都知事の「懐刀」窮地…浜渦副知事、進退問題も 「読売新聞」 (2005.5.26)

 

http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/shakai/20050526/20050526i301-yol.html

 

 

2005年05月26日(木)

 

都知事の「懐刀」窮地…浜渦副知事、進退問題も

 東京都の石原慎太郎知事の「懐刀」といわれる浜渦武生・副知事が窮地に立たされている。

 国会議員時代からの秘書で知事が最も信頼を寄せる腹心だが、都議会百条委の偽証問題で、議会側は6月に刑事告発するとともに、辞職勧告決議も行う構えだ。

 ここまで同副知事が追い詰められた背景には、知事の威光を背に絶大な権力を振るう「側近政治」への強い反発があり、最終的には同副知事の進退問題に発展する可能性も高い。

 都庁第1本庁舎6階にある浜渦副知事の執務室。都の局長、部長ら幹部が「お手紙」を手に日参する。

 お手紙とは、各部局が今後進めようとしている施策の要点をA4判用紙にまとめたもの。副知事本人ではなく秘書がお手紙を受け取り、返事も秘書から届く。「○」とあれば了解。「×」だと練り直しだ。

 他に副知事は3人いるが、「まず浜渦さんの了解を取るのが暗黙のルール。後で『おれは聞いてないぞ』と大目玉を食らうから」と都幹部は語る。

 「人事権」も強大だ。筆頭格の財務局長が浜渦副知事と意見対立の末、格下の局長に転じるという異例の人事もあった。幹部をしっ責する際には「わび状」を取るのが常といい、ある局長は「『副知事様、申し訳ありません』で始めて数十枚書いた」と明かす。

 浜渦副知事への権勢集中は、本人だけを責められないという声も庁内にはある。小説の執筆などに忙しい石原知事の登庁は週2、3日程度で、ある幹部は「知事の名代を務めているのは知事本人の意向」と弁護する。また知事の掲げる「官僚主導打破」のため、こわもてで都庁職員と対決し、反発を一身に受けてきたという面もある。

 突然噴き出した「浜渦バッシング」の背景には、7月投票の都議選を前にした、自民・公明対民主のさや当てという構図も見え隠れする。

 浜渦副知事の疑惑は、3月の都議会予算委で、都側が練馬区に建設した福祉専門校について、民主側に依頼して「ヤラセ質問」をさせ、学校法人の認可が「不法」であるかのような答弁を自ら行ったというもの。

 自公が主導権を握った百条委では、民主幹部を証人喚問。これを拒否した幹部を告発する動きもある。自民幹部は「都政で何が起きているか都民に知ってもらうためで、選挙目的ではない」と強調するが、民主幹部は「党利党略だ」と反発している。

 こうした政治的思惑とは別に、知事は13日、「遅まきながらバリアが出来ていたことを感知した」と、側近政治の弊害を認めた。知事周辺では、長年にわたって知事を支えてきた浜渦副知事の進退を含め、収拾策を検討しているという。