市大の学則は、行政マンの勝利宣言である 『公立大学という病』 更新雑記 (2005.4.8)

 

http://myoshida64.hp.infoseek.co.jp/ycu/ycu2004.html

 

 

更新雑記

横浜市立大学は、発展する国際都市・横浜とともに歩み、教育に重点を置き、幅広い教養と高い専門的能力の育成を目指す実践的な国際教養大学として、教養教育と専門教育を有機的に結びつけ、国際都市横浜にふさわしい国際性、創造性、倫理観を持った人材を育てるとともに、教育・研究・運営が、市民・横浜市・市内産業界及び医療の分野をはじめとする多様な市民社会の要請に迅速に応えることを目的とする

大阪府立大学は、国際都市大阪における知的創造の場として、学術文化の中心的な役割を担うべく、広い分野の総合的な知識と深い専門的学術を教授研究し、豊かな人間性と高い知性を備えるとともに応用力や実践力に富む有為な人材の育成を図り、もって地域社会及び国際社会における文化や生活の向上、産業の発展並びに人々の健康と福祉の向上に貢献することを目的とする。

色々書いていたが、面倒臭くなったので一言だけ。市大の学則は、行政マンの勝利宣言である。

 

 

2005.4.10版)

 

横浜市立大学は、発展する国際都市・横浜とともに歩み、教育に重点を置き、幅広い教養と高い専門的能力の育成を目指す実践的な国際教養大学として、教養教育と専門教育を有機的に結びつけ、国際都市横浜にふさわしい国際性、創造性、倫理観を持った人材を育てるとともに、教育・研究・運営が、市民・横浜市・市内産業界及び医療の分野をはじめとする多様な市民社会の要請に迅速に応えることを目的とする

大阪府立大学は、国際都市大阪における知的創造の場として、学術文化の中心的な役割を担うべく、広い分野の総合的な知識と深い専門的学術を教授研究し、豊かな人間性と高い知性を備えるとともに応用力や実践力に富む有為な人材の育成を図り、もって地域社会及び国際社会における文化や生活の向上、産業の発展並びに人々の健康と福祉の向上に貢献することを目的とする。

あまりの違いに唖然とする。市大の学則は、大学から自由な研究を放逐しようとしてきた行政マンの勝利宣言である。
目的の前段部分からは研究という言葉が削られている。「大学」と名付けられていることに研究がほのめかされているに過ぎず、学校教育法にまで遡及しなければ研究は担保されないことになる。研究は目的から残余になってしまっているのだ。また後段は、その残余としての「研究」さえも限定的たらざるをえないことを宣言している。市大で行う研究のプライオリティは、学問そのものの内在的評価にあるのではなく、「市民社会」=外部社会における直接的な功利性に基くということになるのである。研究の判断基準に外部の価値を置く市大のこの学則は、行政が大学に容易に介入できる枠組みを提示しており、行政による大学支配を象徴する条文となっているのである。(4/10追記)