憲法の日各地で集会 「東京新聞」 (2005.5.4)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050504/mng_____sya_____010.shtml

 

 

憲法の日各地で集会

 日本国憲法が施行されてから58年となった3日、「護憲」「改憲」両派を含め、各地でさまざまな集会が開かれた。

 

■護憲派

 

 護憲派の市民団体などは「5・3憲法集会」を東京都千代田区の日比谷公会堂で開催、大勢が参加した。主催団体の一つ「『憲法』を愛する女性ネット」の山口菊子さんは「日本は戦争への道を歩もうとしている。憲法九条を守ろう」と呼び掛けた。

 

 作家の山崎朋子さんは、自らの戦争体験を語り、「九条を生み出すのに戦争犠牲者の力があったはず」。教育基本法の改正問題に取り組む八尋麻子さんは「イラク戦争はおかしい。でも就職がなく、自衛隊はいらないと主張していた高校生が翌年、自衛隊員になっている」と訴えた。

 

 衆議院憲法調査会の参考人を務めた小林武・愛知大学教授は「政府は憲法を良くする気などない。権力を縛るはずの憲法が、国民の行動を管理するものに変わろうとしている」と指摘した。

 

 娘二人と参加した豊島区の主婦菊池裕子さん(42)は「どうして今、改憲なのか。このままでは、戦前のようになってしまう」と話した。

 

■改憲派

 

 改憲派では、「二十一世紀の日本と憲法」有識者懇談会(民間憲法臨調・三浦朱門代表世話人)の第七回公開憲法フォーラムが中央区の銀座ブロッサムホールで開かれ、約八百五十人が出席した。

 

 「憲法改正問題の現状と方向」をテーマに討論があり、衆参両院の憲法調査会長が五年間にわたる論議内容を報告。中山太郎衆院憲法調査会長は「国民投票法ができて初めて、国民が憲法を自分たちのものと自覚するようになる」と述べた。

 

 安全保障や天皇制などについて幅広い議論が行われ、舛添要一参院議員(自民)は「国民一人一人が自分の憲法案を書いてほしい」と訴え、鳩山由紀夫衆院議員(民主)は「自立した国の気概を込めた憲法をつくりたい」とした。司会の中西輝政・京都大教授は「憲法改正について与野党で自由闊達(かったつ)に議論できるとは、画期的な状況の変化だ。議論の輪をさらに広げ、改正への突破口を大きく開きたい」と話した。

 

■記念館でもシンポ

 

 千代田区の憲政記念館でもシンポジウム「憲法と平和を考える」(主催・市民版憲法調査会など)が開かれ、約七百人が参加した。

 

 パネルディスカッションでは、ジャーナリストの筑紫哲也氏が「憲法を変えれば、行き詰まりを全部打開できるかのように考えるのは幻想だ」と強調。菅直人衆院議員(民主)は「憲法には国民主権が書き込まれているが、実際は官僚主権が続いてきた。変えていかなくてはならない」と訴えた。