犯行前の謀議だけで訴追 「共謀罪」24日審議入り 「asahi.com」 (2004.6.24)

 

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犯行前の謀議だけで訴追 「共謀罪」24日審議入り

2005年06月24日08時05分

 国境を越えた組織犯罪やインターネットを利用した犯罪に対応するための刑法などの改正案(共謀罪・サイバー犯罪法案)が、24日の衆院法務委で審議入りすることが23日、決まった。実際に行動を起こさなくても、犯罪行為を話し合っただけで罰せられる「共謀罪」の導入が目玉だが、「捜査当局が謀議とみなしさえすれば訴追できる」などの問題性が指摘されている。政府・与党は今国会での成立をめざすが、民主党などは大幅に修正しない限り賛成できないと対決姿勢を強めている。

 法案は「越境的組織犯罪防止条約」と「サイバー犯罪条約」の締結に伴い、刑法や刑事訴訟法、組織的犯罪処罰法などを改正する内容。

 政府は、共謀罪について03年の国会に法案を提出したが廃案になった。04年、共謀罪とサイバー犯罪対策を併せて提案したが、内容に疑問が多いとして野党の反発が強かったうえ、今国会ではほかに重要法案が目白押しだったこともあり、審議入りできなかった。

 今回の法案の柱の一つは「団体の活動として、組織により行われる」犯罪について共謀罪を新設すること。もう一つはサイバー犯罪対策として、パソコン1台の差し押さえ令状により、LANのような回線でアクセスできるすべてのパソコンのデータなどの内容を差し押さえられる制度や、令状なしにプロバイダーなど通信事業者に対してメールなどの通信履歴(ログ)の保全を要請できる制度を創設することだ。

 「団体」の定義などがあいまいなため、野党や日本弁護士連合会は共謀罪について「このままでは市民団体や労働組合なども処罰の対象になりかねない」と懸念。(1)組織的な犯罪集団にしか適用しないことを明示する(2)具体的な準備行為をしなければ犯罪にならないことにする(3)条約のもともとの趣旨通り「国境を越えた(越境的)犯罪」に限定する――などの条件を満たすことが最低限必要との意見が支配的だ。

 サイバー犯罪対策についても「通信の秘密を侵害するおそれがある」「プロバイダーなどに大き過ぎる負担を強いることになる」との指摘が相次いでいる。