特集:市大改革

学生向け改革説明会を開催 質疑応答で混乱も

 

横浜市大新聞オンライン(2004114日付) http://www.geocities.jp/ycu_press/

http://www.geocities.jp/ycu_press/reform/0411-explan.html より

 

・・・要望書は「分からない」 18時50分からの質議応答では、本紙の福本記者から、学生などの多数の要望書や780人分の署名が提出されたことについての質問があると、副学長予定者で司会の南睦彦医学部教授は「急に言われても、今ここにないので分からない。それはどんな内容なのか。大学像に反映するための意見だったのか」と逆に質問し、会場からは「存在すら知らないのか」との指摘も起こった。大学院の男性の「なぜ数学も文学も専門カリキュラムから消えてしまったのか」との質問には藤野教授は「今回はシステムを全く逆にした。まず課題があって、そこに必要な学問を用意した。限られた予算の中でどうできるかだ」。国際文化3年の女性は「改革で先生全体に悲愴感がただよっている。どんなフォローを用意しているのか」と質問。これに対し、最高経営責任者の松浦敬紀氏は「きっちりとやっている。年内には先生の不安がなくなるように対策を練っているので、もうしばらくお待ち下さい」と答えた。 教授の怒りが爆発 傍聴側には学生に混じって、国際文化学部の鈴木正夫教授の姿もあった。質疑応答の冒頭、「教員への説明がされていない。定年になる私の後任をなぜとらないのか」などと声を荒げ、岡村一改革推進担当部長や事務局職員から「既に教員に説明は済ませた」「別の場で言えばいいじゃないか」と制止されるなど、緊迫した一幕もあった。質問の際に手を挙げた男子学生の一人が「改革推進ではない先生の話も聞きたいので、私の分の質問時間をあの先生にあげてください」と答えると、会場からは大きな拍手が起こった。鈴木教授は「やめた教授の補充採用をなぜしないのか。同じ学費を払わせながら少ない教員で授業を行うのは明らかに問題で、もし裁判を起こせば必ず勝つ。学生は丸め込まれては駄目だ」と激しく憤り批判した。・・・

 

 

 

特集:市大改革 

 

学生向け改革説明会を開催 質疑応答で混乱も 

 

  1028日木曜日、1750分から瀬戸キャンパスのカメリアホールで「『公立学校法人横浜市立大学』に関する学生説明会」が開催された。同時刻にはシーガルホールで就職説明会が開かれていたこともあってか、参加者は前回の説明会(昨年10月)の半分以下の約50人に留まった。質議応答では白熱した場面もあり、19時までの予定を30分延長して終了したが、多くの学生は不満を残したままだ。

 

 

「今までの学部は悪くない」

 冒頭、小川惠一学長のあいさつの後、新学長に内定しているブルース・ストロナク氏が約5分にわたって抱負を述べた。ストロナク氏は「大学は常に学生に耳を傾け、また学生も運営に積極的に関わっていく必要がある。みなさんは一丸となって大学の運営に前向きに関わってください」とメモを読み上げ、後半は英語でコメントした。

 続いて副学長予定者の布施勉教授が「リベラルアーツという言葉は難しいので、今でもストロナク氏と議論中だ。指定校推薦の導入は税金を払っている人への貢献という意味で行った」などと述べた。国際総合科学部長予定者の藤野次雄教授は「改革は、今までの学部が悪かったのではなく、学問の仕方を変えようということだ。既存学部は平成20年まで保証するが、21年度以降の現学部在学者は国際総合科学部に転籍する」と新学部を説明した。

 

要望書は「分からない」

 1850分からの質議応答では、本紙の福本記者から、学生などの多数の要望書や780人分の署名が提出されたことについての質問があると、副学長予定者で司会の南睦彦医学部教授は「急に言われても、今ここにないので分からない。それはどんな内容なのか。大学像に反映するための意見だったのか」と逆に質問し、会場からは「存在すら知らないのか」との指摘も起こった。大学院の男性の「なぜ数学も文学も専門カリキュラムから消えてしまったのか」との質問には藤野教授は「今回はシステムを全く逆にした。まず課題があって、そこに必要な学問を用意した。限られた予算の中でどうできるかだ」。国際文化3年の女性は「改革で先生全体に悲愴感がただよっている。どんなフォローを用意しているのか」と質問。これに対し、最高経営責任者の松浦敬紀氏は「きっちりとやっている。年内には先生の不安がなくなるように対策を練っているので、もうしばらくお待ち下さい」と答えた。

 

教授の怒りが爆発

 傍聴側には学生に混じって、国際文化学部の鈴木正夫教授の姿もあった。質疑応答の冒頭、「教員への説明がされていない。定年になる私の後任をなぜとらないのか」などと声を荒げ、岡村一改革推進担当部長や事務局職員から「既に教員に説明は済ませた」「別の場で言えばいいじゃないか」と制止されるなど、緊迫した一幕もあった。質問の際に手を挙げた男子学生の一人が「改革推進ではない先生の話も聞きたいので、私の分の質問時間をあの先生にあげてください」と答えると、会場からは大きな拍手が起こった。鈴木教授は「やめた教授の補充採用をなぜしないのか。同じ学費を払わせながら少ない教員で授業を行うのは明らかに問題で、もし裁判を起こせば必ず勝つ。学生は丸め込まれては駄目だ」と激しく憤り批判した。

 

終了後も不満残る

 司会の南教授が「閉会します。もし御意見があれば今後もお寄せください」と述べると、大学院の男性から「前回の説明会でも同じ事を言っていたのに、学生からの要望に全然対応していないではないか。後日改めて場所を設けて欲しい。そうでないと信じられない」との声が上がり、会場からは再び拍手が起こっていた。19時半に全体は閉会したが、その後も松浦氏やストロナク氏などに直接質問する学生の姿も多数見られた。この中で松浦氏は「進級要件のTOEFLでつまづくような学生が出ないようなシステムを作る。各種資格に対するフォローも新体制で考える。意見がある学生は、直接に改革推進課まで来て欲しい」。

 

 終了後、参加した学生からは「悪い期待通りで、あいまいな答えばかりだ。留年しそうな人が周りに多いが、その場合どうなるのかも分からない」(商学部一年男性)、「質議応答の時間が少なかった。人事も変わっていて、担当者が全体の把握をしていない」(国際文化学部三年女性)、「説明会の対象者が分からなかった。学生の声は聞き入れられていない」(商学部二年男性)などの感想が聞かれた。一方、小川惠一学長は「来ている学生の数は非常に少なかった。ここに来ている人が総意を反映しているのか。もっといろいろな意見を聞かせて欲しい。改革の形が決まったが、レールと言うわけではない」と本紙記者に述べた。【細】

 

*論評と今後

◆28日、改革推進本部主催の学生説明会がカメリアホールにおいて行われた。前回の学生説明会と同様、推進本部側は定型的に終わらせたい行事であり、就職セミナーと日を重ねて設定するなどしてみたようだが、教授からの批判、学生からの追及があるなどして一筋縄の進行には至らなかった。推進本部は学生に対してお役所仕事を地で行くような対応を始終見せていたが、壇上の新大学幹部内定者たちは説明会後の談話のときにも学生の話を熱心に聞く姿が見られた。

◆新学長内定者ストロナク氏があいさつ文で執拗に「学生からの意見発信」の必要性を説いていたが、市大生は早急に学生主体の学生組織の創設が必要であろう。既存の形骸化したものでなく、実際機能するフォーマルな学生組織の存在なくして大学側は学生意見の吸い上げに乗り出せない状態である。「冷房を設置してほしい」「他大学籍の教授を招いてほしい」など具体的な市大生の需要を正式に総意として大学側に伝えなければ、新大学がいくら手取り足取りで学生のニーズに応えるべく供給案を提案してもその需給は均衡点を見ない。幸い新大学幹部内定者は学生の意見を前向きに取り入れる姿勢を見せている。新大学が供給しようとしている3本柱の1つ「学生中心」という案を学生自身が放棄し、その柱を一本減らしてしまわぬよう努力することが求められる。《福》

 

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