透明性を欠いた新学部人事は許されない

— 新学部学部長・コース長等の人事について —

 

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 孫福理事長予定者急逝の後を受け、7月23日には新たな理事長予定者及び副理事長予定者が公表された。今後、改組後の学部組織における学部長、コース長などの人事がすすめられると予想される。しかし、法人発足以前の現段階では、これらの人事をすすめる手続き、組織がつくられておらず、改革推進本部による不透明で恣意的な「任命」が強行されかねない。移行時におけるこれらの人事のすすめ方について責任ある説明をせず、なしくずしに「任命」を行うようなことがあるならば、そうした人事は、透明性を欠くにとどまらず、制度的根拠さえももたない「私的」決定にすぎない。学部長、コース長等の人事のすすめ方について、大学運営を自律的かつ円滑にすすめる観点から、恣意性を排し透明性を確保することは大学当局の責務のはずである。これらの人事をすすめるにあたって、教員組合は、以下のような原則がつらぬかれるべきだと考える。

 

1 大学・学部教育研究組織の人事を大学が自律的に決定するという立場に立って、人事のすすめ方について大学当局が責任ある方針をあきらかにすること。

 

2 大学の教育研究にとって重要な役割をになう人事にたいし教員の意思を反映させる努力を行うこと。

 新学部の教育研究組織がどのような人事方式をとるにせよ、教育研究を具体的にになう教員の意思を無視するやり方は教育研究そのものの荒廃を招くだけである。また、大学評価、教員評価の徹底という方針に照らすならば、学部長、コース長等も公正かつ客観的な評価の対象となる。これらの職が教員による評価対象となることは当然のことである。

 

3 学部長、コース長等の権限をあきらかにし、大学規程に具体化することを前提として人事をすすめること。

 学部長、コース長等の人事の前提として、その権限を明確にするのは当然である。規程・規則が存在しないまま人選だけを行うことは許されない。学部長、コース長等は教員処遇に結びつく教員評価の査定者と想定されており、その権限がいかなるものか明示することなく人選をすすめることは、常識からしても許されるべきことではない。

 

4 学部長、コース長等への補職に当たっては、その就業・雇用条件が明示されるべきであること。

 法人への移行にあたっては、個々の教員にたいする労働条件明示にもとづく労働契約が必要となる。労働契約上必要な手続きを踏むべきことは当然である。

 

 独立行政法人移行、学部改組にともなう準備過程では、大学運営にさいしてあるべき手続きの無視や法的・制度的根拠をもたない「手続き」が続発している。新学部人事がそうした拙速なやり方によって大学運営を著しく歪めるようなことのないよう強く要求するものである。

 なお、横浜市立大学(現)発行の国際総合科学部学部案内には、「運営形態の改革」として、「教員に任期制・年俸制を導入し、教育・研究の活性化を図ります」という文言が記載されている。組合との交渉・協議を必要とする任期制・年俸制の導入について、交渉・協議を行うことなくこうした記述を行っていることは、交渉努力を行って来なかった重要な証拠として、使用者側の責任が追求されることになろう。大学内における意思形成を無視している実例として改組申請にさいしても問題にされるべきことがらである。大学当局はこうした「無法」状態を是正するために真剣な努力を払うべきである。

 

 

                                   2004年7月25日

     横浜市立大学教員組合