板橋高校刑事弾圧事件公判始まる 澤藤統一郎の事務局長日記 (2005.4.21)

 

http://www.jdla.jp/jim-diary/jimu-d.html

 

 

・・・この卒業式には、民主党土屋敬之都議が出席している。人も知る右翼議員である。この人は、9割以上が不起立となった卒業生に対して、式の最中に「立ちなさい」と大声を上げ、あろうことかケイタイで不起立者の写真まで撮っている。この式の直前に不起立を勧めた藤田さんの言論があり、式の最中に起立を勧めた土屋都議の言論がある。どちらの言論が憲法上守られねばならないか。当然に、権力が憎む内容の言論でなくてはならない。権力におもねる言論に憲法上の保護は不要である。権力に抗う内容の言論の自由こそが保障されなければならない。・・・

 

 

20050421日(木)

 

板橋高校刑事弾圧事件公判始まる    

 

 本日、都立板橋高校元教員の藤田さんに対する刑事弾圧事件。昨年の卒業式に来賓として出席し、開式の15分ほど前に、サンデー毎日の記事のコピーを撒き、「できれば着席していただきたい」と呼び掛けた言論、これを咎めた教頭らが式場外に押し出そうとしたことに抗議の発言をした、という行為をとらえて威力業務妨害として起訴した事件。無茶苦茶としか言いようがない。これが、有罪なら世も末だ。

 

その第1回の公判。104号の大型法廷。最初に驚いたのは、物々しい法廷警備。裁判所の警備職員25名を動員しての、厳重なボディチェック。そして、荷物の預かり。そのために裁判開始時間が大幅に遅れる。公判開始前に、84人の傍聴人を25分間も廊下で待たせた理由について、裁判所に説明を求める。

 

傍聴者は主権者の代表として公開の法廷を監視する立場ではないか。裁判の公開原則は、被告人にとっても権利であり、傍聴者にも権利である。ボデイチェック、持ち物検査、廊下で長時間待たせる。主権者に対する扱いではない。警備を担当する職員のマナーも悪い。到底権利として傍聴を認める態度ではない。できるだけ不愉快な思いをさせて傍聴希望者を減らしたいと考えているのでないか。

 

「お客としてもてなせ」とまでは言わない。市民社会の常識的なマナーで、傍聴者を遇せよ。裁判所に対する国民の信頼形成は遙かに遠い。

 

起訴状朗読に続いて求釈明の攻防があり、その後1時間半近くを掛けて公訴棄却の申立が行われた。藤田さんの堂々たる意見陳述のあと、尾山宏弁護団長が口火を切り、若手弁護団員が情熱あふれるすばらしい論述を行った。

 

本日の公判で、明らかにされたのは、純粋な言論行為が犯罪として起訴されていること。藤田さんはけっして、有形力(実力)の行使をしていない。およそ犯罪となるような事実はない。にもかかわらず起訴にまで至ったのは、言論弾圧以外の何ものでもない。石原都政・都教委・公安警察・検察庁公安部総ぐるみの政治的弾圧だ、ということ。

 

この卒業式には、民主党土屋敬之都議が出席している。人も知る右翼議員である。この人は、9割以上が不起立となった卒業生に対して、式の最中に「立ちなさい」と大声を上げ、あろうことかケイタイで不起立者の写真まで撮っている。この式の直前に不起立を勧めた藤田さんの言論があり、式の最中に起立を勧めた土屋都議の言論がある。どちらの言論が憲法上守られねばならないか。当然に、権力が憎む内容の言論でなくてはならない。権力におもねる言論に憲法上の保護は不要である。権力に抗う内容の言論の自由こそが保障されなければならない。

 

この裁判、負けたらたいへんだ。日本の民主主義の成熟度が問われている。