「意見広告の会」ニュース121

[1]教育学・教育法学関係者のみなさんへ 教科書ネットからの呼びかけ

[2]特集 石原知事による「思いつき」と「東京の破壊」

[3]東京大学 「病気休暇期間中の給与は無給とする案」を撤回

 

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From: "意見広告の会" <qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp>

To: <qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp>

Sent: Wednesday, March 31, 2004 1:58 AM

Subject: 「意見広告の会」ニュース121

 

 

「意見広告の会」ニュース121
  
** 目次 **
1 教育学・教育法学関係者のみなさんへ 教科書ネットからの呼びかけ 

2 特集(たまたまこうなりました。)
  石原知事による「思いつき」と「東京の破壊」
@ 都教委 教職員180人を処分 朝日新聞 3/30夕刊
A 教員の96%新大学へ移行 都立大めぐる混乱収拾へ 共同通信ニュース
  来年新設の「首都大学東京」 構想最終案まとまる NHKニュース速報
B 都立大学総長声明  重要
  *付 一教員の観測
C ポーカス博士の見解
D 『新銀行東京』不安な門出 東京新聞 3/30朝刊 抄

3 東京大学 「病気休暇期間中の給与は無給とする案」を撤回


1 教育学・教育法学関係者のみなさんへ

 ご承知のとおり今般の卒業式シーズンでは、「1023」通達を発した東京都を中心に
、常軌を逸した「日の丸・君が代」強制の嵐が吹き荒れています。この《現代版・踏み
絵》の強行で、子どもの内心の自由が踏みにじられ、子どもの自律的な思想形成を確保
しようとする教員にも「処分」の脅しがかけられています。
 一方、今年130日には、都立高校などの教員228名が原告となり、東京都教育委員会
に対して「国歌斉唱義務不存在」の確認を求める訴訟が提起されました。また、処分を
通告された東京都の教員たちが次々と都教委による「事情聴取」を受け、そこに支援の
弁護士が「立会い」を求める、といった動きもあります。東京都教委は330日、異例
の速さで180名の教職員を戒告処分にすることを決めました。
 このように、「日の丸・君が代」をめぐる攻防は、従来にない激しい展開をみせてい
ます。この動きが、教育基本法「改正」を《先取り》する教育の国家主義的な統制の一
環であることは多言を要しないでしょう。
 こうしたなか、この緊急課題に関する教育学・教育法学関係者の発言や行動は、決し
て十分であるとはいえません。教育学関連の15学会が、一昨年来、教育基本法の改正問
題をテーマとする「共同公開シンポジウム」を数次にわたり開催してきましたが、これ
らの研究成果に基づき、現在の緊急課題に関するメッセージを社会に向けて発信するこ
とが、いま求められているのではないでしょうか。
 以上のような考えから、私たちは、「日の丸・君が代」問題に関する緊急アピールの
取り組みを準備することといたしました。つきましては、大変急な提案ですが、下記の
とおり準備会の会合を開きたいと思いますので、ぜひともご参集ください。
2004
330
俵 義文(子どもと教科書全国ネット21事務局長)
成嶋 隆(日本教育法学会理事・同学会教育基本法研究特別委員会委員長)
   西原 博史(日本教育法学会理事・同学会教育基本法研究特別委員会事務局長)

                記
「日の丸・君が代」問題教育学・教育法学関係者緊急アピール準備会
日時 200441日(木)1430
会場 九段社会教育会館第2学習室(地下鉄「九段下」駅下車・6番出口正面)
   (「千代田区教科書研究会」の名前です)
議題 上記「緊急アピール」について
         連絡先 子どもと教科書全国ネット21 俵 義文
             03-3265-7606 Fax:03-3239-8590
             E-mailkyokashonet@a.email.ne.jp

子どもと教科書全国ネット21
Children and Textbooks Japan Network21(CTJN21)
E-mail
 kyokashonet@a.email.ne.jp
HP
 http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/
03-3265-7606 Fax03-3239-8590


2 特集
@ 卒業式の「君が代」起立せず 教職員180人を処分 都教委
    朝日新聞 3/30夕刊

 東京都教育委員会は30日、今月の卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかった都立
校の教職員約180人を戒告などの処分にすることを決めた。4月に、追加の処分を決
める。異例の大量処分だ。教員らには「内心の自由を縛っている」と反発が強く、今後
、不服審査の申し立てや訴訟が相次ぐのは必至だ。
 4月の入学式での実施を徹底するよう、処分を急いだと見られる。起立しなかった嘱
託職員は今年度限りで契約を打ち切る方針だ。
 都教委は昨年10月、都立の高校や盲・ろう・養護学校に対し、「日の丸・君が代」
の実施を細かく規定する通達を出した。卒業式には監視役の職員も派遣した。この結果
、日の丸の壇上掲揚、ピアノ伴奏などによる君が代斉唱は全校で実施されたが、一方で
起立しない教職員も相次いだ。
 関係者によると、都教委は処分に先立って事情聴取を実施した。しかし、聴取の条件
として弁護士の立ち会いを求める教員が続出、結果的に説明や反論を聴かないまま、処
分を決めた事例も多いという。

A 教員の96%新大学へ移行 都立大めぐる混乱収拾へ
  共同通信ニュース速報 [2004-03-29-21:45]

 東京都が都立の4大学を統合して2005年4月に開設予定の「首都大学東京」に4
大学の教員の約96%が移行する見通しになったことが29日、分かった。
 一時は新大学構想に対する反発から都立大教員の6割近くが新大学への就任意思確認
書を提出せず混乱が広がっていたが、事実上収拾へ向かうとみられる。都は教員配置を
固めた上で4月下旬、文部科学省に設置認可を申請する。
 都によると、意思確認書をまとまって提出していなかった都立大理学部や人文学部の
教員らの大半を含めて、4大学の対象者513人のうち、491人が24日までに提出
した。経済学部の一部教員がなお就任意思を明確にしていないが、説得を続けるという

 新大学構想をめぐっては都主導の進め方に都立大を中心とした一部教員が反発。都が
2月末までに提出を求めた就任意思確認書の未提出者は、都立大に限ると約57%に上
った。これに対し都側は「妥協はありえない」と強硬姿勢を取り、不足する教員を公募
する構えも示していた。
 しかし設置認可申請が近づく中、打開策を探る動きが活発化。23日には都立大など
4大学の学長と、新大学の理事長就任予定の高橋宏郵船航空サービス相談役、都大学管
理本部の山口一久本部長が会談した。
 都幹部は「新しい大学で一緒にやっていく意思のある人は受け入れる」としており、
都立大関係者は「われわれの意見も新大学づくりに反映させていきたい」と話している


来年新設の「首都大学東京」 構想最終案まとまる
  NHKニュース速報 [2004-03-29-18:47]

 東京都が来年、新たに開設する「首都大学東京」の内容などについて検討している委
員会は、学科試験を行わずに調査書や面接で入学者を選ぶ制度など多様な選抜方法を導
入することを盛り込んだ構想案をまとめました。
 「首都大学東京」は、都立大学や都立科学技術大学など4つの大学を統合して、来年
(平成17年)4月、東京都が新たに開設するものです。
 きょうは都庁で、学部構成などについて検討している委員会が開かれ、大学の構想案
をまとめました。
 案では、学力試験では測れない能力を持った学生を受け入れるため、調査書や面接で
選ぶAO入試や、高校を卒業していない人などに大学が指定した科目を履修してもらい
、その成果で入学者を選ぶ制度など多様な選抜方法を導入するとしています。
 また、国内外の大学で取得した単位や青年海外協力隊での活動やボランティア活動に
ついても学内の教員や外部の有識者でつくる委員会で評価したうえで単位として認める
「単位バンク制度」を導入します。
 「首都大学東京」をめぐっては、現在の都立大学の教員や学生から「教員らの意見を
きかず、一方的に進めている」などと批判の声が相次ぎましたが、東京都によりますと
、4つの大学の96パーセントの教員が新しい大学に移る意思を示したということです

 東京都はこの構想案をもとに、来月、文部科学省の審議会に「首都大学東京」の設立
を申請することにしています。


B 都立大総長声明
   全学の教員のみなさんへ
     2004年3月29日拡大教学準備委員会とその評価について

標記の件について、その主な内容を報告し、総長としての評価をお伝えします。

1.3月23日、総長の呼びかけで、総長・学長、大学管理本部長、理事長予定者の懇
談 会が開催された。
(ア)そこでは、2005年(平成17年)4月、新大学を開設すべく、大学の代表た
る  総長・学長、大学管理本部長、学長予定者、理事長予定者による十分な協議を行
いつ  つ準備をすすめることが確認された。
(イ)経済学部の経済政策専攻(COEグループ )も新大学に参加する方向をとるよ
う  働きかけを行うこととなった。

2.3月29日、第7回教学準備委員会において、おおむね合意した内容ないし方向性
の うち、重要と考えられるのは、以下のとおりである。
(ア)上記1の(ア)をあらためて確認した。
(イ)新大学は教育と研究の一体となった総合大学とする方向で議論が行われた。より
具  体的には、大学院部局化の方向をとり、基礎研究も位置づけるなどである。
(ウ)学部等の名称について、これまでの仮称とは別のものを採用する可能性について
議  論した。また、単位バンク等については継続して協議することとなった。

3.昨年8月1日以降の経過を念頭におき、3月23日の懇談会および3月29日の教
学準備委員会の内容を評価すると、総長としては、そこに重要な前進があったと考える


*付 一教員の観測
2の(イ)は、人文、理などの大学院構成について、現研究科の意向を尊重する、と
いう趣旨(確実なものにするにはまだまだかかりそうですが)であり、
(ウ)は「都市教養学部」の名称変更(「総合教養学部」が有力)、「単位バンク」は
当面「一部試行的扱い」にする(これも微妙)、ということです。
昨日の「教学準備委員会」では、はじめて議論らしい議論をやり、都立大側の主張が
だいぶ通ったようです。ただし、「座長預かり」の事項が多く、予断を許さない(申請
までの一時しのぎ?)と思っています。


C ポーカス博士の見解 「やさしいFAQ」より
L-14   2004
329日配信の共同通信ニュースには,「教員の96%新大学へ移行都立
大めぐる混乱収拾へ」という記事が出ていたのですが,その真相は?

ポーカス博士
yahoo
ニュース速報の共同通信ニュース( http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=200403
29-00000228-kyodo-soci
)に載っていたな。「東京都が都立の4大学を統合して200
5年4月に開設予定の「首都大学東京」に4大学の教員の約96%が移行する見通しに
なったことが29日、分かった。」と報道された。さらに,「一時は新大学構想に対す
る反発から都立大教員の6割近くが新大学への就任意思確認書を提出せず混乱が広がっ
ていたが、事実上収拾へ向かうとみられる。都は教員配置を固めた上で4月下旬、文部
科学省に設置認可を申請する。」となっているが,その真相はちょっとこみいっている
。ここで意思確認書の話を書きたくても書けなかった事情がある。簡単に説明しよう。
 

(i) 3
4(): 都立4大学学長,理事長予定者,学長予定者,管理本部長のトップ
会談が開かれる予定だったが,よく分からないところから横やりが入りキャンセルにな
った。
(ii) 3
8(): 急遽,都立大総長が管理本部に呼ばれ,説明を受け,翌日には
理本部長と学長予定者連名の文書が配布される(いわゆる恫喝文書)。
(iii) 3
9():  3月8日の総長と大学管理本部長の会見に係る評議会見解が発
表される。
(iv) 3
23(): 都立4大学学長,理事長予定者,管理本部長のトップ会談が開か
れる(学長予定者は欠席)。
(iv) 3
29(): 第7回教学準備委員会が開かれる。

まず,トップ会談(3/4)がキャンセルされてしまったこと。せっかく話し合いの場が設
定されて,当事者が集まる予定になっていたのに,別の所からの圧力がかかりキャンセ
ルになったという噂だ。その噂の背後には,大学管理本部と知事,副知事のあたりの力
関係・人間関係がからまっているという噂で,真相は分からない。その結果,総長が管
理本部に呼ばれ(3/8)恫喝文書(3/9)と同じ内容を告げるられることになった。話し合い
の土壌はここで一旦とぎれてしまった。
 都立大学総長や一部の学部,教員達は,管理本部との話し合いの場所を作ろうと努力
した(今度は,横やりが入らないように気を使った)。管理本部側も一部でかなり軟化
し,話し合いの機運が高まった。教学準備委員会(3/29)に先立ち,管理本部の知事や副
知事の所でのブリーフィングが行われた。そして,そのあたりのタイミングを見計らっ
て人文学部の意思確認書がまとめて事務局長に提出された(3/22)。提出の仕方は,個人
単位の署名・捺印を拒否して<まとめてドーン>方式だった (評議会決議の精神に反す
るという批判もあるが,このような裏技で,「威嚇」が無効になり,問題の焦点が4
末の意思確認書に移ったという認識もある)。これで,管理本部としては,「意思確認
書が人文学部からでました」と胸を張って報告でき,人文学部としては,「これを機会
に話し合いをして大学院を作っていきましょうね」という下地を作ったようだ。本当に
有効なのかどうかは分からない。その結果,経済のCOEグループとその他の絶対意思確
認書には屈しないという態度表明をしている一部の教員を除くと,意思確認書が出そろ
ったことになる(何が書いてあるかは分からない意思確認書だが,管理本部は今回,そ
の内容については一切問題にしていない。とにかく提出者の数が欲しいようだ。)。3
23日にトップ会談が無事に開催され,今後,何らかの形で「話し合い」をするという
方針がようやく口頭で了解されたという噂だ(口約束というのが気になるが)。 329
日の教学準備委員会の内容に関しては,まだ情報をつかんでいないが,人文学部では緊
急長時間教授会が開かれる予定だ。
 さてさて,お待たせしたが,「教員の96%新大学へ移行 都立大めぐる混乱収拾へ
」というのは本当だろうか? それは,4月末の就任承諾書の提出率を見ないと分から
ない。一時的に混乱が収拾される方向に向かっているように見えても, 4月末の就任
承諾書提出を巡る混乱, その何ヵ月か後に予定されている法人就任承諾書提出にあた
っての混乱が確実に起きる。その前に定款の案が発表されるはずなので,そこでも任期
制に関する議論が高まるじゃろう。


D 『新銀行東京』不安な門出 抄出
 石原慎太郎東京都知事の選挙公約だった「新銀行東京」に一千億円を出資する都の新
年度予算案が三十日の都議会で可決する。これで来年四月の開業に向けてゴーサインが
出たことになり、準備会社が四月一日に発足する。中小企業向け無担保融資、JR東日
本の「Suica(スイカ)」などと提携したICカードの発行が新銀行の目玉。しか
し、リスク対応や経営チェックについて都の説明は十分とは言えず、多くの課題を残し
たままの船出となりそうだ。 (社会部・築山英司)
 記事略

金子勝教授に聞く
 中略
 銀行が債務超過企業に貸し出す方法は限られている。(1)商工ローンのように、融
資先企業から倒産リスクを組み込んだ非常に高い金利を取る(2)金融庁の検査と食い
違っても、融資先債権の査定を甘くする(3)銀行側が企業内部に入って粘り強く経営
を再建する−のいずれか。(1)と(2)は適切ではない。必要なのは(3)の企業密
着型のリレーション・バンキングの充実だ。
 それには多くの行員が必要となる。ところが、新銀行は経費率を引き下げるために店
舗も人員も抑える。かわりに、業務提携や業務委託をしたり、企業再生ファンドに出資
したりする。特定の金融機関や企業をもうけさせるだけなら、都が出資する意味がどこ
にあるのだろうか。
 財政難の下で、社会福祉を含む必要な歳出も削減されている。新銀行の資本に都税な
どを投入するのだから、地域にどれほど貢献し、どの中小企業にどれだけ貸し付けてい
るのか、都民に情報を開示するのが当然だろう。だが、都民への情報開示のルールは示
されていない。 (かねこ・まさる=慶応大教授、寄稿)

3 東京大学 こんな動きがありました。

 本郷地区過半数代表団の質問に対する、東大本部の回答によって、以下のことが明ら
かになりました。詳細は
>http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/gakunai/soumu/jinji/syuki/syuki-top.htm
の末尾にあります「『就業規則意見表明、労使協定締結にあたっての申し入れ』(2004
324日)に対する回答書及び申し入れ」をご覧下さい。

【現行】病気休暇の場合は、90日まで100%給与が支給される
から
【法人化以後の就業規則等】病気休暇の場合、給与は全く支給されない(共済組合から
の給付のみ)
となる、との説明が本部よりありました。
以下、交渉の結果です

【病気休暇の給与の取扱いについて】
 病気休暇の給与の取扱いについては、現況調査の結果をもとに検討した結果、大学側
としても、最後の段階で病気休暇期間中の給与は無給とする案としたところです。
 しかし、この案については、教職員に対する説明が十分とはいえない状況であること
から、それに鑑み、この案の実施は見送ることとし、現行の取扱いを踏襲することとい
たします。

平成16年3月30日
東京大学事務局長 上 杉 道 世