『カメリア通信』第19号 2004年5月14日付:

大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記(その1)

 

 

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横浜市立大学の未来を考える

『カメリア通信』第19

  2004514(不定期刊メールマガジン)

Camellia News No. 19, by the Committee for Concerned YCU Scholars

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大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記(その1)

2004.5.14 一楽重雄(理学部)

昨年7月から9月にわたって横浜市立大学が実施した市民アンケートについては、その結果の一部が公表されている。しかし、そこで公表されているのは「大学改革市民アンケート調査概要」とされ、アンケート結果そのものではない。アンケート結果から横浜市が都合のよい部分だけを抜き出したものではないかと疑わせるものである。いわゆるプロジェクトRの幹事会の内容も、ホームページ上で「議事概要」として公表されているのをもって情報公開をしていると主張しているのと踵を一にするものであり、本来の情報公開の精神とは著しくかけ離れている。

むしろ、横浜市は「情報公開」ではなく「情報操作」を行っているとしか思えない。日本の役所というものが、実は旧態依然としており、それだからこそ、我が中田市長は口を酸っぱくして「情報の共有」を市民や市役所に向けてプロパガンダしているのだと理解するのが妥当なのであろうか。一般の商品であっても本当によいものはあまり宣伝しない、実際には胸を張って言えるほどのことでないことこそ声高に宣伝するのが商売の常であろう。経営の神様と言われた松下幸之助もこの点はよく知っていたであろう。

横浜市は、この市民アンケートと大学財政のシミュレーション委託という名目で、確か1500万円の予算を取っていた筈だが、アンケート結果をこのように使うことは市民の税金の無駄遣いの典型であろう、と私は思う。ちなみに、シミュレーション委託については、結局行われなかったのだろうか、少なくともその結果は公表されていないようである。

このような状況を明確にするために、今年の325日に「横浜市の保有する情報の公開に関する条例」にもとづいて、開示請求を行った。その結果、4月9日付けで一部開示決定通知書が出された。アンケート回答の用紙そのものは全面非開示の決定となり、アンケート結果の集計結果全体が分かる表として請求したものに対してだけ一部開示の決定がされた。これによって、6種類のアンケートの集計結果の手にすることができた。しかし、一部開示の決定であり、個別の意見そのものが書かれた部分は全部黒塗りとされていて、一般市民や学生などの意見の見えるもっとも面白い部分がまったく黒塗りとされていた。開示を受けたときの担当者の説明では、アンケートの回答者に対して「公表しない約束で御願いしているもの」だからというような説明を受け、そういうことも有り得るのかと思い、多少の疑問は持ちつつもそのまま引き下がって来た。

しかし、しかしである。以前に発表された「横浜市立大学の新たな大学像の付属資料」の中にアンケート結果も掲載されていて、そこではなんと個別意見が「具体的意見の例」として紹介されているのである。もちろん、すべての意見ではなく、都合のよい意見だけが抜き出されているのである。

この一事を持ってしても横浜市のしていることが「情報公開」ではなく「情報操作」であることが明白ではないだろうか。

このような結果であるので、当然、不服申立を行うこととした。以下がその内容である。

平成16年5月13日

横浜市長 中田 宏 殿

異議申立人 一楽重雄 印

 次のとおり、異議申立てをします。

 

1.異議申立人の氏名、年齢、住所

一楽重雄、 **歳、 横浜市青葉区***********************

 

2.異議申立に係わる処分

横浜市長が、平成16年4月9日付大改2号、及び、大改3号において、異議申立人に為した一部非開示決定処分(別添の一部非開示決定通知書コピーを参照)のすべて

 

3.異議申立てに係わる処分があったことを知った年月日

平成16年4月10日

 

4.異議申立の趣旨及び理由

異議申立の趣旨

異議申立てに係わる処分のうち、非開示決定の部分を取り消す、との決定を求める。

異議申立ての理由

いずれの件においても、アンケート結果は、そのすべてを市民に公開すべきものであり、都合のよい部分だけを公開するのは、行政として本来許されないことである。非開示と決定された個別意見は、その一部が「大学改革市民アンケート調査概要」(別添)や「横浜市立大学の新たな大学像、付属資料」において具体的意見の例として、すでに大学当局から発表されており、非開示とする理由がない。また、一部開示された文書は、アンケート回答そのものではなく、すでにアンケート結果として編集整理されたものであり、回答者などが識別できる可能性は非常に低いと思われる。なおかつ、仮に識別されたとしても、アンケート内容の性質からして、個人の権利権益を害したり、市との信頼関係が損なわれるとは思われない。

 

5.処分庁の教示の有無及びその内容

「この処分に不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、横浜市長に異議申立てをすることができます。」との教示があった。

 

6.添付書類

(1)   一部非開示決定通知書 大改第2号及び大改第3号コピー

(2)   大学改革市民アンケート調査概要コピー

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編集発行人: 矢吹晋(商学部非常勤講師)   連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp

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