「意見広告の会」ニュース270 (2005.4.12)

 

 

「意見広告の会」ニュース270

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。

** 目次 **
1 『世界』5月号(4/8発売)「ある大学の死……」コメント
     「だまらん」http://pocus.jp/damaran.html 
2 ホームページ「学問の自由と大学の自治の危機問題」
     国公私立大学事件情報より
3 転職は日本の拉致調査を阻害する  デイビッド シラノスキー
     he-forum 4/10より
4 九条意見広告 「毎日」全国版に掲載
     he-forum 4/10より


***
1 『世界』5月号(4/8発売)「ある大学の死……」コメント
     「だまらん」http://pocus.jp/damaran.html 
*旧「やさしいFAQ」は「だまらん」http://pocus.jp/damaran.html に移行しまし
た。

『世界』5月号(4/8発売)に、初見 基氏による 「ある大学の死:都立大学教員はいか
にやぶれていったか」(PP.165-173)が発表された。

(冒頭部分を引用)
   
 200546日、東京都による新大学「首都大学東京」(以下「首大」)の入学式
が開催されるという。
   
この大学は、既存の都立四大学を廃学し、まったく新しい大学を標榜して設立
されることになっている。
   
 東京都による新大学構想をめぐる、都立四大学、とりわけ東京都立大学教員側か
らの抵抗については、本誌掲載の川合康氏による報告をはじめ、すでに多くの文書が公
表されている(本稿も参照した重要な典拠は末尾に挙げる)。ここでは、首大設置が文
部科学省によって認可される以前に執筆された川合報告を踏まえつつその後の経緯を念
頭に置き、都立大学人文学部を中心とした動向についての個人的な見解を記す。その基
調は、東京都を批判した教員側の<敗北>を見据えたものになる。
   
 <敗北>という現状認識に対しては、いや、闘いは一定の成果をおさめ、いまは
新大学を<良い大学>にすべく努める段に入っている、と主張する向きもあることは承
知している。だが筆者の立場は、そうした<転戦>を肯(うべな)わず、内実・手続き
ともに首大構想を拒否し、そこに動員されることに抗(あがな)うものであることをあ
らかじめ明示しておく。
   
 以下ではまず、都立大学側が後退を強いられ敗北に到る事実経過を述べる。そし
て次に新大学構想の問題点を簡単に挙げ、最後に敗因をなすだろう教員内の様相を示す

   
 なお本稿の記述内容はあくまでも個人の観点からのものであるが、少なからぬ部
首大就任拒否した教員たちと共有できるものと考える。
   
コメント(1)[2005/04/08]

これまで「首大構想」の問題点を指摘する論考とは一線を画し,都立大学(特に人文学
部)の教員がどのようにして東京都側とのやりとりで後退していったかが生々しく指摘
されている。「生活保守」と「思考停止」が支配的になってしまえば,「大学の理念」
など守れるべくもない。

コメント(2)[2005/04/09]

これまで川合 康氏による「都立新大学問題何が起こっているのか 開かれた大学改
革を求めて」や経済学グループによる「都立新大学構想の評価と経済学者たちの選択」
が岩波書店の月刊誌『世界』に掲載されてきた(『世界』20047月号)。一般的に『
世界』は左よりの雑誌であるという認識が世の中には広まっているように思える。そし
て,保守派の石原知事と対立しているのが,「いわゆる左よりの人だろう」という想像
と符合する。しかし,上記の論考を発表した諸氏は,いわゆる「左より」(「マルク
ス・レーニン主義」など)では決してない。一般の週刊誌では,同じような内容の報告
を取りあげてくれなかったから,偶然にこのような結果になったにすぎない。この点は
,改めてコメントする。


2 ホームページ「学問の自由と大学の自治の危機問題」
     国公私立大学事件情報より

ホームページ「学問の自由と大学の自治の危機問題」、別サーバーにて新たに復活!
学問の自由と大学の自治の危機問題(新しいサイト)

 佐藤真彦氏(横浜市立大学大学院理学研究科元教授)は今年3月末で抗議辞職されま
したが,この度それまで作成されてこられた「学問の自由と大学の自治の危機問題」の
ホームページを別サーバーにて新たに復活させられました。学問の自由と大学の自治を
破壊する人々やその行為に対しては,これまで以上に厳しい批判が展開されるものと思
います。私はこれまで佐藤真彦先生の同サイトからおびただしい数の記事を転載させて
頂きました。この場を借りてお礼申し上げたいと思います。(ホームページ管理人)

このサイトについて

 このサイトは,過去2年余りの間「横浜市立大学問題」に関わってきた管理人(佐藤
真彦・元横浜市立大学大学院総合理学研究科教授)が,個人の責任で管理・運営するサ
イトです.

 橋爪大三郎「あり方懇」座長の危険性を察知して,50年に一度(あるいは文科省によ
れば100年に一度)の大学制度改革(改悪)の動きに,いま反対しなければいつ反対す
るのかという想いで,「学問の自由と大学の自治の危機問題」というサイトを2002年の
暮れに立ち上げました.その目的は,昔なら,わずかな数のビラをまいたり,掲示した
りすることしかできなかったところを,インターネットの登場で,学内外のホームペー
ジおよびメール通信のネットワークとの協力が可能となり,これを利用して,横浜市大
問題の真相を暴くこと,市大問題を全国問題化して中田市長らによる大学破壊計画
を阻止すること,および,この問題の経緯を歴史に残すことにありました.そのときの
モットーは,ウォルフレン氏の《日本の上層部の人びとが簡単に脅しに屈するため,多
くの外国人のあいだで日本人はみな臆病者だと思われている.・・・口で言うほど容易
なことではない(が,)脅しにたいする簡単な対処法ならある.生命の危険がないかぎ
り,無視するのだ.脅しは,それに敏感に反応する人だけに効く.最善の対処法は戦う
ことだ.最終的には,真の市民となるためには勇気が必要なのである.》(カレル・ヴ
ァン・ウォルフレン「人間を幸福にしない日本というシステム」(鈴木主税訳,新潮O
H!文庫,2000年,p.345,346))というものです.その結果,横浜市大問題の真相,
および,首謀者(中田宏横浜市長・池田輝政総務部長・橋爪大三郎「あり方懇」座長)
と学内の積極協力者(小川恵一学長・サイレントマジョリティー3教授など)の悪事を
暴き,これを全国に知らせることがある程度できたと思っています.

 本サイトの管理人は20053月末に横浜市立大学を退職(抗議辞職)しましたが,4
に発足した新大学(「公立大学法人横浜市立大学」)では,その後も,中田市長および
横浜市官僚らによる大学破壊計画の実行を押し止めるための(絶望的な)闘いが,教員
組合を中心にねばり強く続けられています.本サイトの目的は,主として,その闘いを
学外から支援すること,および,横浜市大問題の経緯を公開・保存し,歴史に刻むこと
にあります.
2005
47

このページは,横浜市立大学内のサイト「学問の自由と大学の自治の危機問題」 http:
//satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page047.html
から引っ越してきたサイトです.
旧サイト内のすべての文書(2005331日までの文書)は,引き続き,横浜市立大学
教員の自主的管理により公開・保存されますが,本サイトにおいても旧文書は,閲覧し
やすいように整理した後公開・保存する予定です.本サイトでは,20054月以降の更
新を行います.
  メールでのお問い合わせは,sato_u@kit.hi-ho.ne.jp まで


3 転職は日本の拉致調査を阻害する  デイビッド シラノスキー
     he-forum 4/10より
 ネイチャー23日号で記事を書いたシラノスキー記者が46日号で、再度、吉井講師
の転職に関して記事を書いています。
  (ネイチャー記事としては3度目)
http://www.nature.com/news/2005/050404/pf/434685a_pf.html
 その全訳を紹介します。(局所的誤訳はお許しを!)

     転職は日本の拉致調査を阻害する
               デイビッド シラノスキー

  遺伝学者の新たなポストはDNA鑑定に関する彼の証言を阻む恐れ

 北朝鮮に拉致された日本人の運命に関する騒動に再度、火をつけた一人の遺伝学者が
、そのほんの数週間後に、東京都警の要職に就いた。

 しかし批評家たちは吉井富夫氏の帝京大学から東京都警科学捜査研究所長への転進は
彼のDNA鑑定に関する問い合わせから彼を守るために計画されたと主張している。野
党民主党の首藤信彦議員は330日の議会における町村外務大臣との激しいやりとりの
なかで、政府が吉井氏を新地位に移すよう影響力を行使したことをほのめかした。

 日本政府は吉井氏のDNA分析は、昨年北朝鮮から提供された火葬遺骨が1977年に拉
致された横田めぐみさんとは別人のものであることを疑いもなく証明していると主張し
た。日本は横田さん、そして拉致されたとされる他の数名の消息の詳細を求めている。

 しかし吉井氏はネイチャーとのインタビューにおいて彼の結果がコンタミ(汚染)の
結果でありうることを認めた。(ネイチャー433号 445ページ2005年参照) 日
本政府高官は、吉井氏は自らの発言が誤って引用されたと言っていると主張し、ネイチ
ャー記事に反論した。以後、オーストラリア、韓国のドキュメンタリーフィルム制作者
また他のリポーターが吉井氏にインタービューを試みたが成功していない。

 首藤氏は吉井氏にこの件に関し、議会外務委員会で証言して欲しいと言っている。し
かし吉井氏の警察の新地位においては、彼の雇用主が、ある手続き(首藤氏によれば障
碍)に同意しないかぎり出席できない。30日の議論のなかで首藤氏は町村氏に、一民間
人のおよそ警察的な訓練を受けていない人が突然、警視庁のトップの地位に就くという
のは「驚き」だと語った。彼は「これは証人隠しではないのか」と尋ねた。

 遺骨からはDNAは検出できなかったという、千葉の科学警察研究所の正反対の報告
にもかかわらず、政府は吉井氏の結果を断定的なものとして受け止めた。

 首藤氏は町村氏に「巨大な研究機関の言葉を越えて、一私立大学の一研究者の言葉を
受け入れるというのであれば、そのような研究機関は廃止してしまうべきではないのか
」と迫った。町村氏は首藤氏の質問を侮辱と呼び、内閣は真剣に調査に取り組んで
きたと述べた。彼は「私どもは予め決まった結論を出そうとしたのではない、委員はも
っと慎重に言葉を選んで欲しい」と抗議した。

 首藤氏はなお吉井氏を証言に喚問することを計画している、そしてなぜ政府が吉井氏
の結果からそんな結論を出したのか、その真相に迫ると首藤氏は言っている。彼は「も
しも日本がこの方向に進み続けるなら、日本の科学の評価は根底からつき崩される」と
警告している。


4 九条意見広告 「毎日」全国版に掲載
     he-forum 4/10より

佐賀大学の豊島です.
先月24日の投稿,“[he-forum 8348] 九条擁護の意見広告・続報でお知らせした広
告が,本日の毎日新聞全国版に掲載されました.東京と西部の両本社版で確認しました
が,北海道,中部,大阪については未確認です.

多くの皆様や教職員組合からご支援をいただき,厚く御礼申し上げます.
しかしまだ費用の3分の1しか集まらず,苦心しております.恐縮ですが,さらに幅広
い方々からのご支援を賜りたく存じます.

郵便振替 口座番号:01770-2-116236, 加入者名:九条広告支援の会
賛同金 個人一口 1,000円,団体一口 5,000円.

ホームページに広告内容と募金の状況を表示しています.
九条広告支援の会
http://www.ad9.org/

豊島耕一
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/Default.html