教員説明会(1月27日)における福島部長の暴論を糺す

 

 

横浜市立大学教員組合週報/組合ウィークリー(2005.2.8

教員説明会(127日)における福島部長の暴論を糺す

 127日医学部で行われた教員説明会での質問に答え、福島部長は以下の発
言を行っています。
「任期の定めのある雇用契約ですと、基本的には、任期の期間中は雇用を保障
されるということになると思います。任期の定めのない雇用契約の場合、1
経過後には任期[雇用?]としては打ち切られることになる。解雇要件になり
ますが、これは労基法に基づくため、非常にきびしく限定して運用されること
になるが、原則的にはそういう不安定な雇用になる、と考えている」
 この発言は、人事・労務専門家の発言としてきわめて重大な問題を孕んでお
り、暴論と言わねばなりません。以下に暴論である理由を述べ、その責任をき
びしく糺すものです。
 福島発言の核心を取り出すと、「有期雇用の方が雇用は安定していて、任期
を定めない雇用は不安定だ」ということになります。しかし、これはとんでも
なく逆立ちした主張です。
 期間の定めのない雇用について、民法627条は、その契約を解約する申し入
れがいつでもできると規定しています。しかし、それだから解雇が自由化とい
えば、決してそうではありません。解雇が正当と認められるためにはきびしい
条件が付されることは判例や通説で明確に確認されています。解雇するには正
当事由が必要であり、使用者がいつでも解約を申し出られるわけではありませ
ん。
 有期雇用の場合、組合が繰り返し主張してきたように、そうした解雇要件を
満たしていなくても、契約期間終了時には契約更新を拒否される可能性があり
その点で雇用は不安定なのです。更新拒否(雇い止め)の要件を解雇要件より
も「緩く」設定できてしまうところから、こうした不安定性が出てきます。
 雇用形態のこのちがいを逆立ちさせ、期間の定めのない雇用を不安定と強弁
するのは、不見識をとおりこし、意図的で悪質な主張と言わざるをえません。
 福島部長の発言が正しいとすれば、任期付き教員でない大半の私学大学教員
は「不安定な雇用」にさらされている、ということになるでしょう。もちろん
大学教員のみならず、期間の定めのない雇用の下にある労働者は有期雇用の労
働者とくらべ不安定だ、ということになります。誰がどうみても現実に反し、
常識に反するそういう主張を公に述べること自体、信じがたいことです。
 福島部長は、「有期雇用への移行は雇用形態上有利な変更であり、不利益変
更にはならない」と主張したいのでしょうか。だとしたら、任期付き教員への
移行が有利な変更であることを堂々と述べたうえで、期間を定めない雇用より
も三年任期、五年任期の雇用制度の方がどれだけ有利なのかを具体的に示すべ
きです。当局提案の任期制が現行の雇用形態とくらべてどれだけ有利で魅力的
かを示す証拠はありません。「有期雇用だからより有利だ」と言わんばかりの
誤った説明で当局案を正当化することできません。
 言うまでもなく、有期雇用への移行が「有利」かどうかは、雇用者である教
員がそう判断できるかどうかにかかるものであり、使用者側が一方的に「有利
だから、のめ」と言えるようなものではないことも、あらためて確認しておき
ます。
 有期雇用ならば数年間は雇用が保障されるけれども、期間の定めのない雇用
は不安定という福島発言は、雇用期間にかんする労働法理を歪めているだけで
なく、そうすることで、「もし任期制に同意しなければ雇用が不安定になる」
という印象を醸し出しています。「同意しなければ不利になる」とあからさま
に述べていなくとも、不安定な雇用形態になること(これが誤った主張である
ことは上に述べたとおりですが)を想定しておいた方がよいと匂わせているの
です。
 その意図はないと後でいくら弁明されても、発言全体が教員の不安を煽るレ
トリックとなっていることは否定できないはずです。
 労使交渉を誠実に果たすべき役割と責任を持つ人事・労務担当者がこうした
発言を行うことは大学当局への深刻な不信感をもたらすものであり、座視する
ことができません。何が何でも任期制に同意させるための誘導とみられても仕
方のない発言は厳に慎むべきです。


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