横浜市立大、4月からの教授会自治解体の組織図

 

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2005年03月31日

横浜市立大、4月からの教授会自治解体の組織図

永岑三千輝氏『大学改革日誌』 (2005.3.29+30)より
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ●永岑三千輝氏『大学改革日誌』 (2005.3.29+30) 4月からの教授会、「まったく何も言う気がしなくなってくる」

 3月30日(1) 本日誌の読者の一人から、昨日の日誌(4)における私の主張に基本的に同意を示されながら、言及が足りない重要な論点の指摘をいただいた。下記に示すご指摘はまったくそのとおりである。先日の説明会(18日)で、ある教員が「まったく何も言う気がしなくなってくる」と自治解体のシステムを表現した。そのとおりで、何か発言しても、行政当局(4月以降は表面的には法人経営者)が最終的決定権を握り、それが脅かされないような完璧なシステムとなっているといえるからである。
 すなわち、教授会開催のあり方、教授会権限の執行のあり方、執行部体制のあり方に関してである。学部長だけが上からの任命というにとどまらない。通常は教授会も開かないシステムになっている。
 
「教授会権限を「代議員会」に委ねてしまうこと。代議員の選出方式が、任命制にかたより、また、コースにより、代議員選出の票の重みが違うことなどにも、重大な問題があるように思われます。」
 まさにそのとおりであり、いかにも行政当局が考え出した制度、というものである。教授会とは名ばかり、ということになろう。こうしたシステムの元で、教員評価が行われたら、一体どのようなことになるのか? 一次評価者が任命制のコース長、二次評価者が任命制の学部長、最後が行政当局任命による学長、教授会を開催してもそこでは任命制のシステムが支配するようになっている、とすれば、このどこに行政当局からの大学人の自律・自治があるか?
 このようなシステムの元で、どのように自由で創造的な生き生きした研究教育となるのか?日々明らかになってこよう。
 新しいシステムでは、法人や大学執行部との関係で、それに対する自律的・自治的組織(メンバーの選挙によって選ばれたという意味での正当性・権限と権威の正統性をもつもの)は教員組合、各種従業員組合しか存在しない。したがって、現在のような新学部発足時点では、教員組織の自律的自治的組織は教員組合しかないともいえる。先日のある会合で、「教員組合が教授会だ」という人がいたが、まさにかつての教授会と同じような自律性を持つのは教員組合しかなく、この発言もそのような意味合いであったのだろう。
 教育研究に従事する人間たちの自律的自治的組織は、現時点ではそれしかないからである。
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 3月29日(4) 新しい学部「国際総合科学部」の教授会召集状がメールで届いた。やはり、学校教育法、その背後にある憲法等を無視することはできない、ということが法人経営サイドにもわかったということである。
 問題は、教授会の権限であり、その権限の範囲内での責任の所在である。これを明確にするために審議事項が学則で定められなければならない。
 この間、問題となっている入試倍率の低下なども、発足時点の新学部は何ら責任の主体ではない。新学部が発足していない、ということで教授会審議の対象とならなかったからである。大学改革推進本部が旧制度の学長、旧制度の委員を適宜活用して新学部の入試を行った、ということである。
 新発足の教授会は、新学部長を選挙していない。したがって、教授会構成メンバーから自由な選挙によって選ばれておらず、オーソライズされてはいない。その学部長がどのようか権限を持つのか。これが今後、教授会の権限との関係で問題となる。
 学部長の権限をどのように規程するのか、教授会は何を審議する権限があるのか。
 教授会は何の決定に参加し、その決定に参加した範囲で責任を負うことになるのか。
 その学則規程(条項)が法律(学校教育法等)に照らして問題となる。自治・自律はどこまでのものか?
 この間の各種ワーキンググループは、大学改革推進本部という行政機関の単なる諮問委員会のようなものであった。単なる相談にあずかる、「協力する」、単に実務作業を担う(決定権はない)というものであった。

上記の主張と問題点の指摘は,外部の者には具体的に理解しにくい点がありましたが,以下の横浜市大学改革推進本部「法人組織説明会資料」(2005/3/18)によって,教授会自治解体のおよその構図がわかりました。

   横浜市大学改革推進本部「法人組織説明会資料」(2005/3/18)

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050318setsumeikai-shiryou.pdf 

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-03/050318setsumeikai-shiryou.pdf
(出所「学問の自由と大学の自治の危機問題」より)

 この組織図をみると,教授会審議事項については,これまで有していた4つの事項(@教員人事に関すること,A研究に関すること,B学部運営に関すること,C学生の身分に関すること)から@〜Bを切り離し,Cだけに限定されている。また,教授会は「全体会」と「代議員会」に区分され,上記永岑氏の説明によれば,「通常は教授会も開かないシステムになっている」(ここで言う「教授会」とは全体会を指しているように読める)ようだ。

法人組織説明会資料
(平成17年3月18日現在)

1 教育研究組織
 (1)教育研究に関する組織
 (2)教育研究に関する組織図
 (3)新たに導入される主な運営制度及び組織

2 法人の事務組織
 (1)法人組織図
 (2)法人事務分掌

○参考資料(別冊)教育研究組織関係資料

横浜市大学改革推進本部

 

投稿者 管理者 : 20050331 01:09