「意見広告の会」ニュース293 (2005.7.28) (1)【韓国市民による意見広告】 ともに東アジアの平和の担い手へ 扶桑社版歴史教科書の採択を憂う韓国市民の思い 平和を願う日本の友へ (2)【『朝日新聞』掲載記事「NHK番組改変問題 報告」(7月25日付)に関する私たちの見解】 NHK受信料支払い停止運動の会 ほか

 

 

「意見広告の会」ニュース293

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。

** 目次 **
1 韓国市民による意見広告
     7月22日(金)読売新聞 全国版 朝刊 国際面 7段
2 本日、また今後の意見広告
         
掲載予定日等一覧
3 7.25朝日新聞記事に関する私たちの見解公表
     NHK受信料支払い停止運動の会
4 『朝日新聞』掲載記事「NHK番組改変問題 報告」(7月25日付)
      NHK受信料支払い停止運動の会
        NHK番組改ざんを考える市民の会(福岡)
      報道の自由を考える飯伊の会

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1 韓国市民による意見広告
     7月22日(金)読売新聞 全国版 朝刊 国際面 7段

ともに東アジアの平和の担い手へ

扶桑社版歴史教科書の採択を憂う韓国市民の思い

平和を願う日本の友へ

この文は皆さんと真の友人になりたいと願う韓国市民からの希望と友情の手紙です。

 韓国と日本は数千年にわたって近しい隣人として過ごしてきました。両国は20世紀
初めに支配と被支配の不幸な歴史も経験しましたが、いま私たちの前には新しい日韓関
係の可能性が芽生えています。1日に1万人以上が両国を行き来するほど、私たちの距
離は狭まりました。日本の歌を口ずさむ韓国の若者や、「韓流」ブームの主役となった
日本の女性たち誰もが、お互いを身近な存在として感じるようになりました。

 ですが、韓国の私たちは時に悲しい思いにかられることもあります。韓国の人々が忘
れたくても忘れられない歴史の痛みに、再び傷を与える出来事のためです。歴史を歪め
る日本の政治家の発言に、つらい体験をした私たちの両親や祖父母は心を痛めます。過
去の侵略戦争や植民地支配を正当化する歴史教科書の登場は、子どもたちに不幸な歴史
を引き継がせてしまうのではないかという恐れを抱かせます。
 私たちは、過去にとらわれるためではなく、和解と友情、平和な未来をひらくために
、歴史を知ることが大切だと信じています。「知らない」ことが、時に人の心を深く傷
つけてしまう場合もあるからです。

 日本全国で教科書採択が行われている今、「新しい歴史教科書をつくる会」による扶
桑社の歴史教科書は、韓国の人々の心に暗い影を落としています。扶桑社の歴史教科書
は、アジア諸国を共存のパートナーと見なさず、過去の侵略を正当化したり、戦争を賛
美しているためです。韓国の私たちは、扶桑社の歴史教科書によって、日本の民主主義
が後退し、韓日の友情と理解、アジアの平和が損なわれることを憂いています。
 このような教科書が、日本の教育現場で使われることになってしまったら・・・ 韓
国の子どもたちのパートナーである日本の子どもたちがどんな大人に育つのか、日本が
危ない国としてアジアを再び脅かしたりはしないか、韓国と日本が真の和解を果たした
友として、ともに平和を創り上げることができるだろうか・・・。そういった心配から
、日本の行方を不安の中で見守っているのです。

 平和を愛する日本の皆さん!
 私たちは4年前の教科書採択時、皆さんが「扶桑社のあぶない教科書NO!」を各地
で叫び、戦争ではなく平和への道を選択されたことを鮮明に覚えています。平和を願う
市民の小さな行動が日本全域に広がり、世の中を動かす力へと変わっていく様子を観る
ことができました。
 2005年のこの夏、皆さんはどのような選択をなさいますか。皆さんの大切な子ど
もたちにどんな教科書を手渡しますか。日本を見守る韓国とアジアの友人たちに、皆さ
んはどのような行動で応えてくださいますか。

 私たちは、日本が過去の被害国との歴史の葛藤を乗り越え、アジア諸国からの信頼の
中で、ともに平和を造る友の国になってくれることを心から願っています。どうか歴史
を歪めない教科書と平和を目指す教育を選ぶことで、その最初のボタンをかけてくださ
い。
 不幸な過去をくり返さないために、子どもたちに平和な未来を与えるために!

                 2005年7月22日
                 韓国の友より、平和への希望を込めて

アジアの平和と歴史教育連帯(構成団体 計90団体)
常任共同代表 徐仲錫(成均館大学校教授/歴史問題研究所所長)
       李龍得(韓国労働組合総連盟委員長)
       李秀浩(全国民主労働組合総連盟委員長)
       李銖日(全国教職員労働組合委員長)
       黄銖暎(韓国民族芸術人総連合会長/作家)

アジアの平和と歴史教育連帯
110−801 大韓民国ソウル特別市鐘路区桂洞133−6番地2階
Tel
82−2−3672−4192 Fax 82−2−3672−4195
http://www.ilovehistory.or.kr/japanese

「アジアの平和と歴史教育連帯」は、韓国市民の募金によりこの意見広告を
掲載しています。


2 本日、及び今後の意見広告掲載
2−1 7/27 朝日新聞朝刊全国版
2−2 7/29 北海道新聞
2−3 7/29 愛媛新聞 現在審査中につき「予定」
2−4 来週中  新潟日報


3 7.25朝日新聞記事に関する私たちの見解公表
     NHK受信料支払い停止運動の会
関係各位

 本日、私たち「NHK受信料支払い停止運動の会」は、さる7月25日の『朝日新聞
』紙面に掲載された「NHK番組改編問題 報告」と、それをめぐる各方面からの反響
に関する見解をまとめ、下記のとおり、それを報道各社に送付しました。

朝日新聞が今回の記事を掲載するや、NHKや関係政治家等は、いっせいに逆キャンペ
ーンを繰り広げています。

そこで、この問題に関係の深い皆さまにも見解文を添付でお送りいたします。一読いた
だき、皆さまの団体の会員の方々、お知り合いの方々に広めていただけましたら、幸い
です。

NHK受信料支払い停止運動の会

共同代表  醍醐 聰
satoshidaigo@nifty.com

                                                   2005
727

報道各社 様

 
『朝日新聞』掲載記事「NHK番組改変問題」(7月25日付)に関する私たちの見解
の公表についてのお知らせ

 本日、私たち「NHK受信料支払い停止運動の会」は、さる7月25日の『朝日新聞
』紙面に掲載された「NHK番組改編問題 報告」と、それをめぐる各方面からの反響
に関する見解をまとめましたので、それを添付で送付させていただきます。

 
今回の朝日新聞記事をめぐっては、去る325日に一日共同行動をした各地(札幌、
長野県飯伊、大阪、京都、福岡)の市民グループにも、同様の見解を各々公表するよう
呼びかけましたところ、福岡の市民グループ(NHK番組改ざんを考える市民の会)代
表者から、ひとまず、今回の見解に賛同するので名前を連ねたいという申し出でがあり
ました。また、長野県飯伊の市民グループ(報道の自由を考える飯伊の会)代表者から
も賛同するので連名で、という申し出がありました。

 そこで、今回の見解は3団体の連名で公表する運びとなりました。

 今後、同様の見解なり声明が他の地域の市民団体からも公表される可能性があります
ので、あわせてご注目くださるよう、お願いいたします。

 私たちは、この見解を本日、E・メールでNHK(視聴者ふれあいセンター長宛)と
朝日新聞社広報部宛に送信するとともに、メディア関連団体・個人等にも送信しました


 また、本日、この見解をNHKの全理事ならびにNHK経営委員会の全委員に郵送し
ました。

 なお、私たちの会は6月3日付けでNHK橋本会長と経営委員会石原委員長宛に公開
質問書を提出しています。これについては、6月末日を回答期限と要請していましたが
、双方から、いましばらく回答に猶予をほしいという連絡を受け取っています。
 そこで、私たちとしては、今回の朝日新聞の検証記事を踏まえた補充質問を送り、そ
れを含めた回答を要請することにしました。近く、補充質問をNHKと経営委員会に
送る予定です。

以上、報道のお願い方々、ご報告いたします。

                  NHK受信料支払い停止運動の会
                   共同代表  醍醐聰・細井明美

                   連絡先 醍醐聰
                   E・MAIL satoshidaigo@nifty.com


4 『朝日新聞』掲載記事「NHK番組改変問題 報告」(7月25日付)
に関する私たちの見解
      NHK受信料支払い停止運動の会
        NHK番組改ざんを考える市民の会(福岡)
      報道の自由を考える飯伊の会
                        2005727

 『朝日新聞』は725日付け朝刊に「NHK番組改変問題 報告」と題する検証記事
(以下、「7.25朝日記事という」)を2面にわたって掲載しました。
 これに対して、NHKはさっそく、原田豊彦放送総局長の記者会見を開き、今回の記
事は、NHKが政治家の介入によって番組(ETV特番「問われる戦時性暴力」)を改
変したことを裏付ける事実を何ら示していない、と反論しています。また、番組改変へ
の関与を指摘された安倍晋三、中川昭一両衆議院議員も同日、「新しい裏付けとなる事
実が出てこなかったことを認めるのであれば、先の報道を訂正して謝罪してほしい」な
どと反論しています。

 しかし、7.25朝日記事を丁寧に読むと、注目すべき2つの新事実が含まれているこ
とがわかります。
 1つは、野島国会担当理事(当時。以下、役職はすべて当時)が番組改変を主導する
一人として重要な役割を果たした実態が、日付を追って明らかにされている点です。先
の衆議院総務委員会で野島氏は番組放送前日の2001129日に安倍氏との面会に同行
し、その後、NHKに戻って番組改変の現場に立ち会ったこと、その場で「感想」を述
べたことは認めました。しかし、「感想」の内容は記憶にないと答弁しました。
 ところが、7.25朝日記事では、野島氏の番組改変への関与は、すでに126日から
始まっていたこと、29日の番組のさらなる改変は、「これ(直近のヴァージョン)では
全然だめだ」という野島氏の一声で始まったことを明らかにしています。そして、7.
25
朝日記事は、あるスタッフの台本には「アベ」などの自民党議員とみられる3人の名
前が書き込まれていたことも伝えています。
 こうした報道からすれば、先の衆議院総務委員会における野島氏の発言は虚偽答弁の
疑いさえ持たれます。

 2つ目の注目すべき点は、200519日に『朝日新聞』の社会部記者と松尾氏との間
で交わされたやりとりが直接話法で記載され、政治家からの圧力を語った松尾氏の発言
が生々しく再現されている点です。この中で、松尾氏は、「北海道のおじさん〔中川昭
一氏のこと〕はすごかった」、「『注意しろ』『見てるぞ』と、いってみれば力による
サゼッションだ」、「呼ばれて行かないとどうなるか。ものすごい圧力だ。3,4倍の
圧力がかかって放送が中止になったかもしれない」と語っています。
 このように、当事者しか知らない直接話法で示された記事内容は極めて信憑性が高い
と考えられますが、こうした松尾発言は政治介入を裏付ける有力な証言と受け取るのが
当然です。

 なお、この番組改変をめぐって、VAWW−NETジャパンがNHK等を相手どって
裁判を起こしていますが、去る7月20日に開かれた控訴審第5回口頭弁論にあたって、
NHKが提出した資料(http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/news/050720.html)によれば
、問題の1月2526日ごろ、NHK総合企画室の担当者が「日本の前途と歴史教育を考
える若手議員の会」所属の古屋圭司衆議院議員らを訪問した際、「女性国際戦犯法廷を
番組で特集すると聞いているが、どうなっているのか」、「予算説明に行った際には必
ず話題にされるであろうから、きちんと説明できるように用意しておいた方が良い」と
助言を受けていた事実が記されています。番組改変の流れを見たとき、こうした政治家
の「助言」が安倍氏らとの面会に予算説明と無縁な松尾放送総局長が同行したこと、そ
の場で安倍氏から「公平公正にやってほしい」という要請を受けたことに連なり、異例
の番組改変の契機になった輪郭が浮かび上がってきます。

 ところが、NHKは、「政治介入を裏付ける事実は何もない」、「朝日新聞は、再取
材によっても真相を明らかにすることができなかったことを自ら認めている」
http://www3.nhk.or.jp/news/2005/07/26/d20050725000170.html)と反論し、記事で
指摘された番組改変の実態をかたくなに否認しています。
 しかし、7.25朝日記事の中の東京社会部長・横井正彦氏の談話を読めばわかること
ですが、『朝日新聞』が今回の記事で認めた再取材の限界とは、
(1)
中川氏がNHK幹部と会ったのは放送前か後か、
(2)
中川、安倍両氏がNHK幹部を呼んだのか、それともNHK幹部が説明に出かけた
のか、
という2点について、真相に迫れなかったということです。
確かに、(2)は真相を解明する必要がある重要な問題には違いありません。しかし、より
重要なことは、特定の番組の放送前に安倍氏らとNHK幹部が会って、その番組につい
て、安倍氏が「ひどい内容になっている」、「公正公平にやってほしい」と発言した会
話の中身です((1)については後述)。このように政治家が特定の番組について放送前に
NHKの放送部門のトップに持論を語り、番組について個人的評価を伝えて、「善処」
を求めること自体、放送の自立を定めた放送法第3条を侵す行為にほかなりません。N
HKの反論はこうした問題の本質に触れない皮相な議論といえます。

ここで、ぜひとも確認しておかなければならないのは、『朝日新聞』が再取材の限界と
認めたのは上記の(1)(2)についてであること、にもかかわらず、NHKや安倍氏はこの点
を恣意的に無視して、『朝日新聞』があたかも再取材全体について限界を認めたかのよ
うに言い立て、「今回も政治介入を裏付ける事実は出せなかった」と喧伝している点で
す。

7.25朝日記事を通読すれば、すぐわかる事実を故意に伏せて、自分に都合よく改作し
たニュースを報道することは公共放送の担い手にとってあるまじき行為です。私たちは
こうしたNHKのアンフェアな反論と報道に厳重に抗議するものです。

これに関連して指摘したいのは、『朝日新聞』が今回の記事でも、松尾発言については
真相に迫れなかったとは言わず、むしろ、松尾発言をさらに詳細に肉付けする内容を伝
えている点です。その背景には、今回の記事のベースになった「より強力な動かぬ証拠
」が『朝日新聞』側にあることを伺わせます。こうした「動かぬ証拠」によって裏づけ
られた松尾発言は、中川氏も放送前に松尾氏となんらかの方法で会話を交わし、その場
で安倍氏以上に強い調子で放送の改変を要求したことを証明するものです。また、この
証言によって、上記(1)の限界も解消することになります。

もちろん、私たちは、取材方法、取材源について明かさないのがメディアの原則である
ことを理解しています。そのことを百も承知のNHKが、立証のハ−ドルを故意に「吊
り上げ」、動かぬ証拠を突きつけられるまで、問題の政治家と異口同音に政治介入の実
態を否認するのは見苦しいかぎりです。
そのうえ、特定の番組について、政治家に事前説明をすることを「通常の業務」と言っ
てはばからないNHK幹部の態度は、メディアの権力対峙性を見失った堕落と言うほか
ありません。

共同通信ニュース(7251843分)「政治との距離を提言 改編問題でNHK職員
」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050725-00000175-kyodo-ent)によれば、
番組制作に携わるNHK職員約40名が5月末に「問題の番組改編は政治への過剰反応が
最大の原因」とする意見をまとめ、政治と距離をおくようNHK倫理・行動憲章の改定
を提言したとのことです。
 こうした提言は、私たち市民グループがこれまでにNHK橋本会長宛に申し入れた内
容とも合致するものです。
 NHK理事会は、内部からのこうした良識ある提言にも真摯に耳を傾け、政治からの
自立を言葉だけで終わらせない措置(政治家への番組の事前説明を禁止する規程を倫理
・行動憲章に明記すること、公正な第三者機関を設けて今回の番組改変の真相を調査し
、調査結果を公表すること)を講じるよう、改めて強く求めるものです。そのためには
、「これまでも政治の介入で番組を改変した事実はない」というかたくなな主張を謙虚
に再考することが不可欠です。

 また、私たちは『朝日新聞』に対しては、どのような逆風にも屈することなく、権力
対峙性を貫くよう要請します。『朝日新聞』が今後もそうした姿勢を堅持するなら、大
多数の市民は、「NHK対朝日新聞」という皮相な図式に惑わされず、今回の番組改変
問題をめぐって、権力に迎合したのは誰か、それに警鐘を鳴らしたのは誰かを必ず見抜
くものと私たちは確信しています。
                                    以上