市長の新年のメッセージから思うこと

 

あらき由美子氏ホームページ http://www.araki-yumiko.jp/index.htm

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05.01.04】市長の新年のメッセージから思うこと。

 

今日から、市役所も新年のスタートです。

 市長からの年始職員向けメッセージを読ませていただき、2度びっくりしました。

 それは、まず職員に対して、日頃の仕事をこなしているにもかかわらず、「ご苦労様」のひとこともないのです。

 

 市長という立場は、会社でいう社長です。そうであるならば、まずこの横浜市をになっている3万人の職員が、それこそ職場によっては朝も夜もなく、昼夜を徹して現場に出ている人たちもいるのですから、もうすこしねぎらいの言葉があってもいいのではと思います。

 

そしてもう一つびっくりしたのは、港湾病院、保育所などの「民間委譲」を進めたことに対して、このように述べていることです。

 

「私はこの間、港湾病院、保育所などについて、民間移譲を進める決断をしました。医療にせよ保育にせよ公民いずれもが担いうる公共サービスですが、現在の横浜市の事業展開ならば、効率性、サービス水準など、民間の担い手の方がすぐれているということが明らかと判断されたからです。

ー中略ー

 実際、昨年4月に民営がスタートした4つの保育園では、その後、延長保育や主食の提供などあきらかにサービスメニューは増え、保育の質についても保護者から評価されています。

 すると一転、それまで自らすすんでやろうとしてこなかったサービスについて、市立保育所でもやったらどうかという声もでてきました。

 

 私はそうした建設的な意見をもちろん歓迎しますが、この際、けじめのためにはっきり言っておきますが、『民間だと事故が多い、市営だから安心だ』といったような意見は、自分達が変わらない、変われない、変わりたくないという態度による屁理屈でしかない、市民はそう思っているということを肝に銘じておく必要があります。」

 と言い切っていることです。

 

 本当にそうでしょうか。昨年4月に民営化された、4園の公立保育園の保護者や職員は、今でも市長の強引なやり方には納得していません。

 また今年の4月から廃止される港湾病院の患者さんたちの引継ぎは、これから運営される「みなと赤十字病院」(現横浜日赤病院)へ変更され、医師・看護師がすべて入れ替わるので、どちらの病院にとっても大変な負担になっているのが現実です。

 

 公立保育園では主食の提供だって、お釜さえ買えばできることですし、延長保育だって職員を加配すればできることです。

 この点については、私は議会の中で、民営化の議論が起きる前から取り上げてきました。

 

 結局、公立は民間に比べて人件費が高い、また全市一斉にやるためには時間がかかると言って、実際にはニーズが高いことをあえてやらない市の姿勢にこそ、私は問題があると思っています。

 

 実際、私は12年間公立保育園で働いてきたので、保護者のニーズがどういうことに一番現れているか、身にしみて感じています。

 また、公立であれ民間であれ、福祉や医療の現場には、相手が人間であるがゆえに、人の手を多く必要とするのです。

 

 そういう現場に経営効率だけをあてはめて、民間移譲すればうまくいくと市長が言い切るのであれば、必要とする予算をきちんと付けて欲しいと強く言いたいのです。

 実際、民間の保育園からは運営費を上げて欲しいという要望が、毎年出されています。

 

 結局公立であれ民間であれ、保育の質をおとさないようにするには、多様なニーズにこたえられるだけの費用は必要だということです。現に、公立保育園の民営化を実施した他都市で、ほとんど差がないため公立保育園の民営化を中止したという例もあるのです。

 

 また横浜市では、昨年民間へ移譲された4園の保育園では、主食を提供するためのお釜を買い、痛んでいた園舎やイス・机などの修復は、受けた法人による自己負担で子どもたちのためにと手当てをしたと聞いています。

 

 これで、市長のいうように民間の方がうまくできるというのとは、あまりにも隔たりがあるのではないでしょうか。

 結局、市が責任を持ってやらなければいけなかったことを、民間移譲という手法で、民間へ押し付けているようにしか、私には思えません。

 

 市民の暮らしを守る自治体として、横浜市がどれだけ市長の手腕で積極的に大きく変わってきたのか、それを実感している355万市民のみなさんお一人お一人に考えていただきたいと思っています。