大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記(補遺)

 

 

『カメリア通信』第20号で,横浜市による《不都合部分を全面黒塗りした,奇怪な情報操作》が暴露された.

 

ここでは,昨年8月の『御用アンケート』に関する批判にさかのぼって,現在までに公表された文書を整理しておく.なお,同一内容の文書の重複を含む.

 

 

(1)横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第20号:大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記(その204-5-17

http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-20.pdf 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040517came-20.pdf

 

【抜粋】

《一楽重雄教授(理学部)が「情報開示請求」で入手した6文書のうちの2文書および『新たな大学像の附属文書031029』を対照させて読むと、情報操作の過程が歴然とします。なお、残りの4文書(・・・)も,同様に,(不都合部分を)全面黒塗りしてあります。

この奇怪な情報操作に対して、一楽教授は,不服申し立てを再度行って,「黒塗り部分」および「アンケート調査票」を開示するよう請求しています。ご参考までにお知らせいたします。・・・》

 

 

(2)『カメリア通信』第19号 2004514日付:大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記(その1)04-5-14 

http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-19.pdf

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040514came-19.pdf

 

(3)情報公開における意図的操作―横浜市の場合―04-5-14

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040514nagamine2.htm 

 

(4)『大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記』(その1):横浜市は「情報公開」ではなく「情報操作」を行っている04-5-13

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040513tenmatsu1.htm 

 

【抜粋】

《昨年7月から9月にわたって横浜市立大学が実施した市民アンケートについては、その結果の一部が公表されている。しかし、そこで公表されているのは「大学改革市民アンケート調査概要」http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031029gaiyou.pdf  とされ、アンケート結果そのものではない。アンケート結果から横浜市が都合のよい部分だけを抜き出したものではないかと疑わせるものである。・・・むしろ、横浜市は「情報公開」ではなく「情報操作」を行っているとしか思えない。・・・》

 

 

(5)教員組合:中上 直 総務部長 “欠陥アンケート”を確認し,「これを根拠として使用しない」と明言03-8-20

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030820nakagami.htm 

 

《・・・質問8  アメリカの大学の中には、学部4年間はどの分野にも共通する幅広い教養教育(リベラルアーツ)を総合的に学び、さらに専門分野を学びたい人は各分野の大学院やロースクールなどの専門大学院に進学するシステムがあります。日本でもこのようなリベラルアーツを専門にする大学があればよいとあなたは思いますか。

 

この質問はきわめて誘導的で欠陥のあるものです。このような質問に対して、よいと思わないと回答する人がどれだけいるでしょう。横浜市立大学がリベラルアーツカレッジになるとよいと思いますかという質問ならまだしも、このような質問はアンケート項目としては全く意味をなしません。・・・学長はこのアンケートの欠陥を認めませんでしたが、さすがに、中上総務部長は、このアンケートの欠陥に気づき、このアンケートの結果を、市大のリベラルアーツカレッジ化の根拠としては使わないと明言しました。・・・》

 

中上直総務部長の約束にもかかわらず,その後,横浜市はこのアンケートの結果を根拠に用いて,リベラルアーツカレッジ化を進めている.

 

 

(6)欺瞞7.『“御用”アンケート』03-8-15

『“欺瞞の塊り”「プロジェクトR」』03-8-15 http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030815katamari.htm より

 

【抜粋】

《欺瞞7.“御用”アンケート.・・・事務局主導によるアンケートに関しても,アンケート結果が公表される前から,またしても“御用”アンケートそのものの欺瞞的実態に対して複数の教員から批判の声があがっている.・・・ところで,よい統計とおかしな統計を“批判的に”選り分けるための入門書である「統計はこうしてウソをつく」(原題:“DAMNED LIES and STATISTICS”,真っ赤な嘘と統計)(J.ベスト著,白揚社,2002)の中で,「統計を使えば何でも証明できる」という“誰でも耳にしたことのある言葉”が紹介されている.また,著者のベスト氏は,統計を悪用する最も悪質な例として,特定の目的のために意図的に誘導・操作することを挙げている.すなわち,“望みどおりの結果をもたらす調査を考案する.特定の回答を促すような言い回しで質問する.望みどおりの回答をしそうなサンプルを選ぶ.結果が望みどおりの形をとるまでデータを改竄する.極端な例では,嘘をつき,目的に適う数字をでっちあげてしまう.”という訳である.まさに,随氏や永岑氏が指摘したような,“情報操作の手本ともなるようなアンケート調査”が,目の前で行われているのである.》

 

 

(7)横浜市立大学を考える市民の会:『市民アンケート結果(中間集計)報告』03-8-8

http://www8.big.or.jp/~y-shimin/houkoku/030808.html

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030808y-shimin.htm  

 

【抜粋】

《・・・設問1 横浜市立大学の文系の商学部と国際文化学部を、理系の理学部と統合して一学部にするのをどう思いますか? 反対が81%(なお、市民の会が6月に実施した学生アンケートでは三学部統合反対は84%でした)。

 

設問2 商学部と国際文化学部は、学科を増設して学生を増やすとさらに収益性が改善します。そこで受験生が増え、しかも、市民にも役立ちそうな学科をお選びください。 国際ビジネス学科、映像文化・演劇学科、中小企業支援学科、法律という順に設置を望む回答が返ってきております。・・・

 

まとめ ・・・7月20日に開催された大学改革シンポジウムでは、会場からの直接的な意見表明や質疑が拒否されましたが、広く市民の声を聞くという点に関して誠に残念なことでありました。今後、学長殿におかれましては、大学改革推進プラン策定委員会において、今回ご報告申し上げた市民アンケートの結果を、先に提出した学生アンケート結果とともに十分に検討され、10年、50年先を見通した、真の横浜市立大学改革に結びつけられるよう、そして、さらに広く市民、学生の意見を集める具体的方法を検討、実施したうえで、それらの意見を集約し、大学改革推進・プラン策定に反映させるための時間的猶予を市に求められるよう要望いたします。》

 

 

(8)教員組合による学生アンケート結果 『学生の切実な訴え』03-8-7

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030807gakusei.htm 

 

【抜粋】

630日、71日、教員組合は市大生に対して自由回答方式のアンケートを実施しました。自由回答というやっかいな方式でのアンケートにもかかわらず、また問題を特定せずに書いてもらったにもかかわらず、瀬戸キャンパスのみで71名からの解答を得ることが出来ました。様々な意見が寄せられていますが、そのすべてが実に真剣に市大を巡る状況に関して考え意見を述べています。・・・

 

1】市大が今後どうなるのか、今議論されていますが、私は大学の縮小には反対です。市大を総合教育の一学部にしてしまおうという案も出ていますが、はっきり言って、大学とは研究機関であり、その機能を失っては、大学でなくなると思います。充実した研究環境が整っているからこそ良い大学と評価できるだろうし、多くの受験生も専門的な学問を望んで大学を受験しています。今、日本の国際競争力が落ちてきてしまっていると言われますが、こんな時だからこそ、大学(市大に限らずすべての研究・教育機関)により高度な研究、そしてそれを教授していき専門的な知識を持った人材を育てて行くことが求められていると思います。ですが、市大「あり方懇」の答申は、どうもこの流れの逆を行っているように思われます。大学がお金を使いすぎていると言いますが、実際はそのほとんどは医学部や病院であり、しかも病院は市民に直接役立っている機関で、表面的財政データだけでは、本当にお金を使いすぎているのか分かりません。そもそも研究・教育の場である大学に営利を求めるという企業的な考え方自体が間違っているのではないでしょうか。横浜市全体を改革するという一環で市大改革もあるのでしょうが、市長には、市という直接住民の生活に関わり、住民の生活を保障、向上させていくための地方自治体は、企業という私益を求める民間機関とは根本的に違うということをもう一度よく考えてもらいたいです。確かに、市のなかに民間の方法を取り入れていき、合理化していくことは必要だと思いますが、それだけで通用しない部分もあるのではないでしょうか。研究・教育に目に見える成果をすぐにあげることを求めることは、ほとんど出来ないと思います。だからといって、それを切り捨てては、文化的にも技術的にも貧しくなってしまうと思います。横浜市は日本でも最大の自治体であると思うので、それにふさわしい、そして世界にも通用する都市になるためには、それにふさわしい教育・研究機関が必要不可欠であると思います。市大には日本を代表する大学にふさわしい環境を持った大学になってほしいです。

 

・・・【3】・・・大学の質が低下していると言われているなかで、横浜市立大学には学びたい人が溢れている。心から尊敬できる教授がいる。どうか、この学びのパラダイスを奪わないで下さい。横浜市長の私たちを無視した政策に対して怒りと悲しみの気持ちで一杯です。

 

<横浜市長の中田さんへ> 市長は入学式に私たちに対するお言葉の中で「自由には責任が伴う」、自由を得たからには責任を負うことの出来る大学生になって欲しいというお話の内容でしたが、ご自分はどうなのでしょうか。我が大学は横浜市の大学です。生徒数が減ったわけでも、レベルが低下したわけでもありません。仮に、外部の人間が、この大学を潰そうとしたときに、この大学を守って下さるのが市長の責任なのではないですか?市長みずからが”改革”という言葉を借りて、この学校の質を低下させるような案を出し、それを強引に進めているとは何事ですか?また、市長という仕事は中田さんの「自由」であってはなりません。「権力」を行使してもなりません。私たち横浜市民の代弁者であるべきです。横浜市民の誰が市大の改革が必要だと言っていましたか?市長をお続けになりたいのであればご自分の仕事とは何か、今一度、考え直してみたらいかがでしょうか。それが出来ないのであれば、中田さん、市長としてのあなたの未来は短いでしょう。市民は案外、あなたを観察しています。・・・》

 

 

(9)永岑三千輝:『大学問題日誌』200384日付 「不公正なアンケートのやり方」ほか(矢吹 晋氏ホームページより)03-8-4

http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/naga0804.htm

 

【抜粋】

《・・・また、事もあろうに夏休みに入ってから(?!)、事務局が実施しているという学生アンケートについては、8月1日のワンデー・オープン・スクールでも守衛所の横にテントが設置され、そこで来場した受験生を対象に配布や回収が行なわれていました。ところが、私が観察したかぎりですが、そこには事務職員と思われる大人は見当たらず、事務局が当日の要員として雇用した学生アルバイトの一部が詰めて実施に当たっていました。そのアンケート用紙には、ロゴマーク以外の実施主体が明記されておらず、設問も事務局が望む「大学改革」の結論に誘導されるような形式となっているなどの、両先生のご指摘を考え合わせると、以下の想像がされます。すなわち、在学生も含めて、事務局としては大学当局実施の「御用アンケート」という性格をできるだけ隠して、できれば学生の自主的なものとでも誤解させるような、非常に姑息な姿勢が見え隠れしています。・・・》

 

 

(10)随 清遠:情報操作の実践03-8-2

http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~zuiz/anke.htm 

 

【抜粋】

《・・・調査例3(あり方懇談会答申以降に実施) ところが、どうしても現実と異なる結果が出てこないと気が済まないというか、ほぼ同じ主旨の内容について聞き方を変えて、またアンケートが実施されようとしている。

 

「アメリカの大学の中には、学部4年間はどの分野にも共通する幅広い教養教育(リベラルアーツ)を総合的に学び、さらに専門分野を学びたい人は各分野の大学院やロースクールなどの専門大学院に進学するシステムがあります。日本でもこのようなリベラルアーツを専門にする大学があればよいとあなたは思いますか。」

 

 これだけ質問の周辺にきれいなチョコレートを飾っていたら、普通は「きっと中身がおいしいだろう」と思うのではないか。

 

調査例3の結果はまだ見ないが、もし調査例1、調査例2と結果が大きく異なるなら、それは、回答者の意識変化というよりは、むしろ設問誘導によるものであろう。

 

 

(11)永岑三千輝氏『大学改革日誌』2003731日付:学生アンケート用紙を本日入手04-7-31

http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/Nisshi20030712-31.htm 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030731nagamine.htm  

 

すでにこの時点(2003.7.31)で,2004年3月の情報開示請求に対して横浜市が隠蔽しようとしている《アンケート用紙(横浜市立大学 学生アンケート:<市大学生用>)》中の,《誘導的設問》が暴露されている.

 

《・・・『市立大学では、現在大学改革に向けた取り組みが行われておりますが、改革を検討・実施するにあたって、次の設問にお答えください。

 

7.もし、大学入学後に、文系か理系かを選択できたり、専攻分野やコースを選択することができたら、あなたはどう思いますか。@とてもよいと思う Aわりとよいと思う Bどちらともいえない Cあまりよいと思わない Dぜんぜんよいと思わない

 

8.アメリカの大学の中には、学部4年間はどの分野にも共通する幅広い教養教育(リベラルアーツ)を総合的に学び、さらに専門分野を学びたい人は各分野の大学院やロースクールなどの専門大学院に進学するシステムがあります。日本でもこのようなリベラルアーツを専門にする大学があればよいとあなたは思いますか。

@とてもよいと思う Aわりとよいと思う Bどちらともいえない Cあまりよいと思わない Dぜんぜんよいと思わない」

 

アメリカの大学体系を全体として示して、アメリカにおけるリベラルアーツ系大学がどのような位置にあるのかをきちんと示さないで、何とかリベラルアーツ賛成の数(3学部・解体縮小=統合の「あり方懇路線」への賛同者)を集めようとしていると受け取れないか? ある方向に誘導するような質問になっていないだろうか?・・・》

 

 

(12)200365日 いったい横浜市大はどうなるの? 学生アンケート集計速報!:学生の手による、学生アンケート03-6-5

http://www8.big.or.jp/~y-shimin/houkoku/030605gakusei-q&a.html

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030605y-shimin-gakusei.htm

 

【抜粋】

《・・・3.商・国際文化・理学部を解体総合して「リベラルアーツカレッジ(一種の教養大学)」という1学部に縮小することについてどう思いますか?【メリット:教職員の削減を通し、経費削減による経営合理化】【デメリット:専門性を欠く学部となり、事実上大学の質の低下を招く】@賛成 13人 2.9% A反対 373人 84.3% Bどちらともいえない 56人 12.6%

 

4.学費の値上げにより収支のバランスをとることについてどう思いますか?【メリット:横浜市の財政上の負担軽減】【デメリット:学生への直接的負担増加】@賛成         36人 8.1% A反対 322人 72.5% Bどちらともいえない 86人 19.3% ・・・

 

6.学生に対する大学の説明はどう思いますか? @充分 5人 1.1% A不充分 397人 89.8% Bわからない 40人 9.0% ・・・》