「意見広告の会」ニュース295 「つくる会」教科書等緊急号(2005.8.3)

 

 

「意見広告の会」ニュース295 「つくる会」教科書等緊急号

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
*8月は事務局の都合で、あと1号でニュース発行を休刊します。
    (本号は予定外の「追加」です)

** 目次 **
1 東京都教育委員会の暴挙に怒りを覚えるすべてのみなさまへ
     「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク
2 「つくる会」不採択情報
      教科書ネットMLから不採択情報です。
  卒業式でのひと言を「不規則発言」として指導
             
〜ここまできた都教委の強権行政〜
                                             
醍醐 聰


***
1 東京都教育委員会の暴挙に怒りを覚えるすべてのみなさまへ
     「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク

私たち、「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク(略称:教科書東京ネッ
ト)は、子どもの未来を損なう扶桑社教科書の不採択を願って、組織や団体の違いをこ
えて昨年12月から活動してきた、東京都内54採択地区をつなぐ市民ネットワークで
す。

7月28日、東京都教育委員会は、都立中高一貫校とろう学校・養護学校で、つくる会
歴史・公民教科書を採択しました。私たちは、このことに心の底から怒りと抗議の意志
を表明します。しかし、一方で、当初、8月25日に予定されていた採択予定日を早め
、十分な資料準備もおこなわないまま7月に採択をおこなったのは、つくる会と都教委
の目論見が思うように進んでいないことへの焦りの表現でもあります。

教科書採択の山場を迎えた今、東京都教育委員会の暴挙に対する最大の反撃は、東京都
内54採択地区のすべてで扶桑社不採択を勝ち取ることにあります。私たち教科書東京
ネットは、子どもたちの平和な未来を願って扶桑社教科書採択に反対してきたすべての
個人、グループ、団体の力を、今こそ、この一点に集中してくださることを訴え、次の
行動をよびかけます。

(1)これから採択が行われる都内各採択地区では、扶桑社不採択のために、油断なく
、最大限の活動をお願いします。朗報をお待ちしています。

(2)8月1日現在、都内54採択地区の諸条件・諸情報を勘案すると、杉並区、町田
市が、東京都内でもっとも深刻な危機にある地域だと見られます。都内各地域および全
国、世界から、杉並、町田に、毎日1000通を越す規模でメール・FAX・電話を寄
せ、扶桑社不採択を訴えてください。
<要請先>
杉並区教育委員会(採択は8月4日)
 
杉並区阿佐ヶ谷南1−15−1
電話  03−3312−2111(代)
FAX  03−3312−9911
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/post/post.asp
教育委員会庶務課直通メール KYOIKU-SHOMU@city.suginami.lg.jp

町田市教育委員会(採択日は8月5日)
194-0022  町田市森野1-33-10
電話 042-724-2172  
FAX
 042-724-1197
メール http://www.city.machida.tokyo.jp/shigo/

(3)この呼びかけを、可能な限りたくさんの方に広げてください。海外に呼びかける
場合には、下記のアピールをご利用ください。

東京では、今週、採択の最大の山場をむかえます。東京都教育委員会の不当な採択に怒
りを覚えておられるすべてのみなさま、子どもたちの平和な未来を願う全国・世界のみ
なさまの御賛同と機敏な行動をよびかけます。

「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク
代表 山田 朗
102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-1 小宮山ビル201
電話03-3265-7606
kyokashonet@a.email.ne.jp

Send e-mails/facsimiles to prevent the children from using the textbook
counter to the historical truth!

We, Tokyo-network for textbook, are a group of citizens in
Tokyo acting
against Tsukuru-kai (Japanese society for history textbook reform) which is
making an intrigue to have their textbook counter to the historical truth
adopted in junior-high schools in
Japan.
Sixty years ago, the Japanese Invasion to the Asian and Pacific areas in the
World War II produced indescribably great damages to the peoples in those
countries. And the Japanese ourselves suffered from our own bitters by the
war. Through these experiences we Japanese have decided not to repeat the
invasive war forever. Tsukuru-kai, however, recently has drawn up their
textbook for junior-high school students, which is describing the WW II not
as Japanese Invasion but as the war of justice to release Asian peoples from
the European colonial controls. Nowadays some politicians and educators of
Tsukuru-kai are pressing politically local administrations and schools to
teach the young students in junior-high school by using their textbook for
the Japanese history.
The outcome of this book is clear. It will give the effects to make wrong
recognitions on the war in the students. This means the futile conflicts and
tensions between
Japan and other counties and the hindrances for the mutual
understanding and friendships with the peoples of the world.
Especially, Metropolitan Governor Ishihara Shintaro, as a leader of this
movement, is prompting to adopt this book in
Tokyo. We, Tokyo-network for
textbook are hoping that the children of the world may live in peace and
fighting not to use this book in school. We heartfully ask you to send your
message to Governor Ishihara and following mayors in
Tokyo that the decisive
refusal to Tsukuru-kai and their textbook will result the hopeful peace and
friendship in
Asia and the world.
We would highly appreciate your cooperation.


Suginami-City Office in Tokyo
FAX
 81-3-3312-9911
E-mail
  KYOIKU-SHOMU@city.suginami.lg.jp
     https://www2.city.suginami.tokyo.jp/opinion/opinion_box.asp

Machida-City Office in Tokyo
  
FAX
 81-42-724-1197
E-mail
 
https://www.city.machida.tokyo.jp/cgi-bin/formmail/ssl/ssl_shityou/formmail.cg
i?d=letter

Tokyo Met. Office
FAX 81-3-5388-1726
E-mail
  S9000004@section.metro.tokyo.jp

YAMADA Akira
Tokyo-network for textbook
102-0072 Komiyama-build.201 Iidabashi2-6-1
 Chiyoda-ward  Tokyo Japan
tel 03-3265-7606
E-mail  kyokashonet@a.email.ne.jp


2 「つくる会」不採択情報
      教科書ネットMLから不採択情報です。

*青森県
  中弘地区(弘前市・岩木町・相馬町・西目屋村)
*福岡県
  筑紫地区(筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・ちくしぐん)
  糟屋地区(古賀市・糟屋郡)
  糸島地区(前原市・糸島郡)

*奈良県
  橿原市 歴史ー帝国、公民ー帝国

なお、福岡県教育委員会は、県立中高一貫校、盲・ろう・養護学校については、学校ご
とに採択するということです。
これが常識、当たり前で、都教委の異常さがわかりますね。

前にも分析結果をお伝えしましたが、584地区中300以上終わった時点で、「つくる会」
教科書は、栃木県大田原市の1地区しか採択されていません。大田原市では、自民党国
会議員、地方議員、「教育ボス」などが、ものすごい圧力をかけて無理やり採択させた
ことが明らかになってきつつあります。
つまり、大田原市の採択はきわめて特殊なケースであり、「つくる会」教科書は、全国
どこでも支持されていません。

あぶない地区でいま阻止活動に全力をあげている地域では、この事実を関係者に強調し
、こんな誰も支持しない教科書を私たちの地域で採択しないでほしい、と伝えてくださ
い。

子どもと教科書全国ネット21
HP
 http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/

*新潟情報!

危ないと言われていた新潟市も不採択とのことです。
メール、FAXを送ってくださったみなさん、ありがとうございました。

教育委員会で採択された教科書は、

歴史東京書籍(4年前は教育出版)
公民教育出版(4年前は教育出版)、です。

新潟市の教育委員会に対しては、約500通の要請のFAX、メールが届いていたそうで
す。そのほとんどが「つくる会」教科書採択に反対。
また、韓国の市民団体「アジアの平和と歴史教育連帯」の新聞意見広告「平和を願う新
潟の友へ」が、7/31の新潟日報に掲載されていました。

 杉並の教育を考えるみんなの会
  sugimina@jcom.home.ne.jp
http://suginaminnanokai.web.infoseek.co.jp/
                                                                            
 
  卒業式でのひと言を「不規則発言」として指導
             
〜ここまできた都教委の強権行政〜
                                             
醍醐 聰


  (以下は、730日、阿佐ヶ谷の産業商工会館で開かれた「物言える自由・
  報告・交流・音楽&(裁判準備)会に参加した私のレポ−トです。)

卒業式のあいさつまで監視する都教委の強権行政

 「おめでとうございます。色々な強制がある中であっても、自分で判断し、行動でき
る力を磨いていってください。」

 これは、今年3月12日(土)に行われた、前任校(都立豊多摩高校)の卒業式に出
席した池田幹子教諭が、来賓あいさつの中で語った言葉です。ところが、都教委はこの
「ひとこと」を問題にし、7月20日、池田教諭を「指導」と称して処分しました。

 そこに至るまでの間、都教委は2名の指導主事を池田さんの現任校に派遣して「聞き
取り調査」を行おうとしました。池田さんは、何についての聞き取りか説明を求め、弁
護士の立会いを要求しましたが、主事は理由も話さず、これを拒否したため、調査に入
らないまま引き上げました。つまり、「指導」処分は、事実認定がないまま、前任校と
現任校の校長が都教委に提出した報告書だけを手がかりに行われたのです。

「不規則発言」とは?

 7月30日の集会で、池田さんの経過報告を聞いて、私が驚いたのは、前任校・現任
校の校長が都教委に提出した報告書の中で、池田さんのあいさつを、示し合わせたよう
に「不規則発言」と表現し、それを「不適切」、「大変遺憾」と記していたことです。
 また、豊多摩高校の校長の報告書は、池田さんのあいさつ言葉を記載(実はこれは不
正確)したあと、「卒業生は若干ざわついたが、大きな影響はなかった」と記していま
す。

 (注) 卒業式に参列した同僚教師、保護者の証言によれば、池田さんの前記の言葉
はほとんど聞き取れず、卒業生が「ざわついた」形跡は全くなかったとのことです。

 この校長報告書は池田さんご自身が情報公開請求で入手されたものだそうです。しか
し、「不規則発言」とはいったい、どういう意味でしょうか? この用語には人を裁く
に足る、法的に定着した意味があるのでしょうか?
 ちなみに帰宅して、広辞苑で「不規則発言」を引いても該当する用語はありませんで
した。
 しかし、普通、「不規則発言」といえば、議場等で正規の発言者が発言中に、他の議
員が飛ばすヤジのことです。

 念のためインターネットでキーワード検索してヒットした「地方議会の用語集」
http://www.interq.or.jp/neptune/waxn/council/index.htm)によれば、「不規則発
言」の定義は、次のとおりでした。

  「いわゆるヤジのことを議会用語で「不規則発言」といい,帝国議会以来の長年の
慣習で,怒鳴っても叫んでも,会議録の中では「○○と呼ぶ者あり」と記載されます。


 もっとも、「不規則発言」という言葉は、実際には、議場でのヤジに限らず、法廷や
株主総会などの場でも、正規の発言者以外の者が飛ばす議事妨害発言や、不穏当な発言
も含めて使われていることは皆さん、ご承知のとおりです。

二重の意味で理不尽な処分の理由

 となると、池田さんの前記の「ひとこと」を「不適切」あるいは「遺憾な」「不規則
発言」とみなした校長の報告書をよりどころにして、「指導」処分をした都教委の措置
は二重の意味で理不尽なものであったと私は考えます。

 ひとつは、そもそも「不規則発言」なる言葉は通称であり、人を裁く法的根拠とする
に足る厳格な定義を欠く用語だからです。
 ちなみに、「高裁判例集」と「下級裁主要判決情報」で「不規則発言」を検索すると
、前者では1件、後者では8件がヒットしました。このうち、1件は他人の名誉を傷つ
ける発言という意味で用いられていますが、その他はすべて、上の「ヤジ」に相当する
言葉として使われた言葉でした。

 ここからも、「不規則発言」なる言葉は、法律用語として定着したものではないこと
、まして、人を裁く根拠となる用語などといったものではないことは明らかです。

 かりに、「他人の名誉を傷つける言葉」というなら、池田さんの前記の「ひとこと」
で誰のどういう名誉が傷つけられたのでしょうか? 念のため付け加えますと、現天皇
自身も「強制はいけない」と発言していますから、「自分の力で判断し、行動できる力
を磨いてほしい」と生徒に呼びかけて、名誉を傷つけられた人には当たらないはずです


 もうひとつ。かりに、「不規則発言」を問責等の処分の対象にするとしても、池田さ
んの前記の「ひとこと」は、「不規則」どころか、「規則的な」発言だったのではない
でしょうか? なぜなら、池田さんは、来賓として出席し、式次第にそって指名を受け
た上で発言されたからです。

 また、その発言内容も、前任校の「自主・自律を重んじる校風の中で、伸びやかに育
ってきた生徒たちに、・・・・・・・・・・はなむけの言葉」(池田さんの手記より)
として語りかけた言葉でした。
 こうした教育者の心をこめた言葉を捉えて、みせしめ的な調査・指導がフレームアッ
プされたのでは、「物言えば唇寒し」の時代の再来にほかなりません。

物言える自由を持ち続けるために 〜裁判に向けた池田さんの志〜

 集会の中で、池田さんは、「今回起こったことは、たまたま、ある個人を襲った不運
ではない」、「物言えば唇寒しと黙らせてゆく萎縮効果の広がりが恐ろしい」と語り、
裁判で争う決意を示されました。

 参加者の中からも、「教員が新聞に匿名で投書をしても身元を割り出す調査がされる
」、「学校行事の感想文で日の丸・君が代のことに触れたら、校長から、その部分を削
るよう指導された」といった実態が報告され、「こういう現状を放置してはいけない、
裁判で争うべきだ」という意見が出ました。

 提訴については、今後、弁護士と相談のうえ、最終判断されるとのことでした。裁判
となれば、ご本人の意思が第一とはいえ、周りの物心両面の支援が不可欠です。
 集会では、裁判を想定した支援の体制についても報告がありました。私も微力ですが
、池田さんの志を支援したいという気持ちになりました。皆さんもぜひ、支援の輪に加
わってくださるよう、お願いいたします。
                                 以上