名古屋地裁内田計一裁判官に抗議する 澤藤統一郎の事務局長日記 (2005.4.24)

 

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名古屋地裁内田計一裁判官に抗議する  

 

「自衛隊イラク派兵は違憲。だから、裁判所で派兵の差し止めができるはず」「少なくとも、違憲の判断を内容とする判決があってしかるべし」

そのような発想から、派兵差し止め、違憲であることの確認、あるいは慰謝料の支払い、を求める「イラク違憲訴訟」が各地で提起されている。もちろん、単純に勝訴が容易とは誰も考えていない。しかし、真剣にハードルを乗り越える創意と努力が積み重ねられている。その中心に位置しているのが名古屋訴訟。原告数3000人を超す規模の大型訴訟である。

 

その弁護団から緊急の報告が届いた。裁判官が交替した途端の強権的な訴訟指揮に怒り心頭。「非常識な裁判長に抗議を」というもの。問題の発端は裁判官交替後第1回の期日(4月22日)における更新手続きにある。それをいつするのかに関して、新裁判長は「本日直ちにやれ」と言い、原告は「突然の裁判官交替だったので、いきなりやれと言われても無理な話。準備のうえ次回の期日に行う」と主張して対立した。以下は弁護団発信のメールの要旨。

 

「本当にめちゃめちゃな訴訟指揮でした。原告は『更新弁論はする。しかし、わずか1週間で更新弁論の準備は無理。今日は出来ない』として別途実質的な更新弁論の期日を設けることを求めました。その上で今日は今までこの日のために準備してきた内容を陳述させて欲しいと述べました。至極まっとうな要求です。しかし、裁判所は、あくまで『今日やりなさい。更新弁論の機会は与えました』という態度。こちらも『更新弁論はやるが今日では出来ない』として、法廷はかなり荒れました。

すると裁判所は被告に意見を求め、茶番のように被告が『従前通り(との陳述だけで更新していただいてけっこう)』と言っただけでなく、『一方当事者の更新で手続きは十分です』と判例を引いて(的はずれなものでしたが)述べ、裁判所はそれを受けて『更新しました』と一方的に更新を宣告しました。

原告弁護団としては、毅然と異議を述べ、調書への記載も要求しましたが、裁判所は『更新はした』という前提で、原告に「準備書面の陳述はされますか」と聞き、こちらは『更新してないだろ!』と激しく応酬しました。

すると、『では、準備書面も陳述されないということで、次回期日を決めます。次回は9月9日で良いですか』と一方的に言ってきました。

被告とは話がついているようで、被告は手帳も見ずに『結構です』と述べ、裁判長は『では次回は9月9日とします』として閉廷し、帰って行ってしまいました。

この間原告や弁護士もかなり応酬し、大脇雅子弁護士も国会質問ばりに意見を述べられました。多くの弁護士も裁判所に迫りましたが、全く話になりません。この間50分くらい紛糾していたことになります。

是非、全国から、この名古屋のあまりに不当違法な訴訟指揮に対して抗議の声を挙げて下さい」

 

裁判所は理性と良識の府である。理性と良識に徹してこそ、司法に対する国民の信頼を築くことが可能となる。その対極が裁判所の強権発動。市民社会の常識から遊離した強権的な訴訟指揮は、国民の信頼を掘り崩す毒薬である。こんな訴訟指揮をする裁判官がいる限り、我々は司法を信頼することなど到底できない。

 

名古屋地裁民事第6部・内田計一裁判長に抗議し、あらためてイラク訴訟の更新弁論を行うよう、要求する。