平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会、大阪高裁宛「緊急ネット署名」を開始!(2005.8.3)

 

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2005年08月03日

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会、大阪高裁宛「緊急ネット署名」を開始!

平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会ホームページ
ネット署名サイト

 平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟は,来月の9月28日(水)に,大阪高裁にて判決が出されます。本件は,大学の全構成員自治と学生の学ぶ権利に関わる重大な裁判です。高裁ででいかなる判決が下されるかは,今後の私立大学の教育や事業運営のあり方に大きな影響を与えると考えます。そこで,大津地裁で判決が出されて以降,「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」の結成を準備してきました。高裁判決まで残りわずかな日数ですが,同会が中心なって裁判所宛の緊急の署名活動(ネット署名を中心とする)を展開することになりました。どうか,皆様のご協力をお願いします。
 なお,ネット署名のためのデータベースプログラムは,Academia e-Network Projectのご厚意により動かすことが可能になりました。この場を借りまして,お礼申し上げたいと思います。(ホームページ管理人)

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス
就学権確認訴訟を支援する大学人の会

共同代表 福田 菊(龍谷大学元教授)
碓井敏正(京都橘大学教授)

 平安女学院大学は,2005年3月末,設置してわずか5年で「びわ湖守山キャンパス」を廃止しました。在校生の多くは移転反対もしくは同キャンパスで卒業したいと主張したにもかかわらず,全員一律に高槻キャンパスに移動させられました。これに伴う学生の学ぶ権利への侵害問題について,現在裁判所に提訴されています。
  この就学権確認訴訟は,2005年9月28日に大阪高裁で判決が出されます。私たち「訴訟を支援する大学人の会」は,緊急に以下の「要望書」を裁判所に提出したいと思います。「訴訟の経緯と意義」もご覧いただきネット署名に是非ご協力を下さい。

ネット署名(第一次締め切り8月27日)はこちらのサイト

 

平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認請求事件
に対する公正な判決を求める要望書

大阪高等裁判所 民事5部1係
大和陽一郎裁判長殿

 貴裁判所に係属している就学権確認等請求事件は,大学における学生の学ぶ権利問題に関わる重大な事件であると考えます。そこで私たち全国の大学生の学ぶ権利の保障のため教職員,学生,一般市民から以下のような要望書を緊急に提出させていただきます。これを是非お読みいただき,日本の大学の将来と学,司法権として,公正なご判断を下していただけますよう心から要望いたします。

2005年8月30日

提出者代表 

要望書

 本件就学権確認等請求事件は,平安女学院大学に通う一人の女子学生(川戸佳代さん)が卒業するまでの間,びわ湖守山キャンパスにおいて就学する権利(教育を受ける権利)の確認とその履行を求めたものです。しかし,この求めは同大学守山キャンパスで学ぶ大多数の学生の切実な願いでもありました。

 学校法人平安女学院は,2000年4月,滋賀県守山市にびわ湖守山キャンパスを設置し,4年制大学の平安女学院大学(学部は現代文化学部)を開校しました。このびわ湖守山キャンパスは,地元守山市における地域振興策の重要な事業計画(「大学を核としたまちづくり」計画)の一環として誘致を受け,滋賀県民および守山市民の熱い期待と支持のもと,総額33億6500万円もの巨額な公的資金によってつくられました。ここに通った学生たちは皆,入学する際に守山キャンパスという新しい教育環境のすばらしさを熱心に説明され,それに同意して入学しました。

 守山キャンパスは,設立経緯からして,大学と地域との連携を進めるための「地域に開かれたキャンパス」であり,住民と学生との交流を踏まえて教育が行われる重要な人格形成の場でありました。学生たちの多くは守山キャンパスを基盤に地域の人々と活発にコミュニケーションを図り,現代福祉学科と国際コミュニケーション学科という2つの学科の特性を生かして地域福祉のボランティアや市民のための語学教室を開くなど多様な地域貢献活動を積極的に繰り広げました。こうした市民との交流を通じた正課外教育活動は,学生たちの「まちづくり」に対する参画意識を醸成し,それが正課教育における勉学や教育を受ける際の問題意識,価値観の内容を豊かにして教育効果を高めました。

 しかし,学校法人平安女学院理事会は,2004年4月19日,全学生への事前の説明もなく,また正規教授会の正式な了承も取り付けずに,思うように学生が集まらないという理由で守山キャンパスの廃止を一方的に決定しました。開設されてわずか5年目のことです。しかも,この廃止に伴い1年間の猶予さえ与えず全学生の合意も充分に得ないまま,在学生を全員高槻キャンパスに強制的に移動させました。その結果,守山キャンパスがあったからこそ可能であった正課外教育を含む様々な教育実践活動,および守山市という特定のまちづくりへの参画意識から芽生えた勉学の課題,そしてその課題意識を支えた市民との人的コミュニケーションの場,すなわち教育において最も大切な人格形成を促す場があっという間に消え去りました。これは移転の進め方も含めて学生の学ぶ権利(就学権)への重大な侵害です。

 大津地裁は,本件移転統合について,「高槻キャンパスと守山キャンパスとで施設の内容に差があるとしても,それが授業や学習の提供が不能になることと同視できる程度のものと言えるような事実は見あたらない」,すなわち,高槻キャンパスは大学設置基準を満たす施設があり,教育するうえで基本的に支障がない,したがって学ぶ権利への侵害はないとの判断を下しました。しかし,この判決は,キャンパスを特定の物理的施設として狭く解釈しており,大学と地域の連携に基づく今日的な大学教育のあり方について不理解を示すものです。大学教育は,最低限の設置基準を満たす施設さえあれば,場所はどこでもよいというものではありません。守山キャンパスで受け入れた学生については,最低限,卒業まで同一の教育環境と条件を保障すべきものと考えます。

 今日,日本の私立大学は「大学全入時代」をむかえ,平安女学院大学と同様に巨額な補助金で設置されたキャンパスを廃止したり移転する事例が少なくありません。また今後,私立大学の廃校や大学の吸収・合併といった事態が進行することも大いに予想されます。もし本件のように学生への事前説明も多数の合意もないまま学生の就学条件が強制的に変更され,同時に教育の重要な機能が損なわれることについて,司法が合法と判断するならば,今後の大学経営や教育のあり方に深刻かつ否定的な影響を及ぼすことは間違いありません。私たちはそのことを非常に懸念するものであり,その意味でこの裁判は,全国の大学で教育に従事する者のみならず,大学のあり方に関心をもつ多くの市民も注目しています。

 貴裁判所にあっては,控訴人を含め多くの在学生の「守山キャンパスで学びたい」という願いとそれが不可能となった学校法人による本件移転の進め方の問題性を深く理解され,公正な判断を下していただきますようお願い申し上げます。

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ここから以下に,ネット署名や紙署名をしてくださった方のお名前と所属等を用紙を添付して,大阪高裁に提出致します。

 

投稿者 管理者 : 20050803 00:01