服務事故再発防止研修命令に執行停止申立 澤藤統一郎の事務局長日記 (2005.7.13)

 

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服務事故再発防止研修命令に執行停止申立  

昨年に引き続き今年も、都教委は「日の丸・君が代」強制に抵抗した教員を懲戒処分としただけでなく、被処分者全員を対象に服務事故再発防止命令を発している。戒告処分を受けたものには「集合研修」だけ。減給処分以上の者には「専門研修」が加わる。

服務事故再発防止研修とは、セクハラや交通事故などの「非行」あった者に対して、反省を促し、事故の再発を予防しようという制度。しかし、君が代不起立で処分を受けた教員のほとんどが、処分を不当として法的な手続きで争っている。この人たちに、何をどう反省しようというのか。

歴史観、教育観、政治信条から君が代強制には従えないという人に対しては、転向を迫るに等しい。信仰上の理由から、君が代に敬意を表することはできないという人には改宗を迫るものではないか。本案訴訟を提起するとともに、執行停止を申し立てた。予定された研修の日程は7月21日である。

ここまでは昨年と同様。昨年と異なることがいくつかある。
まず、新行政訴訟法が今年の4月1日から施行となった。執行停止の要件が緩和されている。執行停止の要件緩和は、行政訴訟制度の活用の増大を趣旨とするもの。まさしく、本件のごとき事案のために法改正が行われたと解される。

昨年の執行停止は、「思想良心の自由に抵触する、内心に踏み込んだ研修が行われれば違憲違法の可能性を払拭し得ないが、まだどのような研修が行われるか、具体的には明らかではない」として却下された。この理由に裁判官の良心を感じるものではあるが、「現実に思想良心を踏みにじられるまで争えない」ということでは、執行停止制度の趣旨に悖るものと言わざるを得ない。
今年は、去年と違って、昨年の研修の実態を主張できる。昨年、現実にこんな不当な研修が行われた。今年も繰り返される。これを前提に差し止めを、と申し立てている。

さらに、昨年に比較して減給や停職の被処分者が大幅に増えた。不当性の高い専門研修命令の対象者が増えているということだ。

訴訟は、民事11部、19部、36部の労働専門部3か部に係属し、執行停止もこの3か部に申立となった。昨日から本日にかけて、申立人代理人の裁判官面会が行われた。

昨年は、研修強行抗議の行動と執行停止申立が、「日の丸・君が代」強制反対運動全体の雰囲気を大きく昂揚させる実績を作った。本年も、ぜひそうしたい。今週中には、よい決定があるだろうと心待ちしている。