イラク開戦から2年

 

澤藤統一郎の事務局長日記

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2005年03月20日(日)

イラク開戦から2年 

2年前の今日、米英軍のイラク攻撃が始まった。「衝撃と恐怖」作戦が開始され、地上軍がクゥエート国境を越えてバグダッドに向かった。このニュースは、私にとってもおおきな衝撃と恐怖だった。

かくも無法な、国際法と国際世論に背を向けた先制攻撃が可能とは思っていなかった。P5(常任理事国5国)の3カ国、仏・露・中の反対を押し切り、世界中で盛りあがった空前の反戦デモを無視して、主権国家転覆に向けての侵略が可能であろうか。ギリギリのところで、開戦は避けられるのではないか‥。今思えば、まことに甘かった。

「戦争のために軍があるのではない。軍と軍事産業のために戦争が必要なのだ」とは至言である。対イラク先制攻撃はアメリカの産軍複合体にとって不可欠な措置であり、そのためにあらゆる口実が仕組まれた。今思えば‥、のことである。

パウエルは安保理の席上で公言したものだ。「これがイラクの大量破壊兵器の証拠写真だ」。後にこれがウソと分かってからも、ブッシュもラムズフェルドもパウエル自身も腹を切ろうとはしない。恥を知らないと言うも愚か。開戦の理由など、どうでもよいのだ。

この2年で殺戮されたイラクの市民の数については、1万人説もあれば、10万人説もある。そして、攻撃した側のアメリカ側にも、1500人の死者が出た。負傷兵は、1万1000人を超えている。逃亡兵・戦線復帰拒否兵については明らかでない。

ブログ・「バグダード・バーニング」を書き続けているリバーベントは、イタリア人記者ズグレーナに対する米軍の銃撃について、現地から次のように言っている。
「私には、アメリカ人がこの事件にどうしてそんなにもショックを受けたのか、わからない。どこがショック? ズグレーナの車が銃撃されたこと? アメリカ人がイタリアの諜報員を殺したこと? アブグレイブ、殴打、拷問、何ヵ月もの拘束、窃盗、レイプ・・・イラクで起きたことすべてを考えてみてもなお、この最新の事件はそんなにショックかしら? それとも犠牲者がイラク人でないからショックなのか?」
多くのイラク人が、米占領軍に「誤射」されたり、殴打、拷問、何ヵ月もの拘束されたりという2年間だったのだ。

ブッシュのアメリカは、イラク攻撃で何を得て、何を失ったか。得たものは、まだ見えない。あるとすれば、「真の意味でのならず者国家」という拭いがたい刻印。失ったものは明らかである。開戦前には、かすかながらも存在していた世界からの信望。民主主義国としての尊敬の余韻。

同時に、日本のあり方を考えねばならない。このぶざまで失敗続きのアメリカ、世界の悪役となったブッシュ政権におもねることが得策であるはずはない。もう、アメリカを盟主とする有志連合にとどまるメリットはない。一刻も早く、イラクからの自衛隊撤退の意思を明確にすべきであろう。