中田市長祝辞 (2005.4.5)

 

http://www.yokohama-cu.ac.jp/01gnl/ceremony/h17/mayor.html 

 

 

平成17年度 公立大学法人 横浜市立大学入学式 市長祝辞

 

 

ご紹介に預かりました横浜市長の中田宏です。新入生の皆さん、横浜市立大学にご入学おめでとうございます。是非、皆さんの大学生活がこの横浜市立大学で充実したものとなり、そして社会の様々な分野で活躍する、そのための知識や教養や仲間や情熱や志をこの4年間で皆さんが身につけられることを心からお祈りを申し上げます。

 

今日、我が国社会は大きな変化のときです。いつの時代も変化は生じます。しかし、今日は、ある意味では「今までと同じことを続けていればいい」、そうした程度で済む変化の時代では確かにありません。日本だけではなく、日本を取り巻く国際社会も大きな変化をしています。そうした中で皆さんは生きているということをよく頭に入れて、この横浜市立大学で学んでもらいたいと思います。世界の変化までここで言及していたら、時間がありませんからここでは言及はいたしませんが、我が国社会で言えば、一言で言えば、先程「今まで通りで済む程度の変化ではない」、こう申し上げましたが、かつてのように経済が成長し、それに伴ってその他のものが常に拡大するとこういうような時代の中で私達は生きていくわけではありません。

 

例えば、日本の人口は長期にわたって減り続けるわけであります。そして、その中で私たちは人間としての幸福感を追求しながら生きていかなければならない、そういう時代であります。食べ物がない、着るものがない、住む家がない、幸いなことに我が国は、今一般的にはそういった時代ではありません。しかし、そういったものがなかった時代には、そういった面を追いかけることで、幸福感を追求することができました。しかしこれから先は、それぞれに幸福感というものを、価値観というものを暖めながら、確かめながら、そうしたことが求められる時代になったわけです。日本という国もそうです、横浜市という自治体もそうであります。また、この横浜市立大学もそういった意味で同じ環境の中にあり、大学としてもそれが求められるわけであります。

 

今日からこの横浜市立大学は新しい一歩を踏み出すことになります。3月31日までは横浜市立大学は横浜市の横浜市立大学、4月からはもちろん横浜市の横浜市立大学であること変わりないと思いますが、公立大学法人としての横浜市立大学として生まれ変わっていくわけであります。

 

皆さんもよもや「大学を出ればなんとかなる」と思ってはいないと思います。「大学を出て学歴をつければなんとかなる」、そう思ってはいないと思います。大学は学ぶところであり、小学校や中学校の頃のように誰かが教えてくれて、それを頭に詰め込んでいけばいい、そういったところではありません。自らが求め、自らの熱意で学びとるところです。先程申し上げた我が国社会の変化の中にあって、横浜市立大学を出ればなんとかなる、そんな時代ではないのです。もとより、これは横浜市立大学に課せられた、横浜市立大学だけの問題ではありません。いずれの大学に行っても同じです。そういった中において横浜市立大学は、今日迎える新入生とともに、これまでの伝統のうえに新たな価値を創造していかなければならない時代だということであります。そのためには新入生、そして理事長、学長をはじめとした教職員と皆さんが新しい横浜市立大学を作り出していく、そういう覚悟で力を合わせていくということが必要だと思います。横浜市立大学が好きだから、横浜市立大学に学びたいから、横浜市立大学を創造していく、そのために横浜市立大学に、こうした気概を持って学生の皆さんも教職員の皆さんもやってもらいたいと思います。横浜市立大学にいられればいいということではない。是非、皆さんにはそうした覚悟で、これからも市立大学をよりいい大学にしていってもらいたいというふうに思うわけであります。

 

横浜市立大学の運営費の8割は市民の税金で運営しているということをよく頭の中に入れてください。私立大学は運営費の8割は授業料で賄っている大学です。しかし、この横浜市立大学は運営費の8割を市民の税金で賄っている大学であることをよく頭の中に入れてください。だから先程、理事長の話の中にも「市民の皆様ありがとう」という言葉がありました。横浜市民の学生さんも横浜市外から来た学生さんも、そのことを充分に頭に入れて、そして自らが社会の中でいかなる貢献をしていくのか、そう考えて学んでもらいたいと思います。横浜市立大学をみんなの力で良き大学にしていってもらいたい、私は心からそう願っています。

 

市長として、市大の中味に口を出したことは一度たりともありません。市大のことは市大でやる。私が市立大学に何度も言ってきたのは先程も申し上げた社会の変化であり、その中でいかに大学としてより発展をしていくかということを大学自身が考えるべきであるということです。市大をつくるのは皆さんです。名門だからとか安定しているからとか、こうしたことで人が集まる組織、安定が欲しいから、その名が欲しいからといって人が集まる、人が安住をしている組織はやがて滅びます。そうではなく自らが安定をつくる、自らが信頼を高めていく、自らが名前を勝ち取ってくる、そうした大学に生まれ変わることを私は心から祈っています。運命を作っていくのも、運命をつぶすのも全て皆さんです。大学もそして一人ひとりの学生さん自身もそうです。このことを私から、今日の門出に申し上げます。誠におめでとうございました。充実した四年間をお祈りします。