「意見広告の会」ニュース287 「“日の丸・君が代”強制」問題・「”つくる会”教科書採択」問題 (2005.6.28)

 

 

「意見広告の会」ニュース287

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。

** 目次 **
1 20054月の入学式における不起立者に対する処分に抗議する研究者声明
      2005622日  署名者122
2 停職「出勤」報告5
      根津公子氏
3 アサヒ・コム「君が代」不起立で停職の中学教諭、正門前で連日の抗議
      200506211122
4 「つくる会」教科書採択を阻止する「意見広告」協力のお願い
     「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワークなど
5 『学校に自由の風を!』3刷り決定
           
学校に自由の風を!ネットワーク


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1 20054月の入学式における不起立者に対する処分に抗議する研究者声明

 東京都教育委員会は、2004年中の248名、20053月卒業式に関わる52名に加えて、20
05
527日、2005年の入学式において「国歌斉唱」の際起立しなかった9名の教員と、
「君が代」の伴奏を拒否した1名の教員を処分しました。その中でも、特に、東京都立
川市立立川第二中学校教諭根津公子さんに対しては、停職一ヶ月という非常に重い処分
が加えられました。わたしたちは、「国歌斉唱」時に着席したことを理由に「停職」と
いう非常に厳しい処分が行われたことについて、正直驚きを禁じ得ません。
 今回の処分は、教員が起立をしないならば、最終的には「免職」にまで至るという東
京都教育委員会の意志を、明確に示しました。しかし、そもそも、「国歌斉唱」の際、
教員に対して職務命令を出して起立させることは、憲法および教育基本法に照らして、
違法としか考えられません。
したがって、違法な職務命令に法的義務は発生せず、それが繰り返されたからといって
、「停職」や「免職」に至るはずはありません。
 自由で民主的な社会において、教育という営みは、その受け手である子どもが、自律
的に思考する力を獲得するために行われるべきものです。この原理は、憲法13条の個人
の尊重、19条の思想良心の自由、26条の教育を受ける権利などによって、子どもに保障
されています。教育の目的として「人格の完成」を掲げ、教育に対する「不当な支配」
を禁じる教育基本法は、日本国憲法が想定する自由で民主的な社会における教育のあり
方を具体化したものです。この原理は、旭川学力テスト最高裁判決において、国は「子
どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入」を行うこと
ができないと判示された通りです。
 以上のような憲法と教育基本法の理念に照らすならば、学習指導要領に基づいて、「
国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導」することには限界があるはずです。学習指導
要領は文部科学省の「告示」であり、旭川事件において最高裁が示したように「大綱的
基準」にすぎません。個々の教員に対して起立・斉唱の職務命令を発して、その違反に
対して戒告・減給・停職・免職という処分を行うことは、教員を利用することによって
、子どもたちを特定の価値に従わせることを目的とするものであり、日本国憲法および
教育基本法に違反し、教育委員会が有する権限の範囲を著しく逸脱することは明らかで
す。
 東京都教育委員会は、今回の処分によって、教員と子どもたちに対して、「日の丸・
君が代」に恭順を示さない者は許さないという、強烈なメッセージを発しました。この
処分は、子どもたちを「指導」するために行われているのであり、すでに子どもたちへ
の直接の強制は作動しているものと考えられます。
 処分を受けた10人の教員は、このような状況を未然に防ぐために、職をかけて抵抗を
試みたものと考えられます。わたしたちは、このような教員の抵抗は、「信用失墜行為
」どころか、東京都教育委員会の違法行為を社会に訴え、それを是正するために行われ
た正当な行為であると高く評価します。
 わたしたち研究者は、「不起立」を貫いた10人の教員の勇気に敬意を表すとともに、
彼らとともに、法を回復するために力を尽くすことが、わたしたちに課された社会的責
任であると自覚します。それゆえ、彼らに対して「停職」を含む厳しい処分を行うこと
によって、日本国憲法と教育基本法に違反し、あるべき教育から逸脱を続ける東京都教
育委員会の行為に強く抗議し、10.23通達に基づくすべての処分を撤回することを要求
します。
2005
622

署名者122

呼びかけ人・賛同人:(2005531日まで、順不同)

成嶋隆(新潟大学)、堀尾輝久(東京大学名誉教授)、中田康彦(一橋大学)、
今野健一(山形大学)、舟木正文(大東文化大学)、中川明(弁護士・明治学院
大学)、姉崎洋一(北海道大学)、青木宏治(高知大学)、林量俶(埼玉大学)、
永野恒雄(全国教育法研究会)、市川須美子(獨協大学)、三上昭彦(明治大学
)、山口和孝(埼玉大学)、八木英二(滋賀県立大学)、細井克彦(大阪市立大
学)、中嶋哲彦(名古屋大学)、竹内俊子(広島修道大学)、土屋基規(神戸大
学)、伊藤進(明治大学)、丹羽徹(大阪経済法科大学)、荒牧重人(山梨学院
大学)、戸波江二(早稲田大学)、植野妙実子(中央大学)、片山等(国士舘大
学)、西原博史(早稲田大学)、山崎真秀(元静岡大学)、隅野隆徳(専修大学
名誉教授)、清水雅彦(明治大学)、江熊隆徳(全国教育法研究会)、足立英郎
(大阪電気通信大学)、池田正樹(静岡県)、久保富三夫(立命館大学)、川口
洋誉(名古屋大学院生)、谷口聡(名古屋大学院生)、杉山和恵(名古屋学泉大学)、
山本由美(工学院大学非常勤)、吉岡直子(西南学院大学)、平岡亮(中央学院
大学)、西脇秀晴(神奈川大学院生)、小林正直(神奈川大学院生)、木村陽吉
(全国教育法研究会)、田口和人(武蔵野美術大学)、水谷厚子(愛知教育法研
究会)、山崎武央(新潟五泉高校)、三島敏男(民主教育研究所)、竹田友三、
金井徹


2 停職「出勤」報告5
     根津公子氏
4週間が過ぎました。残すところあと1日です。
 停職「出勤」のことと西原博史さん(早稲田大)たちが出してくださった「研究者抗
議声明」について朝日朝刊が22日(水)23日(木)に報じました。東京多摩版の2
2日の記事は、asahikom掲載のものの半分もありませんでした。新聞では下線部がカッ
トされていました。
 今週は、新聞をご覧になって二中の校門前に訪ねていらした方が3人。お一人は、戦
争で友人は皆殺されたというご年配の方。「あの時と今はまったく同じです。じっとし
ていられなくて、何ができるわけでもないけれど、来ました」とおっしゃる。また、ご
近所の匿名の方は、「通るたびに涙が出ます」と書かれたメモにはさんでカンパをくだ
さった。
今週は、「今までも声をかけようかと思っていたんだけれど」と前置きして声をかけて
くださるご近所の方が何人もいらっしゃいました。職場の休憩時間に自転車を走らせて
お茶や氷を持ってきてくださる方。メールや口コミでいらした方、早く行かないと終わ
ってしまうからと駆けつけてくださった方。木、金曜日は一人になることがありません
でした。
 また、メールやお手紙等、たくさんの心ある方からいただきました。多くの人との出
会いがあり、人と人とがつながっていることを実感し、心があったかくなります。ほか
の人が緊急事態に置かれたとき、果たして私は何かできるだろうか・・・?と思わずに
はいられません。人と人がつながって豊かに暮らすことを感じる毎日でした。
 生徒たちからは常に励まされ続けました。何にも替えがたいことです。金曜日の帰り
には、「あと1日だね!」「来週は来るでしょ?!」「授業待っているよ」と大勢が言
ってくれました。ありがたいことです。
 私は今、扶養家族がいるわけではなく、自分の食べることだけを考えればいい立場に
あることも手伝って、理不尽な命令にはこれからも従わないと決めました。教員だから
公務員だからなおのこと、国民主権と平和主義を謳った日本国憲法や教育の条理を大事
にした教育基本法に違反する、理のない職務命令には従えません。そこで選択した「不
起立」であり、停職「出勤」でした。できることなら、学校内に入れない私の姿から生
徒たちが何かを感じ、考えるきっかけにしてくれたらいいなと思っていました。そう考
えての行動、ただそれだけでしたが、この4週間に私が受けたプレゼントの大きなこと
と言ったら・・・。みなさん、ありがとうございました。
 最終日の月曜日はプラカードに道行く方、ご近所の方へのお礼を書いて、座ります。
28日からの授業を考えながら。     (6月25日記す)


3 アサヒ・コム「君が代」不起立で停職の中学教諭、正門前で連日の抗議
      200506211122
   <>内は新聞では削除
 今春の入学式で「君が代」斉唱時に起立しなかったとして、5月末に停職1カ月の処
分を受けた東京都立川市の中学教諭が連日、朝から夕方まで学校の正門前で、処分の不
当性を訴えている。<約120人の研究者も21日、「処分は憲法などに違反する」と
する抗議声明を発表した。>
 抗議しているのは、立川市立立川二中の家庭科教諭、根津公子さん(54)。都教委
が教職員に君が代斉唱時の起立を義務づけた03年秋以降、停職処分を受けた初めての
ケース。根津さんを含めて公立学校教職員10人が懲戒処分を受けた。
 <今回の停職処分後、根津さんは5月31日からほぼ毎日、「私が起立しなかったこ
とで迷惑を受けた人はいますか?」「私はまちがっていると思うことには、命令でもし
たがえないのです」と書いたプラカードを置いて、朝の通学時から夕方の下校時まで正
門前で座り込みを続けている。
 こうした根津さんの行動への反応も様々だ。「子どもがおびえている」という親から
の批判的な反応がある一方、下校時には次々に生徒が駆け寄り、「先生、頑張って」「
うちのおやじも応援しているよ」と励ます姿があった。
 根津さんは話しかけてきた生徒たちに「時代によって常識は変わる。あと何十年かし
たら、この処分もおかしいということになっているかもしれないわよ」と話す。
 <根津さんらの>処分に対し、堀尾輝久・東大名誉教授(教育学)や西原博史・早稲
田大教授(憲法学)ら研究者122人が抗議声明を発表。「個々の職員に起立・斉唱す
るよう職務命令を発し、その違反を理由に処分することは憲法と教育基本法に違反する
」とする声明を発表。22日にも都教委を訪ね、手渡すという。


4 「つくる会」教科書採択を阻止する「意見広告」協力のお願い
     「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワークなど
*この「意見広告」の掲載は朝刊・首都圏版のようです。詳しくは問い合わせ中。

「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワークからの再度のお願いです。
以前、この意見広告のお願いはお送りしましたが、賛同金は現在のところ300〜40
0円という状況で、当初計画していた1面全面広告は難しく、反面の意見広告というこ
とになるということです。
どうか、ぜひご協力お願いします。
変更された要綱をお送りします。

自由の風ネットワークも賛同します!
杉並の教育を考えるみんなの会も賛同します!
どうか、各地市民団体・各研究会・組合の団体、個人の賛同・ご協力をお願いします。

「自由の風」HPにも要綱をUPしてもらいます。



〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
意見広告ご協力のお願い
『つくる会』教科書の採択を阻止するために
                             
 ついにまた「つくる会」教科書が採択に付される時がやってきました。前回は圧倒的
な市民の働きかけによって0.039%という採択率に押さえ込むことができましたが、その
後東京都教育委員会が中高一貫校に採択を決めるなど甘く見るわけにはいかない状況も
生まれています。
 その教科書自体も他社と同じ大判にし、マンガのキャラクターを入れるなど、教科書
として受け入れやすそうにしようとしている様子も見えて心配です。しかし「戦争ので
きる国」の「日本人」づくりという本質は変わってはいないのです。しかも今回は検定
規則実施細目に違反して申請本を教員や教育委員会関係者に流出させ、3回にわたって
文部科学省から指導を受けるという「ルール違反」までやっています。本来なら文科省
が検定を停止して教科書として認めない措置をとるべきだったにもかかわらず、不当に
も合格させてしまいました。そのような教科書を子どもたちに手渡すことはなんとして
も阻止しなければなりません。
 そのためには前回にまさる強力、広範な働きかけで世論を盛り上げてこの実態を知ら
せ、採択に関わる人たちに「この教科書は選べない」と判断していただくことが必要で
す。下記のように意見広告へのご協力を心から訴えます。



目標金額 600万円
7月9日(土)読売新聞 7段×全幅で掲載予定。
掲載後も引き続き賛同金を受け付けます。

賛同金   個人1口 1000円  
                       
(できれば 2口以上)
グループ・団体 1口 3000円  
                       
(できれば 2口以上)
送り先  郵便振替口座
            
加入者名 教科書「意見広告」ネット
           
口座番号  00110−8−28666

連絡先  〒102-0072 
           
東京都千代田区飯田橋2--1 
          
小宮山ビル201
            Tel
 03-3265-7606   fax 03-3239-8590
      s.to-my@s2.dion.ne.jp 

期限(第一次) 6月25日
       (
第二次)7月15日

紙面の大きさが7段(半分)のため、賛同者名を一人ひとり新聞に掲載することはで

ません。
しかし、賛同金をいただいたみなさんへ後日、掲載紙コピーと賛同者一覧を郵送させて

ただきま
す。ご了解ください。
     
通信欄には御名前とふりがな、新聞への名前公表の可否を必ずご記入ください。
デザインや紙面の都合で名前を掲載しない場合もありますので、ご了承ください。
(
上記に申し上げました通り、紙面は都合によりお名前は掲載できなくなりましたが念

ため書式はそのままにしておきます。)

呼びかけ団体  
「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク         
教育と自治・埼玉ネットワーク
子どもと教科書習志野・八千代ネット21
子どもと教科書千葉ネット21  
子どもと教科書東葛ネット
鎌倉・子どもと教科書ネット21
教科書採択制度の民主化を求める神奈川の会   高嶋教科書訴訟を支援する会   
 

「つくる会」教科書採択を阻止する「意見広告」賛同金申込書
お名前  ふ り が な

                    様
 ( 氏名公表   可   不可  )
ご住所 〒

    Tel.
賛同金  (          )口         円

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
私も賛同します

石坂 啓  漫画家
川田 龍平 人権アクティビストの会
竹下 景子 女優 
辻井 喬  作家 
 「つくる会」の教科書は、信じられないような偏見に基づく作為に満ちています。子
どもたちを自分たちの偏見で塗り固めようとする、子どもの自由と人権を奪う教科書で
す。
敗戦時に集団自決をしたような子どもたちを作ってはならないと思います。(辻井喬)


5 『学校に自由の風を!』3刷り決定
           
学校に自由の風を!ネットワーク

岩波書店から次の連絡が入りました。

「お待たせしました、『学校に自由の風を!』3刷りが決まりました。7月上旬の出来
予定で、2000部つくります。これも皆様が各所でお薦めいただいている賜物です。
でもまだまだ行きたいですね。」

 その後連絡を取ったら、「こうなったら20000はいきたいですね」と荒い鼻息。
20000までは後、5000ですよね。そうはいくかしら・・・。
初版10000冊、2刷り3000冊、3刷り2000冊です。なお、3刷り分からは
、「10,23通達」を掲載します。資料としてもつかえると思います。
都教委からの理不尽で、野蛮な暴風が吹いています。それをとめるにはまだ小さな風で
すが、確実に吹き続けています。

 さらに、風をおこすために!
岩波ブックレット『学校に自由の風を!』、
岩波ブックレット『音楽は心で奏でたい』、
かもがわブックレット『わたしの「不服従」東京都の命令に抗して』
 を広めて、共感する人を増やしていきましょう。みなさま、どうぞ、よろしくお願い
します。

 なお、岩波ブックレット『学校に自由の風を!』は、20冊以上の場合、自由の風の
このメールに送り先、お名前、いつまでに何冊かをお知らせ頂けましたら、2割引、送
料無料でおおくりします。代金は同封される振り込み用紙でお支払い下さい。どうぞ、
ご利用下さい。他の2冊の販売についての連絡は送信しますので、担当の方、お知らせ
下さい。

              学校に自由の風を!ネットワーク