医師不足で当直医減 横浜市立脳血管医療センター 「東京新聞」 (2005.6.2)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20050602/lcl_____kgw_____002.shtml 

 

 

医師不足で当直医減

横浜市立脳血管医療センター

 脳神経外科医三人が退職し、緊急外科手術が困難になっている横浜市立脳血管医療センター(同市磯子区)が、全体の医師不足から当直体制にも影響が出ていることが一日、分かった。本来の当直は医師三人体制だが、今年四月からは平日二人体制に。勤務医の負担は大きく、「本来の医師数確保を」とセンター長や市病院経営局に求めているが、めどは立っていない。中田宏市長は同日、患者受け入れ抑制など医療サービス縮小に言及、現実に治療を必要とする市民に影響が出る恐れが高まっている。

 センターによると、当直は本来、救急担当、集中治療室(ICU)担当、入院患者の病棟担当の医師三人体制だが、昨年四月ごろから月、水曜日が二人体制に。それでも今年三月までは医師定数三十二人に対し二十九人の医師を確保できていたが、四月に一気に二十五人にまで減ったため、平日すべてを二人体制にせざるを得なくなった。五月末には脳神経外科医二人も退職し、医師数は二十三人とより厳しい状況に。

 午後九時までは日勤の医師一人が居残ることにしているが、九時以降は二人が病棟を見ながら救急も対応するなど、三人分の業務をこなさなければならない状態となっている。

 福島恒男センター長や市病院経営局は、「他の病院や大学医学部に協力を求め、医師確保の努力を続ける」としているが、めどは立っていない。

 医師を確保できない理由は臨床研修制度導入の影響など複数挙げられているが、将来のセンターの医療機能について急性期か慢性期か議論が錯綜(さくそう)し方向性が見いだせずにいることが最も大きいとの指摘が多く、福島センター長も認めている。

 一方、同日の定例会見で質問された中田市長は医療事故が起きかねないとし、「医師を確保するか、現状でできるサービスを適正な規模に調整する」と三百床体制の入院患者の受け入れを縮小する可能性を指摘した。 (金杉 貴雄)