「起立」する人の責任 (2005.4.22)

 

ペガサス・ブログ版 http://blog.so-net.ne.jp/pegasus/ より

 

 

「起立」する人の責任   [社会]  

立川第二中学校の先生のメールを紹介したが,その中の次の言葉に印象づけられた.

   当日は、「開式の言葉」で全員起立した状態で『君が代斉唱』は始まり、
   はじめは私は座らずにいました。途中で座りました。罪悪感に胸が締め
   付けられ、苦しくて苦しくて、この時間の長かったこと。着席したとき、
   「銃の引き金を引かなくてよかった」とほっとしました。

この「罪悪感」を,おなじ学校の同僚の先生たちはどの程度感じているのだろうか?「君が代」が好きか嫌いか,気にするか気にしないかの問題ではない.まかり通っている現代の「踏み絵」,思想統制を目の当たりにして,「何もしない」ことはそれに加担することであることは,少しでも教育のある人なら理解できるはずである.その上で「起立」し,根津さんのような常識をわきまえた人を目立たせているのである.そのことによって「処分」が可能になっている.

もし平均的な良識と,「連帯」という価値を理解する人が半分でもいれば,「処分」は不可能になるだろう.これを思想統制ととらえることの出来ない感性の低下あるいは無関心と,無関心のふりをする臆病さが,ファシズムを育てるのであろう.

「見て見ぬ振りはイジメの共犯」などと先生は子どもたちに教えるのではないか.自分の目の前でそれが行われているとき何もできないのでは,そのようなことを教える資格もないと言うべきだろう.

「不起立」の先生たちを「勇気がある」として誉めるのもいいが,しかし,起立してしまう先生を批判することがほとんどなされないのも変である.むしろ,「それぞれ条件が違うから・・・」などと寛容な,庇うような言説が優位であるような気がする.外部のものがそのようなことを言いにくいということもあるだろう.自分がおなじ立場に置かれたらどうなるか分からないというわけである.これは一見慎重で尤もらしい態度にも思えるが,しかしこれは「臆病の先物買い」のようなものだ.敢えて批判し,もしその状況で自分に勇気がなかったときは恥をかくリスクを負うという,いわば勇気の先物買いぐらいはしてもよい.いやむしろすべきであろう.

学校現場の無法を見ていると,ファシズムは一夜にして訪れるものではなさそうだと思える.少しずつ少しずつ,一歩一歩,人々の臆病さに育てられて,日々成長していくもののようだ.とすれば,ファシズムとの闘い方も少し分かって来たような気がする.


2005-04-22 09:55  固定リンク nice!(0)   コメント(0)   トラックバック(0)   関連記事


普通のセンスを持った先生を応援して下さい   [社会]  

 根津公子さんという方のメールを紹介します.立川第二中学校の先生で,3月の卒業式で君が代斉唱時に着席したことで減給6ヶ月の処分を受けています.4月7日の入学式でも同様に着席したことで,この28日にも,彼女の言葉によると「量刑」が決まることになりそうとのことです.本人自身の文章だけに,迫力,説得力があります.
 メールにあるように,ぜひ東京都教育庁に抗議や要請のメールやファクス,電話をお願いします.それなりの肩書きや地位をお持ちの方は,ぜひその「紋所」をつけて.

 以下,「自由の風ネットワーク」からのメールの転載です.
  http://comcom.jca.apc.org/freedom/
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根津公子です。BCCでお送りします。
入学式で着席した件のその後の報告とお願いです。
12日に都教委による事情聴取がありました。いつものことながら直前に(=11日夕刻)その連絡を受け、夜メールで呼びかけ・お願いをしたところ、20人もの方が駆けつけてくださいました。都教委に対して「周りも許さないぞ!」という意思を示すことができたと思います。
今回の事情聴取では、しっかり都教委に記録させようと考えて臨みました。それで処分量刑に違いが出るものではありませんが、都教委に労力を使わせ、また、「オウム信者」と変わらない聴取者の管理主事に、話しても変わらないだろうことは分かってはいても、人として生きようとする私(たち)の話を聞かせようと思ったのです。
「30分を予定している」という管理主事に、「外形的行為で終わりにせずに、その行為の理由をしっかり聞き取り、都教委は考えるべきだ。私の質問にも答える機会を別途取るように」と言って、話をしました。1時間を過ぎた頃から管理主事は「後どのくらいかかるか」と、言ってはならないことを2度も言ったので、謝罪させました。管理主事二人の聴取者のうち、一人が聴取役、もう一人が記録役。最後に記録したことに間違いがないかを私に確認させるのですが、渡された記録を見ると誤字あり。私の指摘に(=でも、正しい字は教えてやらなかった)、聴取役の管理主事が記録の管理主事に訂正を命じる。しかし、案の定記録の管理主事は正しい字がわからない。記録の管理主事はイライラし、上下関係を露わにして叱責する。私の前でそんな失態を見せずにフォローしたほうがスマートなのに、と思いましたが同時に、人の心を読めない人たちだからうまい管理もできないんだろうなと納得しました。
 さて、事情聴取の後は教育委員会に諮り、処分と量刑が承認、決定される運びです。14日に定例の教育委員会がありましたが、インターネットで議題を見ましたが、処分の件はありませんでした。とすると2週間後28日の定例会にかけるのでしょうか?そこで、再度のお願いです。
都教委に抗議・要請の電話、FAX、メールを入れてください。すでにしてくださった方は、周りの方に広め、協力をお願いしてください。一言「立川二中教員・根津公子をこれ以上処分するな」で結構です。構えると出しそびれてしまうことが私など、ありがちです。一言で結構ですから、至急、お願いします。
北海道のYさんは、都教委藤森職員課課長に電話を入れ、逃がさずに長い時間きっちり話をしてくださったり、申し入れと16項目に及ぶ公開質問状を出してくださいました。大阪のMさんは300人にメールを送り呼びかけてくださいました。感謝と感激の極みです。大勢の方から「送ったよ」という声をいただき、本当にありがたく思っています。皆さんからの抗議要請が、14日の定例教育委員会に出さなかったことと関係があるかな・・・?、なんて想像しています。
次の定例会は28日かと思います。あるいは臨時会をするのかもしれません。抗議・要請をぜひぜひお願いします。
1週間前に呼びかけさせていただいたものを再度貼り付けます。転送する際にお使いください。

入学式での着席に対し、「これ以上の処分をするな」の声を都教委に至急届けてください

 前略失礼します。根津公子(=立川第二中学校教員)と申します。
 この3月の卒業式において「『君が代』斉唱」時に着席したことで、私は3月31日に『減給6ヶ月』の処分を受けました。『日の丸・君が代』について子どもたちに多角度から学ぶ機会を保障せずに、ただ従わせるというやり方は教育ではない、教育機関である学校がしてはいけないことだと常に考えてきました。また、このような文部行政にあって、子どもたちは『日の丸に礼をし、君が代に対しては、起立、斉唱をするのが常識』と捉えてしまうことになるのですから、教員がすべきことは、子どもたちが考え判断できるように『日の丸・君が代』についての資料を提示することだと考えてきました。教育基本法を守らせる、守る行為だと思います。

 私はこの3月の卒業式を前に、いろいろな事情から、卒業式当日どういう行動を選択するかについて悩んでいました。生徒たちには最後の授業で、「私が『君が代斉唱』で立てない理由」を話し、「おかしいことには服従してはいけないと思いつつも、今回、服従してしまうかもしれない。そうしてしまったときは、根津は言うこととやることが違う、自分に嘘をついた、と思ってほしい。そして、そうしてしまったら、皆にごめんなさい、と謝りたい」と話しました。

 当日は、「開式の言葉」で全員起立した状態で『君が代斉唱』は始まり、はじめは私は座らずにいました。途中で座りました。罪悪感に胸が締め付けられ、苦しくて苦しくて、この時間の長かったこと。着席したとき、「銃の引き金を引かなくてよかった」とほっとしました。
 立川市教委は、私の不起立を現認するために、また、校長・教頭が私の不起立を現認したかを現認するために、市職員を二中に派遣し、私の5メートル後ろで見張りをさせました。こうして私は、減給6ヶ月の処分にされました。東京では『減給6ヶ月』に私を含め、4人の教員が処されました。

 さて、4月7日の入学式で、私は、初めから着席しました。今回も現認のための市職員(=指導主事)が派遣されていました。自分にも生徒に対しても、嘘をつくのはやめよう、おかしいことにはおかしいと言い続けようと思ったからです。都教委は「量刑は累算(どんどん重くしていく)」と言っていますし、「3回不起立で免職」だと都教委が言ったとかささやかれています。今回は停職か?、次は免職か?と思いますが、都教委の暴挙としっかり向き合うことにしました。都教委はこんな暴挙を行ったという事実を歴史に記録することになります。国際的世論も許さないでしょう。私は、都教委はおかしい!と考える多くの人たちとともに、より一層大きな闘いにしていくつもりです。
 処分の前にはその手続きの一環で、事情聴取が行われることになっています。すでに、7日入学式の午後に市教委による事情聴取は終わりました。今週(11〜15日)中に都教委による事情聴取を行うと、告げられています。
そこでお願いです。至急、都教委に「根津に対し、これ以上の処分をするな! 私は都教委を許さない」という趣旨の抗議、要請文を送ってください。周りの方にも声をかけてください。よろしくお願いします。  根津公子
 抗議・要請先 
 東京都教育庁 人事部 職員課
  FAX 03-5388-1731
  Mail  S9000013@section.metro.tokyo.jp
  TEL 03-5320-6790(藤森 教悦 職員課長)
  TEL 03-5320-6792(佐藤正吉 主任管理主事)
  住所 163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1


2005-04-22 09:53  固定リンク nice!(0)   コメント(0)   トラックバック(0)   関連記事