「立川反戦ビラ入れ弾圧事件」の記録 澤藤統一郎の事務局長日記
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2005年02月28日(月)
「立川反戦ビラ入れ弾圧事件」の記録
早いもので2月も末。毎月、月末締め切りの約束をすることが多い。2月の月末はあっという間にやって来る。そろそろ日付が変わる時刻だが、やり残した仕事がいくつもたまっている。2月が28日しかないのはローマの権力者の恣意による。いつの世の権力者も私の敵だ。
国立二小弁護団会議で、支援の教員から勧められるままに一冊の新刊書を購入する。「街から反戦の声が消えるときー立川反戦ビラ入れ弾圧事件」。昨年2月27日の逮捕から12月16日の一審無罪判決までの闘いの記録。著者はミニコミ誌ライターの宗像充、出版社は国立市の樹心社、ともに知らない名。だが、この本、今貴重な記録である。鮮度の落ちないうちに一読をお勧めしたい。ここで語られている生の事実が、時代をよく表している。
2004年2月27日、反戦市民団体・立川テント村関係者が弾圧された。逮捕者3名、捜索差し押さえ6カ所に動員された警察官は60名だったという。その容疑も規模も、弾圧というにふさわしい。被疑事実は、「自衛隊のイラク派兵反対」というビラをポストに入れただけのこと。これが住居侵入だという。彼らは逮捕され、起訴され、保釈まで75日間を勾留された。捜索差し押さえでは、パソコン、ケイタイ、PDA、名簿類がごっそり持って行かれた。
市民生活を送る者が突然逮捕される、これがいかにたいへんなことであるか。押さえた筆でよく書き込まれている。弾圧とは、いかに理不尽で、非道なものであるか。権力とはいかに冷酷なものであるか‥。警察の暴走に歯止めをかけられない検察官、メクラ判で令状を発する裁判官。なんのための法律家か‥。
弾圧された人々が、右往左往しながらも、懸命に闘っている。手ひどい扱いを受けながらも、けっして非道に屈してはいない。その姿に励まされる。たいしたものだとも思い、人は追いつめられればここまで強くなるものか、とも思う。
いま、以下の4事件が熱い。
目黒社会保険庁職員に対する公選法弾圧(公務員の選挙運動禁止違反)。
立川テント村・反戦ビラ入れ弾圧(住居侵入)。
葛飾政党ビラ入れ弾圧(住居侵入)。
板橋高校卒業式発言弾圧(威力業務妨害)。
立川テント村事件だけが一審無罪で控訴審に係属中。他の3事件は、いずれも無罪・公訴棄却を主張して一審で法廷闘争中である。4月6日夕刻にはクレオ(日弁連講堂)で、4事件弁護団共催のシンポジウムが開催される。
政党政派の別を超えて、理不尽な権力の暴走に共同して声を上げなければならない。暴力団だから、オウムだから、過激派だから、多少のことはやむを得ないとはならない。次は、自分の番になる。戦前の反戦言論に対する弾圧、思想弾圧の過ちを再び繰り返してはならない。真剣にそう考えねばならない時代なのだ。