自由法曹団、東京都教育委員会による「つくる会」教科書の採択に抗議する(2005.8.5)

 

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2005年08月05日

自由法曹団、東京都教育委員会による「つくる会」教科書の採択に抗議する

自由法曹団
 ●東京都教育委員会による「つくる会」教科書の採択に抗議する(2005年7月28日)

東京都教育委員会による「つくる会」教科書の採択に抗議する

 東京都教育委員会(以下、「都教委」と略)は、本日、2006年4月から使用する都立中高一貫校4校の中学校歴史教科書、都立ろう学校、同肢体不自由養護学校、同病弱養護学校、同青鳥養護学校梅ヶ丘分教室の歴史教科書・公民教科書に、「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」と略)が作成した扶桑社の教科書を採択することを決定した。
 「つくる会」教科書は、戦争を賛美し、歴史を歪曲し、日本国憲法の定める基本的人権の保障、国民主権、平和主義をないがしろにするとして、国内外から厳しい批判を受けている教科書であり、教育の現場で使用すべきものでないことは明らかである。
 本日の都教委の教科書採択の協議にあたっては、事前に多数の保護者や市民から提出されていた「つくる会」の教科書を採択すべきではないという請願や要請を一切検討に付すことなく採択手続が開始された。そして、各教科書についての審議を全く行わないまま、直ちに教育委員の無記名投票を行うこととし、それによって全委員一致であった教科については、何らの審議もせずに採択するという手続がとられた。 歴史・公民については、全教育委員が「つくる会」教科書に投票したために、審議はなされず、なぜこの教科書を選ぶかについての理由が一切明らかにされないまま採択が決定した。
 このようなやり方は、採択にあたって審議を尽くし、教科書を使う子どもたち、保護者、市民に対して採択の理由を説明すべき責任を放棄した都教委の暴挙であり、断じて許すことはできない。
 ろう・養護学校の教科書採択にあたっては、障がいや病気を有する子どもたちが使うためにどれがふさわしい教科書であるかについて、保護者や教職員の意見を聞くことが不可欠であるにもかかわらず、都教委が予め作成していた「都立盲学校、ろう学校及び養護学校検定教科書調査研究資料」を本日まで都民に一切公表しないまま、採択を決定した。短時間の全委員一致の採択は、それぞれの学校で学ぶ子どもたちの障がいの特性を理解したうえで決定されたものとは到底考えられない。
 都立中高一貫校については、それぞれの学校の個性を生かすといいながら、全委員一致で4校とも全く同一の教科書を採択した。これでは到底それぞれの学校ごとの個性をふまえて検討したものとは考えられない。
 今回の都教委による「つくる会」教科書採択の不当性は明らかであり、自由法曹団および自由法曹団東京支部は、都教委各委員およびこれら委員を任命した石原東京都知事に対して、本採択について厳しく抗議するとともに、都教委は速やかに採択決定を撤回し、学校現場、保護者、都民、教育関係者の意見に基づき教科書を採択し直すことを求めるものである。
 自由法曹団および自由法曹団東京支部は、現在全国各地で行われている採択手続において、さらなる「つくる会」教科書の採択を許さないための闘いに全力をつくす決意を表明する。

2005年7月28日
自由法曹団
団 長 坂 本 修
自由法曹団東京支部
支部長 松 井 繁 明
(文京区小石川2−3−28−201 рO3−3814−3971)

 

投稿者 管理者 : 20050805 00:38