なんで「首都大学東京」では,本来の「研究と教育」をやらないのですか?

 

都立大の危機 --- やさしいFAQ U.   VQA(Very Quick Answers) 「とってもすばやい答え」編 http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki-u.html より

 

 

Q-20: なんで「首都大学東京」では,本来の「研究と教育」をやらないのですか?

    設計した人達が,政治家と役人だからです。

Q-21: 政治家と役人は,「首都大学東京」の設計で何を目指したのですか?

    都の4大学の人員削減をし,既存の大学,学部を解体することです。

 

Q-25: なんで誰にも分からない学部を作るんですか?

    石原都知事の選挙公約に「これまでなかったような大学を作る」というのがあったからです。

 

 

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都立大の危機 --- やさしいFAQ

U.   VQA(Very Quick Answers)
「とってもすばやい答え」編

短い質問に,たった一つの文で答えるシリーズです。
いくつかの流れを用意します。それぞれの流れをストーリーと呼びます。

ダイレクト・ジャンプ   U-1 U-2

U-1  ストーリー No.1 「実学ループ」  [06/22/0407/27/04 修正]

Q-1: 「首都大学東京」ってどんな大学ですか?

    東京都の産業活性化のために実学を中心に教育する大学です。

Q-2: 「実学を中心にする」ってどういう意味ですか?

    卒業後に社会に出てすぐに役立つものを教えるということです。

Q-3: 「すぐに役立つもの」って何ですか?

    例えば,英語を話す能力があるとか,PowerPointを使って発表ができるといった実践的能力です。

Q-4: 研究においても「すぐに役立つもの」が優先されるのですか?

    はい,そういう面もあります。

Q-5: それ以外の面もあるのですか?

    はい,東京都の産業振興にいずれ役立ちそうな研究です。

Q-6: その「すぐに役立つもの」,「いずれ役立ちそうな研究」というのは,大学の使命である「大都市における人間社会の理想像の追求」とどのような関係があるのですか?

    何の関係もありません。

Q-7: では,なんで「大都市における人間社会の理想像の追求を使命とする」なんて言うんですか?

    石原都知事が言ったからです。

Q-8: 「首都大学東京」は,東京都の大学だから東京都のために奉仕する大学にするということですか?

    その通りです。

Q-9: 都知事は,東京都の大学を,自分の好きに変えてもいいのですか?

    いいえ,いけません。

Q-10: なぜいけないのですか?

    大学は,国公立でも私立でも,公的な性格を持った教育機関 からです。

Q-11: 「公的な性格を持っている教育機関」とは,どういう意味ですか?

    教育を行う機関は,公(おおやけ)のために教育の機会を与えるサービ スをしているということです。

Q-12: 「教育の機会を与えるサービス」のどこが特殊なんですか?

    子供や青少年が勉強している環境を与えているので,教育を行う機関は自分勝手に教育活動を中止したり内容の変更をしてはならないということです。

Q-13: 教育機関は利潤追求のために教育内容を変更してはいけないのですか?

    教育内容の変更は可能ですが,その時学んでいる者の権利を侵害するような変更はしてはいけません。

Q-14: 大学は利潤追求をしてはいけないのですか?

    利潤追求が大学で否定されるわけではありません。

Q-15: 利潤追求ではない部分というのは何ですか?

    利潤追求とは離れた「本来の研究と教育」という大学の使命です。

Q-16: 大学における「本来の研究と教育」とは,どんなものですか?

    人類の財産である「学問の蓄積」,「学問の追求」そして「学問の継承」です。

Q-17: 抽象的でよくわからないのですが?

    「学問」とは,「真理の追求」であり,産業振興などのために隷属されるものではないということです。

Q-18: 「真理の追求」とは,金に直接結びつかないということですか?

    そのような特徴もあります。

Q-19: 「首都大学東京」は,「真理の追求」をするように設計されていますか?

    いいえ,ちょっと乱暴な言い方をすれば「金になりそうな勉強」だけを中心にやるということです。

Q-20: なんで「首都大学東京」では,本来の「研究と教育」をやらないのですか?

    設計した人達が,政治家と役人だからです。

Q-21: 政治家と役人は,「首都大学東京」の設計で何を目指したのですか?

    都の4大学の人員削減をし,既存の大学,学部を解体することです。

Q-22: 既存の学部はどうやって解体するのですか?

    学問の分野を無視して,大括り化します(都市教養学部がその典型例です)。
(社会学,心理学,教育学,文学,法律,政治,経済,経営,数理科学,物理学,化学,生命科学,電気電子工学,機械工学は学部,学科として存在しません)。

Q-23: 「都市教養学部」の「都市教養」って何ですか?

    「都市文化,都市工学などそれが集積する東京でしか学べない,都市の文明」のことだそうです。
200381日,都知事会見より)

Q-24: よく分からないのですが?

    大丈夫です,誰にも分かっていませんから。

Q-25: なんで誰にも分からない学部を作るんですか?

    石原都知事の選挙公約に「これまでなかったような大学を作る」というのがあったからです。

Q-26: 既存の大学はどうやって解体するのですか?

    法人化し,理事長,学長,学部長の順にトップダウンですべてが決定できるようにします。

Q-27: 一般の教員や学生の声は聞かないのですか?

    はい,「現場の声」は,いっさい聞きません。

Q-28: 教授会や学生自治会の声は,上にとどかないのですか?

    おそらく,「話し合い」には応じても「協議」はしないでしょう。

Q-29: なぜですか?

    教授会の権限を縮小し,おそらく学生自治会を大切にしないと予想されるからです。

Q-30: 民主主義の否定のような気がするのですが?

    はい,でも東京都では,それを「トップダウンの経営手法」と呼びます。

Q-31: なぜ「トップダウンの経営手法」を導入するのですか?

    大学の経営効率化のためです。

Q-32: なぜ,大学の経営効率化が必要なのですか?

    東京都が赤字だからです。

Q-33: 赤字解消のために,「大学の研究や教育」の内容を変えていいのですか?

    もちろん,勝手にやってはいけないことです。

Q-34: では,なんで「やってはいけないこと」を強行するのですか?

    東京都の産業活性化に大学を役立たせようと考えているからです。

Q-35: 「東京都の産業活性化」をどうやって大学からスタートさせるのですか?

    大学で研究・教育することの中心を「実学」に置くところから始めます。

Q-2: 「実学を中心にする」ってどういう意味ですか?

 

U-2  ストーリー No.2 「単位バンクから都市教養学部へのジャンプ」  [07/08/04, 07/13, 07/17修正]

Q-1: 首都大学東京の特色の1つである「単位バンク」って何ですか?

    大学の授業を「単位」として見て,一カ所に登録する制度です。

Q-2: 「単位」って何ですか?

    大学の授業を履修した結果,及第点を取った学生がもらえる数です。

Q-3: その数を銀行のお金みたいに貯蓄するのですか?

    違います。この場合,バンクとは,データベースを指します。

Q-4: そのデータベースにはどのような情報が蓄えられるのですか?

    (1) 首都大学東京の授業科目,(2) 大学が適当と認めた他大学の授業科 目,(3) 学外での学修や体験の内,大学が適当と認め授業科目に位置付けた ものです。

Q-5: 入力すべきデータは,誰が決定するのですか?

    「学位設計委員会」と「科目登録委員会」です。

Q-6: 「学位設計委員会」は,どんな人達によって構成されていますか?

    学長,副学長,部局長,外部有識者です。

Q-6: 「学位設計委員会」は,何をするのですか?

    どんな授業をどれだけ取ったら,どんな学位がもらえるのかを決定します。

Q-7: もらえる学位は,学部学科単位で決まっているはずですか?

    首都大学東京では,そうならないようです(文部科学省が YES と言 うのか,注目したいところです)。

Q-8: 「科目登録委員会」は,何をするのですか?

    「学位設計委員会」で設計された学位に対して,必要とされる授業科目を評価して認定します。

Q-9: 「科目登録委員会」は,どんな人達によって構成されていますか?

    学内委員と外部有識者です。

Q-10: 繰り返し出てくる「外部有識者」とは,どんな人達ですか?

    例えば企業の経営者だそうです。

Q-11: 企業の経営者が,大学の授業を評価するのですか?

    そうです。

Q-12: 企業の経営者が,大学の授業を評価できるのですか?

    できない場合が多いでしょう。

Q-13: 大学の授業を評価できない人が委員会に入ったらどうなるのでしょうか?

    「自分は評価できる」と思っている「有識者」は,積極的に発言して,不要だと思う授業を認定しないでしょう。

Q-14: その授業の評価認定はどれくらいの頻度で行われるのですか?

    毎年一回です。

Q-15: その評価は何に基づくのでしょうか?

    評価基準項目は、教員の(1) 資格・業績(現職、生年、最終学歴・学位、専攻分野、研究テーマ、研究キーワード、最近の授業担当科目、研究業績、著書、論文、受賞、在外研究、主な学会活動、社会等とのかかわり等)、と (2) 授業方針、詳細な授業計画・内容、使用テキスト、習得できる知識・能力、開講率、学生からの評価、成績評価の方法(レポート、試験の例示など)です。

Q-16: その評価の結果,「単位バンク」認定を取れなかった首都大学東京の授業はどうなるのですか?

    学位に結びつく授業ではなくなります。

Q-17: その「単位バンク」認定評価を他の大学の先生の授業に対しても行うのですか?

    そうです。

Q-18: 他の大学の先生は,「単位バンク」に協力してくれるでしょうか?

    しないでしょう。

Q-19: なぜですか?

    何も利点がないからです。

Q-20: 「単位バンク」によって,学生それぞれの個性やライフスタイル,希望するキャリア形成に合わせた柔軟な履修形態が可能になるというのは本当で すか?

    嘘です。

Q-21: その根拠は?

    (1) 「単位バンク」は,今の計画で行けば,一年目は「首都大学東京」 の授業認定だけで終わってしまいます。

Q-22: 他大学の授業の認定は,2年目以降ということですか?

    そうです,だから(2) 柔軟な履修形態を可能にするほどの科目は,2年目になっても「単位バンク」に登録されないでしょう。

Q-23: ボランティア活動なども単位バンクに登録されるのですか?

    そのような構想です。

Q-24: どのような単位となるのでしょうか?

    不明です。

Q-25: 何単位くらい取れるのでしょうか?

    わかりません。

Q-26: いつ頃,ボランティアの単位が「単位バンク」に登録されるのでしょうか?

    未定です。

Q-27: 希望するキャリア形成に合わせた柔軟な履修形態とは何ですか?

    学部,学科,専攻でのカリキュラムを否定して,キャリアカウンセラー という人が,履修形態を助言するというものです。

Q-28: そんなことをしたら,学部や学科の意味がなくなるのではありませんか?

    はい,だから意味の分からない「都市教養学部」という学部の「都市教 養学科」という名前でいいのです。

Q-29: 学部や学科に教育や研究の主体がなくなるということですか?

    その通りです。

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