靖国神社と右翼の連携 澤藤統一郎の事務局長日記 (2005.6.14)

 

http://www.jdla.jp/jim-diary/jimu-d.html 

 

 

靖国神社と右翼の連携  

チワス・アリ(高金素梅)さんは、台湾先住民族・タイヤル族の出身者。台湾で、初めての女性原住民族立法院委員(国会議員)であって、その民族的な信念から、大阪台湾靖国訴訟原告団長を努めている。
「1941年に太平洋戦争が勃発したのち、日本軍は、台湾原住民を強制的に徴兵して「高砂義勇隊」を作り、2万あまりの人をはるばる南洋の作戦に参加させました。「高砂義勇隊」は殆どの人が第一線に派遣されたために、死傷者も非常に多く、戦後の生還者は3分の1に過ぎませんでした。しかも、その大部分が戦傷者でした。当時の年代で計算すれば、日本の軍隊は1910年から1915年までの間に台湾原住民を大量に虐殺し、その生き残った子や孫たちがちょうど青壮年に育ったころ、「高砂義勇隊」として強制的に徴兵し、南洋に送って、弾丸の灰焼と化さしめたのです。当時の軍国主義者が台湾の原住民族に対して犯した罪は、いわば、「二代滅族」の許しがたい重罪です」(チワス・アリ「反靖国」意見陳述より抜粋)
その多くの戦死者が、その意に反して靖国神社に祀られている。「先住民は当時、人間としての扱いを受けなかった。せめて靖国神社にある祖先の霊を取り戻したい」というのが、チワスさんらの願いなのだ。
その訴訟の控訴審第3回口頭弁論期日が、6月17日(金)10時〜 大阪高裁202号法廷で開かれる。
参照 小泉首相靖国参拝違憲アジア訴訟団 大阪訴訟ホームページ 
http://www005.upp.so-net.ne.jp/noyasukuni/yasukuni/chiwasuari.htm

チワスさんら一行60人は出廷のために来日し、昨日は東京に宿泊した。
今朝、一行はバスで靖国神社に向かった。目的は、神社の社頭で、合祀された台湾戦没者の霊を持ち帰る伝統儀式を行おうとしてのこと。

実は、事前折衝が行われている。台湾外交部中日代表と、靖国神社側が話し合い、第一の鳥居の前ならば、儀式を行うことを黙認する、とされていた。右翼の動きに備えて、警察への「警護」の依頼もしていた。警察は、防備戦を張って右翼から一行を護衛する手筈だった。

しかし現実には、騒ぎ立てる右翼の妨害で、一行は靖国神社の境内地に入ることすらできなかった。靖国神社の近くまでバスで乗り付けたが、警察側の要請を受けて、神社に立ち入らずに引き揚げざるを得なかった。警視庁は、台湾先住民が靖国神社を訪れた場合、右翼との衝突は避けられないと判断し、神社側と協議した上で、訪れないよう要請することを決めたとしている。警察は、右翼の横暴を押さえるのではなく、台湾原住民側に譲歩を迫ったのだ。

靖国神社と右翼と警察。バスに閉じこめられた60人には、この三者はまったく同じものに見えたはずである。民族的抑圧者の本質に変わりはない。チワス・アリさんらの、怒りと怨念はさらに募ることになるだろう。