「郵政民営化法は『米国による日本改造』プログラムの一環だ」――関岡英之氏(『拒否できない日本』の著者)のインタビュー(『月刊日本』6月号)を読む 森田実の時代を斬る (2005.5.28)

 

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2005年森田実政治日誌[148

 

「郵政民営化法は『米国による日本改造』プログラムの一環だ」――関岡英之氏(『拒否できない日本』の著者)のインタビュー(『月刊日本』6月号)を読む

 

「生きるとは何のことか。生きるとは死にかけているようなものを絶えず自ら突き放してゆくことである」(ニーチェ)

 

 

 日本を生かすには、日本のなかの死にかけているものを絶えず突き放さなければならない。日本の自立を守ることが、日本が生きる道なのだ。

 『月刊日本』主幹の南丘喜八郎氏はかつて「ラジオ日本」の報道部長・キャスターとして大活躍した優秀な放送ジャーナリストだった。そのころ私は毎週1回、1時間番組に出演し、南丘キャスターと対話した。私が今日まで政治評論活動をつづけてくる間、多くの人々に助けられた。南丘氏は、私にとって恩人の一人である。この南丘氏が、10年ほど前から活字ジャーナリズム活動を始め、彼自身の信念にもとづいて『月刊日本』を発刊した。今日も発行をつづけている。大変苦労されているのではないかと愚考している。私もかつて出版社にいたが、活字ジャーナリズムは大変である。とくに最近は若者の活字離れが進行している。しかし、南丘氏はめげない。強い信念の持ち主で、偉大な人物である。私とは基本的な考えに違いはあるが、人間的信頼の絆はこの違いより強い。

 

 『月刊日本』2005年6月号に「郵政民営化は『米国による日本改造』プログラムの一環だ」と題する関岡英之氏のインタビュー記事が掲載された。すぐれた迫力あるインタビューである。そのポイントを紹介する。

 (1)《現在、我が国の様々な分野で構造改革が進められていますが、これらの多くは米国の国益極大化を目的とする、米国政府からの要望に基づいたものです。私はそれを「米国による日本改造」と命名しました。》

 (2)《おそらく最初は日本の官僚も米国の対日経済戦略に気づき、必死に抵抗したものと思われます。しかし経済制裁という脅しに譲歩を重ねているうちに、いつの間にか日本側が妥協するというパターンができてしまった。こうした状況が続くと、官僚の頭の中には米国の内政干渉に応ずることが当然になって、何も疑問をもたないようになったのです。》

 (3)1993年の宮沢喜一首相とクリントン大統領の首脳会談で、日本側が米国に譲歩する形で(年次改革要望書の交換が)合意された。(米国側はこの年次改革要望書に)日本の産業、経済、行政から司法に至るまですべてを網羅し、米国は様々な要求を列挙しています。》

 (4)《司法制度改革は「日本改造」の突破口として位置づけられています。目指すのは自由放任で何でも裁判で白黒を決めるアメリカ型社会です。百戦錬磨の弁護士を雇う金銭的余裕のない人は裁判で争う前に敗北し、社会から疎外されてしまう。目指す社会は「強者のパラダイス」ですが、大多数の日本人にとっては、いたたまれないようなすさんだ世の中です。弱肉強食で貫かれた発想といえるでしょう。》

 (5)《郵政民営化の背後に明らかに米保険業界の要求がある。米国が最初に公式文書で郵政民営化について言及したのは、対日「年次改革要望書1995年版」です。「郵政省のような政府機関が民間保険会社と直接競合する保険業務に携わることを禁止する」といった要求が出されました。》

 (6)《米国の狙いは、まず郵便事業と簡保を切り離して完全民営化することで、全株を市場で売却しろと要求しています。切り離された新簡保会社はたちまち外資の餌食になるのは間違いありません。》

 (7)《米国当局者は、次の日本のターゲットとして「医療・保険制度」とともに「教育」もあげている。教育特区で全教科を英語で教えることを可能にする動きも予想されます。(この動きが広がれば)日本の古典文学や歴史、文化をどう教えるかという問題が生じる懸念もあります。》

 (8)《こうした一連の「米国による日本改造」を拒否するためには、問題の本質をシッカリと把握して議論し、日本の国益を守るために大奮闘している国会議員を、日本国民は支持してゆく必要があると思います。》

 

 以上が、関岡英之さんのインタビュー記事の要旨です。正論です。

 小泉政権自らが、米国政府の「米国の国益の極大化」政策に協力し、米国政府のために働いている。日本国民のことは二の次である。小泉内閣は日本の国益を守るという日本政府の基本的義務を忘れてしまっている。

 こんな政府をマスコミが支持し支えている。日本はおそろしいほどの危機に直面していることを、関岡氏は教えている。

 日本郵政公社には約350兆円の国民の資産が預けられている。これが、民営化されれば、世界のハゲタカが飛びかかってくる。日本国民の資産は食い散らかされる危険にさらされている。郵政民営化を阻止しなければならないとつくづく思う。