「意見広告の会」ニュース279 (2005.5.17)

 

 

「意見広告の会」ニュース279

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** 目次 **
1 中山文科省の居直り発言
    5/12の参院文科委員会
1−1 参議院インターネット審議中継(案内)
1−2 「これぐらいのところは予想して大学運営はやっていただきたい」
  *速記録はまだ公開されておりませんので、録画をご覧下さい。
2 中山文科大臣の低姿勢発言 「あまりに遅きに失したと」
    衆議院文科委員会4/24
3 簡単な解説
       
「意見広告の会」事務局

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1 中山文科省の居直り発言
    5/12の参院文科委員会
1−1 参議院インターネット審議中継
    http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/consider.php
  更に5月12日小林美恵子議員(共産党)に進んで下さい。
 
 15分経過くらいから授業料問題に入ります。

1−2 「これぐらいのところは予想して大学運営はやっていただきたい」
 小林議員  突然の通知は各大学のとまどいと混乱を招いたのではないか。
 中山文科相  改定したところは、4月以降新授業料になっている。特に問題は起き 
      ていない。大いに混乱したとか、オーバーな話になっているなと思う。 
           
これぐらいのところは予想して大学運営はやっていただきたい。

2 中山文科大臣の低姿勢発言 「あまりに遅きに失したと」
    衆議院文科委員会4/24
 川内博史議員(民主党)質疑
川内委員 今の高等教育局長の御答弁は、御説明は、いろいろ御説明をされましたが
、最終的には授業料を決めるのは行政の裁量だ、標準額を決定するのは行政の裁量であ
るというふうにおっしゃっていらっしゃるのだと思うんですが、それで果たしていいの
かどうかと思うんですね。
 国立大学法人、法人化になりまだ一年たっていない、一年間の決算も終わっていない
うちに授業料標準額が引き上げをされた。では、今回のこの標準額の引き上げに関して
、高等教育局としてはどのような反省を反省点として持っていらっしゃるのかというこ
とをお尋ねいたします。
石川政府参考人 今回の授業料標準額の改定というものを結果的に決めるにつきまし
ては、私立大学におきます授業料の平均額の傾向ですとか、そういった水準、あるいは
その他の社会経済情勢など、さまざまな要素を勘案して、例えば私立大学におきまして
は平成十四年から十六年にかけまして授業料の平均額が約一万四千円上がっておる、こ
ういったことも踏まえまして、今回、標準額につきまして一万五千円という改定をさせ
ていただいたところでございます。
 この幅につきましては、いろいろな御議論があろうと思いますし、また授業料の標準
額を変えるということにつきまして、国立大学の学長さん方からもさまざまな意見があ
ったということはもちろん私どもも承知をいたしております。しかし、授業料の標準額
ということが持つ意味というものを私どももしっかり踏まえた上で、できるだけ、必要
最低限といいましょうか、できるだけ低く抑えるように努力をしたつもりでございます

川内委員 局長、済みません、僕の聞き方がちょっとよくなかったのかもしれません
が、私は、引き上げた理由を説明してくださいというのは、もう先にさっきお聞きした
ので、それはわかりました。
 ただ、今回の標準額の引き上げについて、各国立大学の現場で混乱をした事実があっ
たと思うんですね。それはすべての大学で混乱したとは言いません、しかし幾つかの大
学では、入学の試験のときに授業料が明示できなかったりとか、いろいろな出来事があ
った。混乱しましたね。そういう事柄について、文部科学省高等教育局として、幾つか
の反省点というものを持っていらっしゃいますかということをお尋ねしたのですけれど
も。
石川政府参考人 私の理解と言葉が足らずに失礼いたしました。ただいまのようなお
尋ねという前提でお答えを申し上げるとすれば、やはり授業料の標準額の改定を行うに
際して、いろいろな各大学ですとか学長先生方の御意見というようなことも聞いてみる
ということを十分すべき、私どもももちろん聞かなかったというわけではございません
。十分時間をかけて聞いてみるというようなことも必要であったかもしれませんし、ま
た、方針が決まった後にはできるだけ多くの余裕のある時間を持ってお知らせをしたり
、混乱ができるだけ少ないように、もっと何か工夫があるのか、そういったことを考え
るべきであったかもしれない、このようなことを考えております。
川内委員 今の高等教育局長の、各大学の意見を十分に聞くべきであったと思う、こ
れからは聞いていく、さらには、方針を決定した後は十分に学生さんあるいは親御さん
に対してそれを周知する期間を設けなければならないというのが反省点であると。した
がって、今後はそのような方向になっていくんだろうと思いますが、今の局長の御答弁
を中山文部科学大臣に、大臣として、政府の見解として御確認いただきたいというふう
に思います。
中山国務大臣 学長等に聞けば、それはもう下げてほしい、安い方がいいと言うのは
わかっているんですけれども、やはり一応聞くというそういった手順も必要なのかな、
こう思うわけでございます。
 先ほど話がありましたように、私学の方で一万四千円ぐらい上がっているということ
も一つのめどになったと思うんですけれども、私も、大臣になってすぐでございました
が、こんなのを何で上げるんだと実は思ったんですけれども、なかなか、主計局といい
ますか、きょう来ているかもしれませんが、かたいところでございまして、私もおりま
したのでわかるんですが、それといろいろと折衝をしながら、本当にある意味では大変
な折衝の中でこういう額になったと私は思っておるわけでございます。
 適正な範囲内が幾らかということはなかなか難しいんですけれども、先ほどから言っ
ていますように、国立大学というのは授業料が安いということがやはり一つの特徴とい
いますか特色だったわけですから、そういったこともしっかり踏まえた上でやっていく
べきだと私は思っております。
 今回のことについて、法人化してすぐのことでしたから、混乱、まあ何をもって混乱
とするのか、多少の混乱というのは何をするにしてもあると思うんですけれども、余り
遅きに失したと。私学はどうなのかなと今ちょっと聞いてみたんですけれども、私学の
場合にはもっと早く値上げ等も公表しているというようなことも聞いているわけでござ
います。
 そういう意味で、学生とか保護者の立場に立って、申し上げなければいけないときに
はやはり少し前広にお知らせするとか、そういったことも考えられるんじゃないかと思
うわけでございますが、基本的には本当に抑制的にやっていくということを前提にして
考えていきたいと思っております。


3 簡単な解説
 「これぐらいのところは予想して大学運営はやっていただきたい」という文科大臣の
発言は、これまでの文科省、文科大臣の答弁にも矛盾する暴言である。それとともに、
12月22日付け値上げ通知の「事務連絡文書」から始まった一連の「手続き問題」が
文科省のウィーク・ポイントになっている、その腹立たしさが、この発言をもたらした
と考えてよいであろう。
 文科大臣は、「十分時間をかけて聞いてみるというようなことも必要であったかもし
れませんし、また、方針が決まった後にはできるだけ多くの余裕のある時間を持ってお
知らせをしたり、混乱ができるだけ少ないように、もっと何か工夫があるのか、そうい
ったことを考えるべきであったかもしれない、このようなことを考えております。」と
述べているが、「もっと何か工夫」など考えられるのか。次に値上げをしようと思えば
、やはり今回と同様の周知期間しか用意できないのではないか。時期を繰り上げても、
所詮「事務連絡文書」は「事務連絡文書」に過ぎないのではないか。官僚はどうしても
フリーハンドの行政権を維持したいだろうが、「最終的には授業料を決めるのは行政の
裁量だ、それで果たしていいのかどうか」(川内議員)と問いつめられ、しかも実際は
予算審議を経過しなければならないのだから、実は行政の裁量権は維持できていない。
文科省は「法人化」及び予想外の大学人の抵抗によって、難問を抱えてしまったのであ
る。
 このように「もっと何か工夫」のしようが考えられないまま、何とか行政の裁量権を
維持しようとはかれば、後は今回の値上げと同様の強引な正面突破しか方法は残らない
。その袋小路が怒りを産み、「これぐらいのところは予想して大学運営はやっていただ
きたい」いう発言となって爆発したものと思われる。
 文科大臣の怒りは文科省の苛立ちである。ただし、この苛立ちが更なる大学失政をも
たらす可能性に、我々は十分警戒してゆかなければならないだろう。