先頭にたち,大学が一体となって検討を重ねてまとめ,最終的に評議会の議を経て決定し,私から市長に報告した.したがって今もって反対派の教員が,大学をとりまく厳しい社会経済情勢等,現状認識をしていないのは大変残念であり,評議会の議を経て決定しているにも拘わらず,一部の教授会がこのような対応をとったことは極めて遺憾である.

田中:過日の新聞に教員組合の意見広告がでていたが,教員は何人,組合員数は?

高井:21日現在,教員は642名,組合員数は163名.われわれとして4分の1程度と・・・

田中:皆が一丸となって進めることが大事だが,一方どんな改革でもさまざまな意見があるのは当然で,変化を恐れ,既得権を守ろうとするため,改革に後ろ向きな人も少なからずいるというのは世の常.粘り強く強靭なリーダーシップ,他者を感動させ引き寄せる人間性が必要.どのような問題意識をもって改革に臨むか,学長の決意は?

小川:少子高齢化社会.非成長,大学をとりまく社会状況は厳しいものがある.加えて国立大学の法人化,私大も生き残りをかけた経営努力を行っていることを考えると,改革は一刻の猶予も許されない.一部に反対する動きがいまだにあるが,教員の意識改革を図るとともに,教員をまとめるべくリーダーシップを発揮し,設置者の改革推進本部に協力し,引き続き全力で取り組む.

田中:副学長はどうか?

柴田:改革の実現は待ったなしであることを肝に銘じている.学長を補佐し,教育担当と言う立場でもあるので,大学教育の主体は学生であること・・・改革の実現にむけて最大の努力をする.

奥田:これが最後のチャンスということを肝に銘じ,学生の教育に重点を置くことは当然だが,研究担当副学長として,学長を補佐し,外部研究費の導入など,研究による教育の充実や地域貢献の推進などしっかりその役割を果たし,改革案の実現にむけて最大限の努力をしていくよう決意している.

田中:事務局長は?

高井:市長を補佐する立場,学長を補佐する立場,両方を担っている.改革推進本部長の職務代理者として,設置者としての動向(?)を示しながら,改革案の実現に向けて,市長の言う「換骨奪胎」にならぬよう,174月に魅力ある大学となるよう不断の努力をしてゆく.

田中:医学部では一部の教授が有志という形で,任期制の導入などに反対する意見調整をし,署名捺印して学長に提出したと聞く.この意見表明は,その背後で副学長の要請があったともいわれており,現時点では真偽のほどは分からないが,この大事な時期に,大学の運営責任の立場にある者の中にも,水面下で改革に水をさすような動きがあると受け取らざるをえない.他学部,教員組合,OB教員の動きなどを考えると,大学の中が一致しているようには思えない.大学の中において捜査すべき重要な点であると指摘しておくが,いずれ真偽のほどをはっきりさせなければならない.一体となって改革に取り組むよう,要望しておく.

大学改革は法人化だけの問題ではない.今ある問題から解決すべき.先の決算特別委員会で,市大教員の受け持ち時間数,もちコマ数が,商学部においては専任講師2コマ/週,180分にすぎないという驚くべき実態が明らかとなった.市民感覚・一般常識と大学内の慣行とのズレの典型である.その際商学部長はその後増やすといったが,どうなっているか?

川内:専任講師持ちコマ2コマについては,講義課目2コマに加えてゼミ,加えて博士を受け持たせることを16年度より行うこととした.講師に限らないが,授業以外で学生の質問に答えるオフィスアワーを9割以上の教員が実施している.

田中:3学部の教員の42%が,授業受け持ちが週2日となっていることについても明らかとなっている.学生の要望に答えるには,授業をある曜日に集中させて,担当教員が不在となるのは好ましくない.この実態について教育担当副学長の所感は?

柴田:問題発見,解決能力をもった自立できる人材を育てるという目的をもっており,教育に重点をおいた大学としてさらなる努力を行う.正規の授業以外に実験指導,医療指導,などに時間をさいている教員もいる.さらに学生の立場にたった視点で,学生と接する機会をふやすなど,教員の意識改革をすすめとりくんでゆく.

田中:認識の甘い先生方には強力な指導をせよ.

 

このあと,就職指導・支援の問題が論じられた.就職率は3学部で89.7%,医,看護は100%,

市内就職率は昨年,3学部で27.3%,医で53.2%などが述べられた.

 

田中:自己の確立が重要と思うが,自分の経験をふくめて学長はどう思うか?

小川:田中先生の仰るとおり.・・・私は24歳のときアメリカの大学院で学ぶ機会を得た.サンフランシスコに到着してまず感じたことは,このような大きな国となぜ戦争したのだろうか,ということであった.大局的判断を誤ることの恐ろしさをつくづく感じた・・・自己の確立を促す教育を受けること,新しい環境に自ら飛び込む勇気をもつこと,当を得た大局的判断を下すこと,以上が大人としての人間養成に不可欠であると考える.

 

 

田中:東京新聞の記事は市長は「誤報」だと言っている.誤りがあったのか?

小川:明らかに事実と異なった点があったと認識している.

田中:どこが事実と異なるのか?

小川:「密室で決定」「いきなり公表」「トップダウン」などとあるが,平成10年ころから考えてきたものであり,大学自身で考え,十分議論し,大学自らが策定した案を私から市長に報告した.設置者である市と大学がともに実施しているものであり,「密室・・・」などは市大改革にかんするかぎりされていない.

田中:「研究費0」や「逃げ出す教員」など,センセーショナルな見出しもあったが・・・

小川:研究費0も誤り.市費による研究費は一律に配布するものではなく,大学の目標に照らして精選した分野に負担(?)する.「大学像」「あり方懇答申」にも研究費0はどこにも表記されていない.「逃げ出す教員」についても,教員の移籍は,大学相互の人事交流・活発化,さまざまな理由によるもので,大学改革によるものとは考えていない.改革には多少の不安を伴うので,極力回避するよう考える.

田中:大学の(新聞社への)対応は?

高井:反対派の主張のみをとりあげ,取材が一面的であり,報道の使命に反する.大学として支局にたいして直ちに抗議するとともに,続報記事掲載等の善処方を強く申し入れた.220日には学長名による善処方申し入れを行っている.

田中:前田副市長の考えは?

前田:大学が自ら作り上げた改革案はすばらしい改革案であると高く評価しているので,このような報道がなされたのは残念.広報横浜,HPなどで広く市民に知ってもらう.

 

以下,定款について.

特色,理事長・学長の分離の意味,その効果,学長選考について.学外者を入れる意味.

「透明性」「公正性」「客観性」が増す.

 

小川:(人事について)学長の諮問機関である「人事委員会」を創設し,委員に学外有識者を入れ構成する.教員人事についてはこれまでともすれば透明性に欠けるのではないかという指摘もあったが,先生ご指摘のとおり,教員以外のものが参加する「人事委員会」で行うことにより,今後は「透明性」「公正性」「客観性」を高めることが出来る.

 

小川:(任期制について)一部の教員,教員組合が不安をあおるような宣伝をしているのは遺憾である.任期制により教員の意欲を高めることが出来る.理解が得られるよう働きかける.

 

この後,地域貢献の重要性が取り上げられ,各学部長がこれまでの地域貢献について一人一人答弁させられた.

医学部(関原):医師の輩出,医療そのもの.

商学部(川内):産業再生,リカレント.

国際文化(黒川):リカレント,高大連携

理学部(馬来):産業活性化,ナノテクノロジー,生命科学,共同研究の実施,産学連携

木原(宮崎):所一日公開,リカレント

 

これに対し田中議員は,「医,理以外はよくわからん」と評価した.

 

前田副市長は,地域貢献は今回の改革の根幹であり,大学の基本的責務であるとの認識を示し,全教員の意識改革を行うことが必要と述べた.

 

学生に対しても,大学が市税でまかなわれていることを伝えることを伝えること,また学生の市民活動への参加を単位認定することなどが提案された.

 

このほか,粒子線癌治療基本構想,病院の安産管理,熱湯事故,医学教育改革などについて意見が述べられ,「先生のご指摘のとおり」とする答弁が繰り返された.

 

 

大滝(公明):改革の足を引っ張るような行動が教員の中にあるのは残念.「大学像」は大学自らが公表したもの.市民は期待している,と声高に強調.

 

今回の入試の状況:改革の影響は無かった.

 

ここでも,教育研究審議会が経営審議会に「意見を述べることができる」ことが,地方独立行政法人法の69条に述べられている「大学の特性に配慮」したものであることが強調された.

 

法人化後の入試,卒業要件について:ペーパーテストだけでなく,AO入試も検討する.卒業要件に,幅広い実践力,特に英語力などを考えていると,高井局長が答弁した.

教員の評価基準について,誰が行うのかとの質問に,学生・患者による評価,外部委員を加えた評価委員会,今後専門家の意見を聞きながら決定する,と答えるなど,この方面の検討は遅れていることを示す答弁であった.

 

 

高梨(民主)

「大学像」は大学自らまとめたもの.平成10年から審議していたというが,6年費やしてもまとまらなかった理由は何かと聞かれ,小川学長は,学長の権限が不明確であったこと評議会が機能していなかったことが原因であると述べた.どうして評議会が機能しなかったのか,の質問には,評議会が教員のみで構成されており,迅速性を欠いていたこと,今後は教員・職員の協働,パートナーシップが重要であることを強調した.高井事務局長は,600人の教員に対し,職員は2100人おり,評議会には職員はいなかったこと,自らも幹事として出席していたことをあげ,今後この点は改革で変わる,と述べた.

 

最後に議長から,本件は今後,常任委員会(大学委員会?)に付託して議論をすすめることが提案され,りょうしょうされて予算特別委員会は終了した.



[]

執筆者の了解を得て,『市会傍聴記』についての“感想”を以下に掲載する.

 

(1)は『傍聴記』の執筆者自身によるもの,(2)は『傍聴記』を見たある方からのもの(抜粋)である.

 

(1)

大学側委員は6,7名が1列をなし,全部で4(5?)列.最前列には前田副市長,学長,事務局長の順で席を占め,以下事務吏員,第2列には2名の副学長,以下事務吏員,3列目には各学部長らが席を占めた.

各委員の質問は,殆どが原稿の棒読みであり,これに対する大学側の答弁もほとんどすべて原稿を読みながらの答弁であり,白熱した議論は皆無であった.特に学長の答弁は,ほとんど原稿から目を離すことなく,抑揚のない答弁に終始した.

おそらく官僚の書いた原稿を読み上げると言う,日本の悪しき慣行を地でゆくお粗末な議会運営である.

共産党議員の質問を除いて,全体を支配した雰囲気は,「大学改革は当然であって,もっとびしびしやれ」という議員の要求に,大学側は「ごもっとも.しっかりやります」という姿勢に終始したということである.そこには大学らしさ,毅然とした応答といったものは微塵も見られなかった.とくに特徴的であったのは,自民党議員が,各学部で出した要望・見解などにつき,各学部長個々人に詰問するような調子で答弁を求めたことである.

もはや市大は危篤状態,あるいはもう息絶えているのかも知れない.

大学側の答弁のキーワードは,「横浜市が有する意義ある大学」,「地域貢献」,「教員の意識改革」,「大学が一体となって作成した『新たな大学像』」,「一部の教員の反対」等々であ

る.

 

(2)

・・・都庁の大学管理本部の論法と○○議員の質問はまったく同じ恫喝そのもので、唯一批判的な関議員以外は全員が大学教育委員以外のメンバーで、おそらく、この間の経緯も運動もよく知らず、市大事務局の「質問資料」やブリーフィングをそのまま鵜呑みにしたもので、拝読しながら寒心に堪えません。・・・

 民主主義の原則からいえば、教員組合はじめ彼らが非難している「反対派」も召喚してアメリカ流の「公聴会」にすべきですが、一方的で直接傍聴も許可しない(注:当該の「予算特別委員会」は直接傍聴ができず,モニターテレビの中継を見るようになっている. http://www.city.yokohama.jp/me/sikai/bocho.html 参照)当局側の「議案説明」だけで、おそらく定款も無修正で採決するでしょう。・・・

 小川学長もしきりに「意識改革」などと答弁していますが、教員には母体の理科系にだけ、学生にも1回だけの説明しか行わず、どうやって説得するのでしょうか?商学部が先駆けている教員の大量流出は、いくら『東京新聞』の記事を「誤報」と非難しても、「大学相互の人事交流」と取り繕っても、厳然たる事実として止めようがありません。商学部では1年後の法人化・学部統合の際には現時点ですでに14名の欠員が確定しており、その時までには51名の定員が30名程度にまで激減しているでしょう。

 あたかも昨316日付けの『東京新聞』に、都立大・短大の教職員組合が掲載した意見広告 http://www.shutoken-net.jp/web040317_6tokyo.pdf にも、”任期制・年俸制の導入は「頭脳流出」による「大学破壊」を決定的にする!”と強調されている事態が、すでに横浜市大では現実のものになっています。中田市長・小川学長はじめ市職員・議員も、この重い事実を真摯に受けとめるべきでしょう。