中田市長、「脳血管センター問題」で記者会見 《記者:では、一応、人事異動としては問題ないはずだということですね。市長:そうです。》 (2005.5.18)

 

05/5/11市長定例記者会見質疑要旨

http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/2005/050511.html

 

 

【抜粋】

 

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記者: 

 今日の午前中に、衛生局の係長さんが、41日に脳血管医療センターから異動してきましたが、非常に適正ではない人事異動だということで不服申し立てをしたと(いうことです)。これは、実際は人事委員会が審議することですが、このような申し立てがあったことについてどう(思われますか)。

 

市長: 

 人事委員会できちんと審査していただく、ということではないでしょうか。当然ですが、組織全体の中で適正配置をしていかなければいけないわけですから、総合的に考えて(人事異動を)行うしかありません。医師に限らず、何か(その人)の得意分野ということだけで、何かができるわけでもありませんし、総合的に、組織の中で適正配置するというのが、まさに人事です。横浜市として、そのような人事を行わなければいけません。もし不都合があるならば、それは人事委員会から、我々にご指摘いただくことになるでしょうが、(今回の人事異動については)そのような人事にはなっていないはずです。

 

記者: 

 では、一応、人事異動としては問題ないはずだということですね。

 

市長: 

 そうです。

 

記者: 

 関連して、今、脳血管医療センターに関して、外部の有識者の方を交えて機能検討会議を行っています。今日の午前中の(衛生局の係長による)会見で、たまたま話が出たのですが、事実上、医局人事なりなんなりで辞める医師が多く、機能検討をしている最中ではあるけれども、実態としてはかなり、急性期、要するに救急の対応が大変になってきているという状況があるようです。欠員が実際どれくらいなのか、定員が何人なのかとか、その辺は私には分からないのですが、機能検討が続いている間に、事実上機能が変わっていってしまっているような受け止め方もできなくもないのかなと思いますが、そのあたりについてはどのように思われますか。

 

市長: 

 そこがまさにこの数ヶ月、我々が悩み続けてきたことで、全く逆なのです。すなわち、今現在、もはや本来の脳血管医療センターの趣旨どおりに(運営)しようと思ってもできない内部状況があり、かつ、医師のきて(希望者)がいない状況になってしまっているわけです。実は、これは今に始まった話ではなく、(ここ)数年の話であると申し上げてもいい状況です。

 医師が来たい、十分に魅力のある病院ではなくなってしまっているのです。そして一方では離職率は高い、という状況で、それを立て直すためにはどうするか、という議論を行っているのです。ところが、また更に中(内部)で言い合いが始まって、意見がまとまらないという現実の状況になってきました。だからこそ、脳血管医療センターについて、今一度、この病院そのものを本当にどうするのか、という議論を冷静にしなければいけないと申し上げているわけです。理想像を高く掲げても、そこに適正に配置する医師のきて(希望者)がいない病院、というのでは、それが一方では成り立たないまま、危なっかしいことを行ってもだめなのです。ですからそこはまさに、脳血管医療センターについて、これから先どうするのかという議論を、きちんと冷静に行わなければいけないという状況になっているということを、(市政記者の)皆さんには、掴んでいただきたいと思います。この数年、医師や看護師の離職率などは、他の病院と(較べて)桁違いに多いのです。

 

記者: 

 そのような状況になってしまっている、ということは、当然、脳血管医療センター内の医師の問題もあるし、管理する側の問題もあると思いますが、それについてはどのように思われますか。

 

市長: 

 ですからここで、病院事業管理者に新たに着任をしてもらい、そして、横浜市の医療全体の中でトータルに考える。そして、病院そのものも手当てをする、ということを同時に進めていくということです。まさに今まで、いろいろと問題が噴出をしてきたように、"なあなあ"の関係ではいけません。衛生局と病院も"なあなあ"、(市立病院同士であっても)病院と病院の間もこれはもうほとんど別病院、そして病院の中における関係も"なあなあ"、ということではだめだ、ということで、病院経営のための、いわば責任者を置いて、それを改めることに、歩みを進めたわけです。

 

記者: 

 もはや、当初設置された時の機能を維持できない状況に、内部状況があると言われましたが、それは、言ってみれば自然の流れでできなくなってきてしまったということと、例えば、搬送される患者の数が減っているのか増えているのか、あるいはできない状況になってしまったからといって、そのまま、方向的にそちらの方向に行こうとしているのか、それとも元の水準に戻すべきなのかなど、そうした部分は(どのようにお考えですか)。

 

市長: 

 いかなる病院にすることが地域性として望ましいのか、横浜という全体の医療の中で望ましいのか、ということを考えるために、現在検討会を行っているわけです。これは経済界も行政も、皆さん(メディア)の世界もそうだと思いますけれど、10年の中で、方向性、周りの環境が変わるという事は頻繁にあるわけです。そのような中で、現在、横浜市の医療体制をどのように構築するのかということを、もう一回きちんと議論してください、ということを私は申し上げているわけです。衛生局にも今まで言ってきましたし、病院経営局の局長にも、言い続けています。このような議論をするには、急いではいけません。もちろん、横浜市に私が就任してからは、急いでいいかげんな議論をしたことは一度もないはずです。全部オープンな場で、きちんと議論をしてきているはずです。(この件に関しては)特に、急いではいけませんし、また様々な論がありますから、その論を出し尽くして、その上で全体として議論を尽くして決めてもらいたい、ということを、繰り返し言っているのです。二度と、目の前で事故が次々と起こってはいけません。そうした意味では、今できることを、今受け入れられる範囲のことを受け入れるしかないのです。現在、議論している最中に、かつての理想的な脳血管医療センターを作りましょうといって、付け焼刃的に医師を入れても、それは出来ませんし、また事故が起こるなどといった変な話にもなってしまいます。ですから、今、きちんと責任を持てる患者さんを受け入れながら、その上で、横浜の医療全体を見渡した議論を、各論いろいろありますから全部出し尽くして行ってほしい、慎重に行ってください、ということを私からは伝えてあります。

 

記者: 

 そうすると、欠員になっている医師のところは、緊急に補充するということはしないのでしょうか。

 

市長: 

 いいえ。医療行為上必要な医師は補充しないといけないと思いますが、元の理想的な脳血管医療センターの、救急(医療)からリハビリまでを全部行う、そのための理想像に向け、とにかく医師を補充し、その理想像を現状で実行してください、と言ってもできないでしょう、という話しです。

 

記者: 

 脳血管医療センターには、各診療科の定員があると思いますが、その定員は、確保するようにする、ということですか。

 

市長: 

 当然、医療行為に必要な定員は確保していかなければいけません。ただ本当に、あのような病院には行きたくない、という反応が出てしまっている病院のひとつなのです。この数週間のことではなく以前から、人の手当すら難しい状況が発生してしまっています。

 

記者: 

 みなと赤十字病院も開院して一ヶ月ちょっとですが、あのようなスタイルで市立の病院を運営するというのも、なかなか例がないと思います。現状の経営状況など、どのような状況なのか、もし把握していたら教えてください。

 

市長: 

 詳しいデータ的な把握はしてはおりません。ただ、順調にスタートしていることだけは報告を聞きましたし、現在、患者さんも非常にいい病院だと言ってくださっている、ということも、聞き及んでいます。ただし、データは今、持ち合わせていません。しかし、あれ(みなと赤十字病院)も一つの、地域医療に対する責任の持ち方ですし、そこでより拡充した医療が行われるようになったわけです。横浜市が直接運営している病院ではありませんが、あれも一つの病院医療のあり方として、大いに参考になる話でもあるでしょう。(この問題についても)3年前に議論を行っている最中には、「病院を売り飛ばすのか」など、数々のことを言われました。しかしあの時も、議論はオープンの場で行って全部の議論を尽くしてくださいと(言っていました)。しかし、今回のほうがより一層慎重に行なってください、というふうに言っています。

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