『カメリア通信』第30号(2004.10.21)

一楽重雄(理学部):2004年9月,10月評議会――私的報告

 

 

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横浜市立大学の未来を考える

『カメリア通信』第30

  20041021(不定期刊メールマガジン)

Camellia News No. 30, by the Committee for Concerned YCU Scholars

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20049月,10月評議会――私的報告

                                       

理学部 一楽重雄

 

9月の評議会については報告をサボっていましたが,例によって報告事項のみであまり意味のあることはありませんでした.来年度の予算について予算が厳しいので各教員に協力してほしいとの話が事務局からありました.これに対して私は「新しい大学の計画に対しては教授会の関与を否定してきたのに,予算の節約に関してだけ協力を求めるのは一貫していないのではないか,虫がいいのではないか」という趣旨の発言をしましたが,意味のある反応は得られなかったように思います.

 

10月の評議会では,報告事項として8月9月10月づけの昇任,採用人事が報告されました.これに関連して,私は「現在凍結されている人事がたくさんある中でこれらが解禁された理由を教えて欲しい」と要求しました.これに対して学長は「教育上,どうしても必要だと判断されたもの」という意味の回答をしました.続いて,M所長からも「いま多くの昇任人事を行うのは改革に熱心でないということにはならないか,もう少しなのだから,待てなかったのか」という質問がありました.

これは,このような表現ですが,質問の意図は私と同じく「解禁の基準がはっきりしない」ということにあるのではないかと思いました.人事の報告をよく見てみると,大部分が昇任の人事,それも助教授から教授への昇格でしたので,私は「教育上の差し迫った理由というのであれば,助教授から教授への昇格というのは説明できないのではないか,助教授も教授も教育上はほとんど同じ仕事をしているのではないか」という意味の質問をしました.これには学長は回答せず,S副学長が「この人事は数年前からの懸案であり,待って待ってやっと行ったものである.助教授と教授の違いは,ゼミの学生の集まりとかいろいろあるだろう」という意味の回答をしました.私は「それではさきほどの学長答弁は少し違うのですね,教育上の配慮だけではないことがわかりました,それなら,むしろよいと思いますが.」というような具合に,少々,やりとりをしました.

 

その中で確認できたのは,凍結解除についてはきちんとした基準がない,少なくとも評議会には示されなかったということです.手続きについて質問したところ,各教授会などから人事案件を学長ではなく総務課へ提出するという手続きになり,それはいままでと同じであるとのことが確認されました.今になってみると,もっと追求すればよかったと思いますが,私ばかりが発言することに気後れがする面もあり,この程度になってしまいました.

 

評議会が終わりそうだったので「他で言うところがないのでここで発言するが,学術雑誌の購入の注文はもうその時期であるが,これまで個人研究費で購入していたものはどうしたらよいのか.個人研究費ゼロであるのだから,もう,まったく注文できないのか.対応に困っている.」と質問しましたが,これについては,岡村部長からプロジェクトで検討するというだけで終わりました.推進本部はこのような問題があること自体知らなかったようです.

 

「この問題に示されるように,来年からの大学についてもすでに実務を行わなければならない,前から評議会で大学改革について議論すべきと言って来たが,(現在の大学がこれに関与しないことは疑問があるが)“新”大学の人事が発表されたが,それが動き出すのは来年ではないか,現実の問題の処理に間に合わない」という趣旨の発言をしたところ,岡村部長から「新組織は4月を待たずに,もう機能させる」と回答がありました.それに対して「それなら教員個人々々の末端までの組織を早く組織しなければ,実際問題として困る」という指摘をしておきました.

 

本来,このようなことは現大学が組織としてかかわるべきものであると思いますが,なにしろ,評議会は“新”大学に対して権限がない,したがって,評議会では話し合わない」というのが学長の以前の答弁で,誰もそれに異議を唱えないのでした.反対の意志表示もせず,かと言って協力もしない,評議会は“新”大学に関与せずということに疑問を持つのは私だけなのでしょうか.

今回の評議会では,S研究科長からも発言があり,「新人事が発表されたが,現在の学生が不利益を得ないよう,引継ぎなどをきちんと行って欲しい」とのことでした.これについては,誰が回答したかは記憶にないのですが「それはそのとおり,きちんとします」というような回答でした.

 

評議会で発表された“新”大学の人事は,現在の役職者を中心としていますが,コース長や専攻長などには助教授も含まれていました.この点については,「若い人も大胆に登用しのだ」とみるか,「引受けて手がなく,教授ではまかなえなかったのだな」と見るかは,意見が分かれそうです.国際文化研究の専攻長,学術情報センター長については決まり次第発表するということでした.これらの任期は,他と同じく一年ということでした.

本当に“新”大学はどんなことになるのか.結局は,現場の我々教員にしわよせが来る,そして“新”大学に期待して入ってきた学生は,大学の現実に大きな幻滅を感じるという結果になってしまうのではないかと恐れるばかりです.

「“大学改革”でなくて“大学潰し”」だという矢吹先生の言葉が現実になっているように思えてなりません.

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編集発行人: 矢吹晋(商学部非常勤講師)   連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp

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