一部のハネ上がり政治家とマスメディアによる反中国キャンペーンの危険な暴走と愚劣 森田実政治日誌 (2005.6.14)

 

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2005年森田実政治日誌[162]

一部のハネ上がり政治家とマスメディアによる反中国キャンペーンの危険な暴走と愚劣

「怒りは短き狂気なり」(ホラティウス=古代ローマの詩人)


 マスコミの異常を好む異常な風潮
 マスコミが悪い方向へ悪い方向へと動いているように見える。心配である。軍部の手先になって偏狭なナショナリズムを煽った戦前のマスコミのようにならないことを祈るのみである。反中国キャンペーンを始める新聞、雑誌が目立つ。とくに憂慮すべきことは週刊誌の多くが、日中友好派の政治家(みんな真面目な政治家である)への悪意に満ちたバッシングを展開し始めていることだ。真面目で誠実な日中友好派の政治家を葬り去るために、個々の政治家の身辺を調べ始めたとの噂が流布されている。
 日中友好派政治家に対するバッシングは異常である。最近、一般の人(個人)から質問やアンケートが送られてくるが、よく見ると思想調査に近いものがかなりある。反中国思想運動が草の根レベルで始まっているのだ。彼らが指導者と仰いでいるのが、靖国参拝をムキになり、感情的になって繰り返している小泉首相と、発言がますますエスカレートしている町村外相と安倍晋三幹事長代理の三氏で、過激な反中国キャンペーンのトップリーダーである。三氏は「もはや日本は中国と話し合う必要がない」と言わんばかりの態度である。日本政府は国連安保理常任理事国に入るにあたって中国と対立し、力ずくで勝負して勝とうという姿勢を貫いている。日米同盟がしっかりしていれば、中国は力ずくで押さえられるという見方をとっている。強気だというより、強気すぎる。冷静さを失っている。


 反中国感情の高揚の危険性
 最近、私のところへ反中国の立場に立った人からの諸々のアプローチがある。水面下で反中極熱が高まっていることがよくわかる。戦前と似た反中国ナショナリズムが拡がっている。
 情報通の友人のA氏から電話がかかってきた。A氏は語る。
 「日本における反中国運動の高揚を期待している国際的な勢力(外国の情報機関を含む)が仕掛けている。日本国民全体を反中国運動に起ち上がらせて、日本と中国とを対立させ紛争状態に陥れば、中国を押さえることが可能だ、との判断から、日本政府とマスコミをけしかけている」
 あくまでA氏の見方であるが、ありえないことではないとも思う。もしも、海外の仕掛人からおだてられて、日本全体が反中国に固まるとすると、日本と中国は、互いにつぶし合う関係になる。和平は不可能になる。小泉首相とマスコミは、日中対立時代の到来を望んでいるように見える。


 外交において大切なのは調和・協調・平和そして独立
 外交の目的は、国際間の感情的な対立・抗争・戦争を回避し、平和を守り友好を増進させることにある。このために相互信頼を高める不断の努力が必要である。ところが、小泉首相・町村外相・安倍幹事長代理の「反中国三羽烏」(友人の話)には協調しようとの姿勢が見られない。小泉首相と町村外相は外交の何たるかが、わかっていないようである。外交にとって最も大切なことは平和を守る努力である。小泉首相と町村外相のかたくなな姿勢を一部のマスコミが応援し、煽り立てている。平和と協調が外交・政治の基本であることを忘れてはならない。そして、大事なのは国の独立だ。アジア諸国から米国の従属国と見られている現状では、日本は信用されないのだ。