「事務局長日記」本日で終了 ご愛読を感謝いたします 澤藤統一郎の事務局長日記 (2005.7.17)

 

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「事務局長日記」本日で終了 ご愛読を感謝いたします 

本日、日本民主法律家協会の第44回定時総会。そして、「法と民主主義」400号の祝賀会。並びに、第一回の法民賞・授賞式。にぎやかに、すべてのスケジュールが終わった。

総会で強調されたことは、いよいよ改憲阻止運動の正念場であるということ。戦後60年二世代の時が移り、戦争の惨禍の記憶が必ずしも国民に共有されなくなりつつある中で、改憲スケジュールが具体化しつつあることへの危機感。運動の幅を拡げ、多数派としての改憲阻止運動の必要性。

憲法は危機にある。そのとおりではあるが、けっして一気呵成に改憲が実現するという状況にはない。目を瞠るべき戦後民主主義の底力、平和憲法を護れという大きな運動が起きつつある。その運動の成果として改憲を阻止することは、日本の民衆が自らの力で自らの憲法を選び取る初めての機会となる。そのような国民運動の一翼としての法律家運動を起こそう。そのような決意が語られた。

第一回の法民賞は、渡辺治さん(一橋大学)に贈られた。「卓抜した理論的成果をもって、運動の指針となった」との評価である。「法民」掲載の渡辺さんのテーマは、憲法改正問題、司法改革論、それに石原都政観の三点に及ぶ。いずれも、定番となり古典にすらなりつつある。

渡辺さんの受賞講演は、「自分も東大社研の助手であった時代に、法民の編集に携わった。生きた法律に触れたという充実感があって貴重な経験であった」とはじまった。改憲問題は四半世紀取り組んできたテーマとなった。改憲阻止のためには、保守まで含めたもっとも幅の広い明文改憲阻止の一点での統一した運動を作らねばならない。そのためには社会保障問題や医療、経済問題、あるいは教育や「日の丸・君が代」強制など、各論的な問題に取り組まねばならない。それらの個別課題の積み重ねの究極に憲法改正問題がある。また、改憲阻止運動は、改憲草案が提出されたら闘いが始まるという性格のものではない。日常の個別課題への取り組みの過程が決定的に重要なのだ‥。

さらに、「弁護士報酬の敗訴者負担を許さない全国連絡会議」と「イラク拘束者解放弁護団」の2団体に、その成果を讃えて特別賞が授与された。いずれも、その努力、その成果に、惜しみない拍手が送られた。

本日の総会で、新事務局長が選任された。弁護士の海部幸造さんである。改憲問題の正念場に、エースが登場する。私はベンチに下がることになる。

私は、7年間事務局長の任にあった。「無期刑」あるいは「不定期刑」との冗談が出るほどの事態だった。この間得意ではない任務に四苦八苦だったが、大過なく任務を全うした。新事務局長には、2年を限っての任務との執行部合意がある。理事長も、事務局長も、きちんと交代できる組織でなくてはならない。

この間、「事務局長日記」を書き続けてきた。800日を超える連続更新であった。2003年の4月22日から今日まで、一日の休載もなくよく書き続けたものだと、われながら思う。

当然のことながら、事務局長の任務として書きつづってきたこのコラムは本日をもって終了ということになる。こんな面倒な「日記」に付き合っていただいた読者の皆様に、心からの感謝を申し上げたい。

いずれ、新執行部の了解をいただいて、日民協サイトの一隅に装いを新たにしたコラムを書かせていただきたいと思う。「澤藤統一郎の憲法日記」ではどうだろうか。そのとき、また拙文をお読みいただければ、これに過ぎる喜びはない。

憲法擁護運動の昂揚を祈念しつつ擱筆する。