板橋高校事件の起訴に怒る

 

澤藤統一郎の事務局長日記 20041204

http://www.jdla.jp/jim-diary/jimu-d.html より

 

 

2004年12月04日(土)

板橋高校事件の起訴に怒る  

藤田勝久さんが威力業務妨害で起訴された。今年3月、都立板橋高校の卒業式の円滑な進行を妨げたという公訴事実。但し、訴因の詳細はまだ分からない。弁護団は昨3日付の起訴だとは地検に確認したが、まだ本人に起訴状は届いていないのだ。

藤田勝久さんは、板橋高校の元教諭(63)。卒業式には来賓として出席。卒業式開始前に発言の事実はある。しかし、それは明らかに許される言論の範囲内のものであって、犯罪となるような虞は断じてない。「威力」を用いてはいないし、「業務の妨害」もない。卒業式は何の影響もなく感動的に成功している。

起訴の狙いと効果は、「ものを言うな」「お上の批判は許さない」「「日の丸・君が代」強制政策を貫徹させる」ということ。

「オレは甘かった」と臍を噛んでいる。「まさか起訴はあるまい」と思っていた。検察官も同じ時代に教育を受けた法律家、民主主義も人権も心得ているだろう。よもや、こんなことで国家権力が刑罰権を発動する社会を望んではいまい。巨悪をこそ眠らせない仕事をしたいと考えているだろう…。跳ねた土屋都議や都教委の刑事事件ねらいに付き合わざるをえないことを迷惑に思っていることだろう…。そう考えていた自分の甘さが情けない。と同時に、恐ろしい時代が来たと慄然とせざるを得ない。

反戦落書き事件、自衛官宿舎反戦ビラ事件、目黒社会保険事務所国公法違反事件と続いての、板橋高校君が代弾圧事件起訴である。一貫していることは、反戦・反国家の言動は、些細なことでも押さえ込むという権力の強い意思である。跳ねているのは、石原、横山、米長、土屋の類だけではない。権力機構総体の意思なのだ。検察もその一翼でしかない。「反戦問題・日の丸君が代問題」は、敗訴者負担問題などとは一線を画するテーマなのだろう。こちらのテーマでは妥協はない。これで、裁判所までが同調するようなら世も末だ。

ともかく、今は怒るべき時。徹底した弁護活動で無罪を勝ち取らねばならない。竹篦返しが必要なのだ。弁護団も、守る会も、「日の丸・君が代」強制反対の運動に加わる人々の強固な連帯が必要である。そして、広範な世論の支援が欲しい。誰だって、権力が我が物顔に振る舞う、窮屈な強権国家を望むわけはないのだから。