石原都政の「暴走」 澤藤統一郎の事務局長日記 (2005.5.31)

 

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石原都政の「暴走」  

「法と民主主義」5月号の概要が、当サイトにアップされた。特集は「検証・石原都政─その暴走の構図」である。巻頭記事となっているのが、渡辺治一橋大学教授のインタビュー。暴走する石原都政の基本構図をみごとに解き明かしている。都政の見方についての教科書である。ご一読いただきたい。

この渡辺インタビューが総論を語り、全体像を示している。その各論となって肉付けをしている各分野の論文も力作揃い。教育・治安・都市政策・福祉・排外主義・障害児政策・差別等々。最後に、「自治体東京都の否定へ向かう石原都政」というタイトルで、都の職員が現場から石原都政の危うさを寄稿している。

その末尾に、「石原のアキレス腱は側近のH」「知事は都庁にあまり姿を見せず、都政はHによって壟断されている」「何が問題なのかさえ明らかでないが、都政の裏で不穏なうごめきが感じられる」「多くの幹部と職員はやる気をなくしている。内部からの瓦解も進行している」とある。Hが浜渦副知事であることは、誰もが知るところ。意外に早く、不穏な動きは顕在化した。瓦解も近いということではないか。

渡辺インタビューが分析する都政は、「おくれた国」に縛られない、「進んだ首都」の新自由主義的、新保守主義的政策の構造である。これが、石原の「差別丸出しの強い日本」思想に適合的だということにある。ところが、石原ー浜渦ラインはもっと低次元・低レベルで躓いているようなのだ。

「何が問題なのかさえ明らかでないが、都政の裏で不穏なうごめきが感じられる」と言われても困惑するばかり。分かるのは、渡辺治さんの解説とは違った意味で「石原都政が暴走」していること。

関心は次の2点。
(1) 浜渦のクビを切れば、石原無傷と言うことはなかろう。おかしな側近政治システムを作り、都政を混乱させた石原の責任はどうなるのか。
(2) 「進退伺い」を出した横山教育長はどうなるのか。「10・23通達」の発令者である横山の後任には、鳩がとまるのか、それとも鷹が棲みつくか。

教育庁は副知事格。裁判には何の影響もないが、これからの教育行政にとっては誰が教育長になるかが重大事である。このミニ宮廷クーデター、教育長人事に吉と出か、凶と出るか。

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