都教委がNHK「クローズアップ現代」にくやしまぎれの申し入れ (2005.4.8)

 

そねはじめレポート

http://www5f.biglobe.ne.jp/~s1952328/sone/hata5-0407.html より

 

 

はじめ通信・子どもと教育のはた5−0407

都教委がNHK「クローズアップ現代」にくやしまぎれの申し入れ

3月28日放送のNHKクローズアップ現代で、都立高校卒業式での日の丸・君が代の異常なおしつけの問題を取り上げ、NHKにしてはかなり公平・客観的に都教委と現場教員や生徒・父母側の双方の意見が紹介されました。
 学校で校長から各教員に国旗・国歌指導まで個別職務命令を申し渡している実態が映像で映し出され、それゆえ明らかに都教委の側に異常さがあり、誰の目にも強制と映らざるを得ない姿が浮き上がりました。

都教委は、よほど悔しかったらしく、自らの異常さは棚に上げ、「強制をめぐる都教委と現場教員の対立という印象」をあたえたと、NHKを非難する内容の「遺憾」の申し入れを行ないました。
 しかしNHKがこの問題を取り上げたこと自体は当然であり、むしろ「遅きに失したくらい」(赤旗新聞への読者評)ですし、番組では生徒や保護者の意見など、まだまだ汲みつくしているとはいえないと思います。

同時にこの問題でまだ十分クローズアップされていないのが、都教委の繰り返しの通達や職務命令による日の丸・君が代の扱いの押しつけの強化は今に始まったことではなくこの数年一貫して続けられ、しかもそれが都議会での自民党や民主、公明などの質問を受け、それに横山教育長が積極的に応える答弁を行なう中でエスカレートしてきたことです。
 悪名高い03年10月23日の、いわゆる「10・23通達」は、その夏に民主の土屋議員が性教育への攻撃と共に行なった本会議質問にこたえる形で出されたものです。

日本共産党は、改憲策動の一翼として国政はもちろん地方政治を舞台に、戦前の日本を思わせる軍国調の教育や、男女平等への攻撃、国民の権利制限などを改憲派が押し進めていることを解明し警鐘乱打してきましたが、その際たるものが都議会での改憲への動きと一体となった、日の丸・君が代の学校での強制の動きだといってよいと思います。この問題は、私たちがしっかり訴えていかねばならない問題です。
 学校での日の丸・君が代強制に反対する幅広い方々が集まっている「学校に自由の風を」の運動の中で、今年夏の都議選が非常に大事で、日の丸・君が代強制と憲法改悪の勢力を追いつめ、憲法と教育基本法を守る都民派を躍進させようと呼びかけてくださっていることにたいへん励まされる思いです。

以下に、都教委の申し入れ文を紹介します。

 

 

 

17教総情第14号

平成17年4月6日

 

日本放送協会

 会長 橋本 元一殿

 

東京都教育委員会

 

3月28日放映の「クローズアップ現代」に対する申入れについて

                         

 貴協会が、3月28日に放映した「クローズアップ現代 国旗国歌で教師処分へ卒業式」について、東京都教育委員会として次のとおり申し入れます。

 

1 取材経緯

(1) 平成16年12月中旬、NHKから、「都立高校の卒業式・入学式について、現在のマスコミの報道は事象面を追うことに終始しており、『学校の真実の実態はどうなっているのか。なぜ、都教育委員会が適正化を図らなければならなかったのか。』まで掘り下げて、特集番組を作りたい。」との協力依頼があり、この趣旨に基づく取材を了承した。

(2) 平成17年1月6日(木)の都立高校第3地区校長連絡会(臨時)をはじめとして、都立深川高校への取材、都立高等学校校長連絡会や経営戦略支援チームの学校訪問、高等学校教育指導課長へのインタビュー等について全面的に協力してきた。また、平成17年3月28日(月)には、教育長へのインタビューも行われた。

 

2 番組内容について

番組取材の過程では、NHK側からの当初の申出どおり、都立高校の卒業式・入学式について、なぜ適正化を図らなければならなかったのかを番組の中で明らかにするよう強く申し入れてきた。

放送された番組では、都教育委員会側から教育長及び高等学校教育指導課長の発言を取り上げる一方、反対する側の複数の教員の声を放映するなど、双方の主張を紹介しようとする姿勢は一定程度見られる。

しかし、当初の取材申出の趣旨である「学校の実態はどうなっているのか。なぜ、適正化を図らなければならなかったか。」まで踏み込んだ内容になっているとはとうてい言えず、結果として「強制」をめぐっての都教育委員会と学校現場の教員との対立という印象を与える番組としたことについて、都教育委員会として極めて遺憾である。